基準明確化前提で震災がれき処理検討 関西広域連合

 関西広域連合(連合長・井戸敏三兵庫県知事)は10日、京都市で会合を開き、東日本大震災がれき処理の受け入れを前向きに検討する方針を決めた。福島第1原発事故で拡散した放射性物質への懸念があるため、受け入れ前に国に処理する際の安全基準の明確化などを求めることで合意した。

 環境省は岩手、宮城両県で発生した災害廃棄物の受け入れを全国の自治体に要請。8月に広域処理の安全性ガイドラインをまとめた。しかし、放射性物質への懸念があり、東京都など一部自治体を除き、受け入れは進んでいない。

 国への申し入れでは、安全基準に加え、広域処理が必要な全体量や処理方法、スケジュールの明確化を要請。処理施設の候補に近畿の自治体などでつくる埋め立て場があることから、水に溶けやすい放射性セシウムの性質を踏まえ、処理指針を示すことも求める。

 受け入れをめぐっては大阪府は専門家委員会で、兵庫県は県内部で検討しているが、安全性の課題から兵庫の全市町は受け入れ困難との姿勢を示している。

 一方、知事就任後初めて会合に出席した松井一郎大阪府知事は「地方分権を進めることが関西の発展につながる。関西が力を付けるために協力したい」と述べた。(井関 徹)

神戸新聞 (2011/12/11 10:08)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004675929.shtml

震災がれき受け入れ 兵庫県知事、国の姿勢に懸念

 国が全国の自治体に東日本大震災のがれき受け入れを求めていることについて、井戸敏三兵庫県知事は9日の県議会本会議で「広域処理の全体方針や、放射性物質に汚染された災害廃棄物の取り扱い基準が不明確」と国の姿勢に懸念を示し、明確になれば受け入れを前向きに検討する意向を示した。

 岸口実議員(民主党・県民連合)の質問に答えた。

 環境省は岩手、宮城両県で発生したがれきの受け入れを要請。8月に広域処理の安全性ガイドラインを策定し、2度の改訂を行った。しかし、放射性物質への懸念から東京都など一部自治体を除き、進んでいない。

 井戸知事は課題を「全体の処理方針と処理方法、処理量、スケジュールなどが不明確」と指摘。廃棄物の種類や処理方法で放射線量の基準が異なることについても「(県民に)安全確保の一貫した説明ができず、これらをクリアする必要がある。十分な理解を得て、協力できる状況になれば対応したい」と述べた。(井関 徹)

神戸新聞 (2011/12/10 08:20)
http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/shakai/higashinihon/0004674216.shtml

(静岡)県が放射線量測定 震災がれき受け入れへ市町説明会

 岩手県大槌町、山田町の震災がれきの受け入れに向けて静岡県は10日、静岡市内のホテルで県内全35市町を対象とした説明会を開き、がれきが到着した際などに県が計3回放射線量を測定し、安全性に責任を持つことなどを説明した。

 がれき処理を担当する国の高山智司環境政務官は「がれき処理オールジャパンで取り組む。ぜひお力添えをいただきたい」と、首長や川勝平太知事らに協力を呼び掛けた。

 県外の最終処分場に焼却灰処理を委託している市町は、処分場の確保を受け入れの条件としているが、焼却灰の受け入れ先確保に関して環境省は明確な役割を示せず、首長や川勝知事らから不満の声が上がった。

 説明会では、同省担当者が岩手県内のがれきの安全性を強調したものの、受け入れ先に関する首長らの質問に、高山政務官は「最終処分場に説明する」と答えるにとどめた。

 これに対して、川勝知事は「最終処分場が県外のときは国の責任。説明ではなく、国が説得してもらわなければ、最終処分場で突き返される」と強い口調で訴えた。

 太田順一菊川市長も「原発の安全性について国の説明がされていない。受け入れは原発とセットで説明してほしい」と求めた。

中日新聞 2011年12月11日
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20111211/CK2011121102000007.html

(静岡)「がれき」35市町に協力要請 環境省

 東日本大震災で生じたがれきの受け入れに関する説明会が10日、静岡市内で開かれ、環境省高山智司政務官は、県内35市町の首長らに受け入れへの理解を求めた。首長からは、地元住民の理解を得る難しさや、焼却灰の最終処理を県外に委託する際、国が責任を持つように求める声が相次いだ。高山政務官は、要請があれば、最終処理先の確保交渉や住民への説明などに国が出向く考えを示した。

 県が各市町に協力を求めているのは、岩手県大槌、山田両町で発生した災害廃棄物計47万2000トンのうち、県内の処理能力の1%にあたる600トンの柱材と角材。県はこの日、今月両町で行った放射性物質検査で、大槌町では不検出、山田町で1キロ・グラムあたり12〜13ベクレルで、国の指針で安全性を確保できるとしている100ベクレルを大幅に下回ったことを説明した。

 高山政務官は「広域処理で出す災害廃棄物は放射性廃棄物とは別物で、放射性物質は不検出か極めて低レベル」と安全性を強調。岩手県の工藤孝男環境生活部長も「(県内で生じた)500万トン弱のうち、現在15万トンしか処理できていない」と訴え、協力を求めた。

 首長からは「市民は被災地から来るのは放射性廃棄物と誤解している。国は住民に対して説得力のある説明をしてほしい」などの意見が出た。

(2011年12月11日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20111210-OYT8T00791.htm

(秋田)被災がれき 大仙市、受け入れ案を説明

意見交換会 期間2年、年2600トン処理

 岩手県が本県に打診している東日本大震災のがれきの受け入れについて、大仙市は10日、焼却場のある同市花館地区の上大戸会館で、周辺住民を対象とした初の意見交換会を開いた。市側が具体的な受け入れ方法などを説明したのに対し、集まった約20人の住民からは質問が相次いだ。

 意見交換会は報道陣に非公開で約1時間40分にわたって行われた。市側からは栗林次美市長らが出席。栗林市長は冒頭、「がれき受け入れを前向きに進めることができるかできないか、案を示した上で、意見をいただき、その上で判断したい」とあいさつした。

 市が示した受け入れ案では、秋田、岩手両県と、大仙市または大仙美郷環境事業組合を受け入れの枠組みの主体とする。搬出元は事前に協議してきた岩手県宮古市で、受け入れ対象は木材を想定。同市の仮置き場で両県が放射性物質濃度を測定し、安全性が確認されたものを大仙市の焼却場に運び、焼却灰を同市の最終処分場で埋め立てる。

 期間は2年とし、受け入れ可能量は1日10トンで、年間2600トンを処理する計画。安全確保策として市や放射線測定の専門業者などが焼却灰などの同濃度、施設周辺の空間放射線量を週1回程度測定するとした。

 同濃度などの基準については、栗林市長は「県と今後協議する」と述べるにとどまったが、一方で「何かあれば受け入れをやめることになる」との考えを示した。

 住民からは「放射線の健康への影響は」「風評被害が起きたらどうするのか」といった不安の声や、「地下水の測定などもやってほしい」との意見も出た。

 栗林市長は意見交換会の終了後、「大仙市の世論は、被災地支援で固まっていると思うが、意見を伺いながら丁寧に説明していきたい」と話した。参加した男性(78)は「本音を言えば、受け入れたくはない。だけどこうなってしまった以上、被災地を支えたい気持ちもあり受け入れざるを得ない」と語った。

(2011年12月11日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20111210-OYT8T00690.htm

低レベル放射性廃棄物容器贈る 伊達市にIHI

 IHI(本社・東京)は低レベル放射性廃棄物を保管し線量を20分の1に低減できるコンクリート製収納容器(62万円相当)を伊達市に贈呈し9日、市役所敷地に搬入した。
 コンクリートと鉄板を組み合わせた容器で容量は4.2立方メートル。遮水機能を持ち、保管後に移動も可能。重さは空容器で7.4トン。
 茨城県の工場から運搬した容器をクレーン車で設置した。石丸康裕東北支社長、田中要福島オフィス所長らが訪れ作業を見守った。設置前に放射線量を計測。今後、廃棄物を入れた後に再び測定し比較する。
 市は除染支援センターによる除染で出た放射性廃棄物を、二次仮置き場ができるまで収納することを検討している。

福島民報 2011年12月10日
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2011/12/post_2728.html

(参考)チェルノブイリ周辺の核汚染、予想より減少進まず

チェルノブイリ原発周辺の継続的な土壌調査の結果、約30年で半減するはずのセシウムの減少が進んでいないことが明らかになった。「環境的半減期」は180〜320年と見られるという。


1986年に史上最悪の事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所は、期せずして、放射能の影響を研究する格好の実験場となった。事故から20年以上たった現在でも、現場には驚きが隠されている。

周辺の放射性セシウムが、予想されたペースでは消失していないことが、12月14日(米国時間)、米国地球物理学会の秋季大会で発表されたのだ。

[放射性の]セシウム137の半減期(物質が元の量の半分まで崩壊するのにかかる期間)は約30年だが、チェルノブイリ付近の土壌に含まれるセシウムの量は、およそそんなペースでは減少していなかった。

ウクライナ政府が将来的には再びこの土地を利用したいと考えるのは無理もないことだが、研究チームは、セシウムの半量が周辺の環境から消失するまでの期間――チームはこれを「環境的半減期」と呼んでいる――を、180〜320年と算定している。

今回の調査結果は驚きをもって受け止められた。専門家らはこれまで、放射性同位体の環境的半減期は、物理的半減期よりも短くなると予想してきた。どんな土壌サンプルにあっても、自然の拡散作用によって放射性物質の減少が促進される、と考えられたためだ。ストロンチウムに関しては、この考え方は妥当だった。だがセシウムには逆のことが当てはまるようだ。

セシウムの物理的特性は変化しておらず、それゆえ研究チームは、環境に理由があると考えている。たとえば土壌採取地点には、チェルノブイリ原発の付近から新たにセシウムが供給されているのかもしれないし、あるいはセシウムは地中深くの土壌にまで拡散しているのかもしれない。今回の研究チームの1人である、サバンナ・リバー国立研究所のTim Jannick氏(原子核科学)は、さらなる調査で真相が明かされることを期待している。

[4号炉は事故直後、「石棺」と呼ばれるコンクリートの建造物に覆われたが、老朽化が激しく雨水が石棺の中に流れ込んでおり、原子炉内部を通って放射性物質を周辺の土壌へ拡散しているとされる]

チェルノブイリ原発事故の後、専門家らは、放射性降下物が飛散すると予測されるルートに沿って、複数の実験場を設置した。さまざまな深さから土壌サンプルを採取し、ストロンチウムセシウムプルトニウム放射性同位体が地上にどれだけ拡散されるかを測定した。この計測は20年以上続けられており、最悪に近い原発事故が環境に対して持つ長期的な影響に関して、貴重なデータを提供してくれている。

米エネルギー省のハンフォード核施設[第二次大戦中から1970年代までプルトニウムを精製してきた]のように長期にわたって汚染されてきた地域に比べれば、チェルノブイリの影響は単純で理解しやすいので、そのデータが期待されている。

[放射性セシウムは生態系のなかで生物濃縮される(環境から生物体内に濃縮され、それが食物連鎖により増強される)。国立環境研の研究によると、土壌中の細菌のなかにも、カリウムを濃縮するのと同じ機構でセシウムを濃縮する種がいることがわかっている。

Wikipediaによると、1997年頃の調査で、この区域内の木の中のセシウム-137のレベルが上がりつづけていることが判明している。また、汚染が地下の帯水層や、湖や池のような閉じた水系に移行しているとされる。以下は、同ページに掲載されている放射性物質の減衰予想グラフ。黒い線がセシウム137。縦軸が残留濃度、横軸が経過年数(10000日は27.4年)]

[日本語版:ガリレオ-江藤千夏/合原弘子]
http://wired.jp/wv/2009/12/18/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA%E5%91%A8%E8%BE%BA%E3%81%AE%E6%A0%B8%E6%B1%9A%E6%9F%93%E3%80%81%E4%BA%88%E6%83%B3%E3%82%88%E3%82%8A%E6%B8%9B%E5%B0%91%E9%80%B2%E3%81%BE/

放射性物質:環境政務官「国が測っても信用されない」

 高山智司環境政務官は10日、静岡市内で記者会見し、東日本大震災で発生したがれきの放射線量の測定について「国が測ったのでは信用してもらえない。国も測っているが、その上で自治体にも測ってもらいたい」と発言した。

 これに対し、同席した大村慎一静岡県副知事は会見後、毎日新聞の取材に「国が『信用してもらえない』と言うのは、安全性の基準の根幹を揺るがす発言だ」と不快感をあらわにした。

 被災地のがれきを巡っては、国は安全性を確保されたものについて受け入れるよう、全国の自治体に要請。県は安全確保を徹底するため、受け入れの際には独自に放射線量の測定を行う方針を決めている。

 この日は記者会見に先立ち、県が自治体向け説明会を開き、こうした方針を説明。高山政務官は記者会見で国の姿勢について質問を受けた。【平林由梨】

毎日.jp 2011年12月10日 21時4分 更新:12月10日 22時41分
http://mainichi.jp/select/today/news/20111211k0000m040047000c.html?inb=fa

(東京)芝生シート高線量の小学校、セシウム9万ベクレル 杉並

 東京都杉並区の区立堀之内小学校(同区堀ノ内3丁目)で、4月上旬まで敷いていた芝生の養生シートを同区が調べたところ、1キログラム当たり9万600ベクレルの放射性セシウムが検出されたことがわかった。

 国が廃棄物処理できる目安とする「1キロ当たり8千ベクレル以下」を10倍以上上回っており、福島県郡山市の下水処理施設の汚泥(2万6400ベクレル)以上の数値だ。区は「シートは表面積が大きく、原発事故直後に広く放射性物質が付着したのだろう。放射性セシウムの濃度測定はキログラムで換算するため、シートが軽い分、高い数値が出たのではないか」とみる。

 環境省は12日夜になって「シート1キロに対し他の廃棄物1トンを混ぜて焼却すれば放射性物質は十分希釈される」と回答し、焼却処分を事実上認めた。これを受け、区は焼却する方向で検討している。

→続きは朝日新聞デジタルでご覧いただけます
http://www.asahi.com/national/update/1213/TKY201112130198.html

集ワイド:がれき処理難航、住民の苦悩深く 放射能検出復興の足かせ

 放射能汚染により、東日本大震災がれき処理が難航している。全国の自治体に広域処理を要請する政府、住民の反対などで受け入れできない自治体側。かくて復興が遅れていく。打開策はあるのか? 【浦松丈二】

 津波で壊滅的被害を受けた宮城県女川町。目の前には道路だけが続く。だが、カーナビには、ガソリンスタンド、コンビニ、ビジネスホテル、病院……震災前に存在した街並みが次々と映し出される。海沿いに黒っぽいがれきの山々が見えた。大きい。震災から9カ月。その大きさが復興の難しさを物語っている。

 同町では約6500棟の3分の2以上が津波で全壊。がれきの総量は約44万トンと同町の一般廃棄物115年分にも上る。須田善明・女川町長は11月24日の記者会見で「被災地住民にとってがれきの山々は、物理的にも心理的にも復興への足かせとなっている」と苦境を訴えた。

 同町石浜地区の海沿いにあるがれきの仮置き場。幅約60メートル、高さ約3メートルの白い囲いに、町立女川第一小学校の児童たちの絵約200枚が飾られていた。展示を企画したのは同小PTAの伊藤俊会長ら。「がれきの山を見ているとめいってしまうので。震災後に子どもたちが描いた笑顔の絵、未来の絵を飾りました。笑顔で埋め尽くして女川町復興の出発点にしたい」と話す。

 「子供達の輝く瞳 明るい未来が待っている」という長野県小布施町の林映寿・浄光寺副住職の書もあった。女川町の支援を続ける林さんは「がれきというのは確かにつらい言葉。目をそむけたくなる現実ですが、だからこそ、みんなの笑顔で囲んであげたいのです」と語る。

 仮置き場に集められたがれきには、家具や衣類などあらゆる身の回り品が含まれている。これらは機械で粉砕され、不燃物、可燃物、プラスチック、木くずに分別されていく。発見された個人のアルバムや位牌(いはい)などは町陸上競技場内に保管される。

 この仮置き場からは7日、東京都へのがれき搬出が始まった。宮城県内のがれきを東北地方以外の自治体が受け入れるのは初めて。東京都は11月から岩手県宮古市がれき処理も始めており、震災がれき広域処理のモデルケースとして全国から注目されている。

  ■

 これでめでたし、めでたし、なら良かった。しかし、東京都民の反応は複雑だ。都は品川区と大田区の処理施設にがれきを受け入れ、放射能を検査して安全性を確認したうえで、1日約300トン、合計約10万トンを、再来年3月までかけて焼却する予定だ。

 東京都日の出町にある、ごみ最終処分場の環境汚染に反対する市民団体、STOPエコセメント市民の会の下向(しもむかい)辰法代表は「会員には、東京も被災地の痛みを分かち合うべきだという意見も、痛みを分かち合うのはいいが放射性物質の拡散は困るという意見もある」と打ち明ける。

 日の出町の処分場は1984年に操業を開始。反対運動をする住民が複数の訴訟を起こしたが、敗訴が続いている。最後に残ったのは、同会が「ダイオキシンなど有毒物質を含む焼却灰を使ったセメントを出荷するのは問題」などと提訴した処分場のエコセメント施設操業停止訴訟。26日に地裁判決が出る予定だ。

 下向代表は「私個人としては、被災地の痛みを分かち合うことと放射性物質の拡散防止は別問題だと考えている。仮に敗訴しても控訴するが、その段階で放射性物質拡散を問題にしたい」と語る。都は、がれきに含まれる放射性物質を検査して安全性を確認する方針だが、「信用できない」と一蹴。独自に放射線量などを測定していく方針だ。

 「従来の化学物質に放射性物質も重なって、処分場の汚染は二重三重になる恐れがある。一方、ごみ問題に関心がなかった市民も放射性物質の拡散には危機感を持っており、新たな連携を模索したい」と期待感も示す。

 廃棄物の放射能汚染は被災地のがれきにとどまらない。秋田県大館市小坂町は、自前の処分場を持たない他県の自治体などからごみの焼却灰を受け入れてきた。ところが、大変な問題が起きた。7月、千葉県松戸市流山市の焼却灰から国の埋め立て基準(1キロ当たり8000ベクレル以下)の最高3・5倍の放射性物質が検出されたのだ。

 両市はその事実を確認しないまま焼却灰を運搬。一部はそのまま埋め立てられてしまった。秋田県が開いた住民説明会では受け入れ反対の意見が相次ぎ、基準値を下回ったものも含め、全ての灰を返却することに。今月中に千葉、埼玉、栃木、茨城、静岡、神奈川各県の10自治体と行政組合に計245トンが到着する。

 この問題に関心のある若者たちが3日、東京都内で学習会を開いた。講師役を務めた秋田県出身で市民団体「STOP!焼却灰 大館・小坂アクション」の村山森哉さん(29)は「放射性物質は災害廃棄物(がれき)だけでなく、既存の一般廃棄物の処理ルートに乗って首都圏から地方の処分場に送られ、押し付け合いが起きている。廃棄物の広域処理が問題なのです」と指摘する。放射性物質を含む焼却灰が全国をさまよっている。

  ■

 ごみ問題に詳しい瀬戸昌之・東京農工大学名誉教授は「大震災と原発事故で、全国のごみ処理の矛盾が浮き彫りになった。放射性物質は全国に拡散するのではなく、集中して遮蔽(しゃへい)・管理していくべきだ」と提言する。

 その費用負担については「汚染者負担原則(PPP)で処理するのが国際ルール」と指摘する。つまり、「汚染者」である東京電力放射線量の測定、汚染がれきの回収・処理、管理の全プロセスに責任を負うべきだというのだ。

 PPPは、経済協力開発機構OECD)が公正な経済活動に不可欠なルールとして日本など加盟国に求めている原則。環境を汚染した企業が汚染浄化の費用を負担することになり、企業や社会が環境にやさしい製品やサービスを求めていくことにもつながる。

 瀬戸さんは「原発事故で必要になった除染作業や汚染がれき処理の費用を国民の税金から支出する政府方針は、国際ルールに反する」と批判する。

 被災地のがれきを一日も早く処理し、原発事故を繰り返さないためにも、汚染者が費用を負担するというごく当然の公正さが問われている。

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毎日新聞 2011年12月12日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111212dde012040038000c.html

(東京都)ごみ行政 周辺自治体「苦渋の決断」 震災がれき後回し 

 可燃ごみ処理の行き詰まりで前市長が辞職し、十一日に告示された東京都小金井市長選。最大の争点のごみ処理も、本年度分は周辺自治体の「人道支援」で乗り越えられそうだが、その影響で、支援を決めた東日本大震災の被災地のがれき処理が遅れる懸念が出ている。「被災地も困っているのに」と、小金井市を優先する姿勢に疑問の声も上がっている。 (加藤益丈)

 「焼却炉の能力は限られている。小金井のごみを引き受けたら、被災地のがれきは受けられない」。小金井市のごみ五百トンの受け入れを決めた八王子市の担当者が残念がる。

 同市は、引き受け可能な被災地のがれきの量を五百トンに設定。その枠全てを、小金井市のごみ処理に使う。黒須隆一・八王子市長が先月、「身近な小金井がごみの山になるのは看過できない。苦渋の決断だ」と、小金井の前市長辞任を受けて決断した。

 唯一、今年も小金井のごみを受け入れ、先月新たに千トンの処理を受け入れた多摩川衛生組合(稲城市など)も本年度は、被災地のがれき処理を行わない方針。ごみ九百トンを引き受ける町田市も、来年三月下旬まではがれきの処理はできないという。

 被災地のがれき受け入れについて、多摩地区を代表して都と調整を重ねてきた福生市は「本年度は脱落するところが出るのは仕方がないが来年度はできるはず。小金井のごみを引き受けない自治体は、予定通り進めてほしい」と話す。

 被災地のがれきを後回しにする姿勢に対し、西多摩衛生組合(羽村市など)の担当者は「足並みをそろえて支援するはずではなかったのか」と驚く。同組合は小金井市のごみ処理の受け入れ予定はない。「被災地は自分の都合でがれきの処理を頼んでいるのではない。被災地の方が大切だ。一刻も早くがれきを減らすため、小金井ばかりを優先せず、少しでもがれきを処理するべきだ」と疑問を投げかける。

 都一般廃棄物対策課は「女川のがれき十万トンの処理の期間が延び、復興のスピードが遅れる懸念もある」と話し、事態の推移を見守っている。

 小金井市長選に立候補した候補者は、新人・元職計四人。候補者の一人は十二日、「少しでも多く被災地のごみを受け入れられるよう。ごみの減量に取り組みたい」と話した。別の候補者は「一刻も早くごみ処理を正常化し、被災地の復興支援に影響が出ないよう努力したい」と話した。

2011年12月13日 07時22分 (東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121390071423.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

放射線量を色で可視化する持ち運び型ガンマカメラ 東芝が開発

 東芝(6502)は、放射線量の高低を色の変化で表示して一目で分かるようにした持ち運び可能な「ポータブルガンマカメラ」を開発したと発表した。重さは9.8キログラムと従来機種に比べ約50%軽量化。独自技術で感度や性能を30倍以上向上させた。

 放射線センサーで測定したガンマ線と、ビデオカメラで撮影した映像を信号処理装置で重ね合わせ、放射線の量を色の違いで表示する。線量が高いほど赤く表示し、低くなるにつれ黄、緑、青と変わる。短時間で広範囲を計測できるため「ホットスポット」の特定が容易になり、感度などが高いため低線量の「ホットスポット」も見つけやすくなるという。

 今後は12月中に福島市と共同で実証実験を始め、2012年1〜2月から中央官庁や地方自治体などに対し、有料計測サービスの提案を開始する予定。有料計測サービスは、1日50万円程度を想定する。同社は「自治体などから要望があれば販売も検討していく」(広報室)としている。〔日経QUICKニュース〕

2011/12/13 12:08 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/tech/news/article/g=96958A9C9381949EE3E1E2E5E38DE3E1E3E0E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;da=96958A88889DE2E0E2E5EAE5E5E2E3E7E3E0E0E2E2EBE2E2E2E2E2E2

(埼玉県)川口市、仮保管の焼却灰を搬出 山形と群馬へ

 秋田県内の最終処分場の受け入れ停止に伴い7月から大量に仮保管されていた川口市のごみ処理施設の焼却灰が、山形県米沢市群馬県草津町の最終処分場に搬出されることになり、順調に作業が進んでいる。

 川口市朝日4丁目の朝日環境センターでは、溶融飛灰(排ガスのばいじんをセメントで固めたペレット状の固化灰)が、2炉の稼働で1日11トン出る。これを秋田県小坂町の最終処分場に埋めていた。同市藤兵衛新田の戸塚環境センターでは、2炉運転で1日10トン出る飛灰(ばいじん)を秋田県大館市の最終処分場に埋めていた。

 放射性物質の測定結果は、戸塚センターの飛灰が7月6日に1キロ当たり4100ベクレル、朝日センターの溶融飛灰は同3600ベクレルで、いずれも国の基準値以下だった。

 しかし千葉県松戸市から持ち込まれた焼却灰が国が埋め立てを認める基準値(同8千ベクレル)を大きく上回り、秋田県内の議会や住民の批判が高まったため、最終処分場側が受け入れを全面拒否。川口市からの運び出しも7月9日から停止した。飛灰や溶融飛灰は両環境センター内でプラスチック製フレコンパック(1立方メートル)に詰め、敷地内に保管していた。

 朝日センターでは10月31日時点で1299袋、戸塚センターでは441袋に達していた。新たな受け入れ先が決まったことにより、朝日センターでは11月1日から米沢市の最終処分場へ大型トラックでピストン輸送を続け、8日現在で115袋へ減った。戸塚センターでは8日午後、30袋を積み込んだ第1便の大型トラックが出発、草津町の最終処分場への運び出しを本格化した。処分場の受け入れは来年度3月末までの契約となっている。

 戸塚センターの大川龍彦所長(58)は「一時はどこへ持っていけばいいのか不安だった。見通しがついてほっとしている」。朝日センターの野尻敏夫所長も「このまま焼却灰を運び出せないと、最悪の場合は焼却炉の停止も頭をよぎった。一安心だ」と語った。

■返却灰18トン保管 加須市

 秋田県の処分場が首都圏からの焼却灰の受け入れを停止している問題で、加須市に戻る市搬出分の約18トンについて、処分先が決まるまで市のごみ焼却施設で一時的に保管されることが8日、分かった。

 返却される焼却灰は「加須クリーンセンター」から出た約9トンと「大利根クリーンセンター」から出た約9トンで、両クリーンセンターで保管する。同市の検査で焼却灰の放射性セシウムは1キロ当たり3200ベクレル以下と、国の基準値(同8千ベクレル)を下回っている。

 市は秋田県小坂町の民間最終処分場で焼却灰を埋め立て処理していたが、同じ処分場を利用していた千葉県流山市が基準値を超える焼却灰を運んだことをきっかけに、業者が7月14日から受け入れを停止。再開のめどが立たず、仮置きされていた同県大館市で今月3日、搬出作業が始まった。この問題で秋田県から首都圏の自治体へ返却される焼却灰は、6県6市町4事務組合で計約245トンに上る。

 秋田県での受け入れが困難になり、加須市は既に群馬、栃木県の処分場で焼却灰を処分している。市資源リサイクル課は「クリーンセンターが焼却灰で満杯になることはない」と説明。また、市民から「他県の焼却灰も来るのか」と懸念する声が寄られていることから、ホームページで今回の経緯を告知している。

2011年12月9日(金) 埼玉新聞
http://www.saitama-np.co.jp/news12/09/10.html

(岩手県)シートで飛散、侵出防ぐ 放射性物質含む焼却灰の飛灰

 (12/09)

埋め立て作業開始 胆江地区最終処分場

 奥州金ケ崎行政事務組合(管理者・小沢昌記奥州市長)は8日、胆江地区最終処分場(同市前沢区石田)で、放射性物質を含んだ焼却灰の飛灰をベントナイトシートで覆ってから埋め立てる作業を開始した。週1回のペースで当面、この方法を継続する。

 同組合が運営する胆江地区衛生センター(同市水沢区佐倉河)では、ごみ焼却後に残る主灰、焼却炉のフィルターに付着する飛灰から放射性セシウムが検出され、一時は飛灰から国の基準値(1キロ当たり8000ベクレル)を超える同1万500ベクレルに達した。

 同組合は8月から国の基準値未満となる混合灰にして最終処分場で埋め立て処理をしていたが、その後主灰・飛灰を分けて埋める方法に転換。2度にわたる住民説明会を経て、飛灰については「試験的に」ベントナイトシートで覆い、放射性物質の飛散や浸出を防ぐ方法に切り替えた。

 8日は、初めてベントナイトシートで覆う作業が行われた。持ち込まれた飛灰は、10トントラック3台分(約26トン)。粉末状のベントナイトを敷いた上に飛灰を盛り、上からベントナイトシート(幅1メートル、長さ5メートル)約10枚で覆った後、さらに覆土した。

 同組合によると、焼却による廃棄物は1日に13トン(主灰9・5トン、飛灰3・5トン)出る。飛灰は本来、微粉末だが薬品と水で固化してから処分しているという。この方法は放射線量が低くなるまで当面(少なくとも年度内いっぱい)は継続する方針。主灰は放射線量が低いため、従来通り埋め立てる。

 飛灰は2週間に1回、放射線量を調査し結果をホームページに公開しており、最近は4200ベクレル程度。1万500ベクレルを記録した106・5トンは現在も同センター焼却ピットに保管され、国の対応待ちの状態。最終処分場からの放流水も2週間に1回チェックしており、最近の数値では国の基準値(同150ベクレル)を大きく下回る8・7ベクレルという。

岩手日日新聞社
http://www.iwanichi.co.jp/tankoh/item_27195.html

汚染土灰、中間貯蔵施設を双葉郡に…環境省方針

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、放射性物質に汚染された福島県内の土壌や焼却灰を保管する中間貯蔵施設について、環境省は13日、候補地を同県双葉郡内とする方針を固めた。

 年内にも正式発表するとみられる。同省は同施設について「遅くとも2012年度内に立地場所を選定する」としており、今後、具体的な町村を絞り込む。

 双葉郡自治体は、同原発がある双葉、大熊町など8町村。大熊町の渡辺利綱町長は13日、中間貯蔵施設について「近く双葉郡自治体に説明する場を持つ」と12日に細野環境相から伝えられたことを明らかにした。関係者によると、会談では大熊町など、放射線量が高く、長期間居住が困難になる見通しの地域について、土地の買い上げや借り上げを検討していることが示されたという。

読売新聞 12月13日(火)14時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111213-00000690-yom-soci

東日本大震災 滞るがれき広域処理 放射能不安ぬぐえず 

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ごみ処理施設に搬入される岩手県宮古市のがれき=東京都大田区

ごみ処理施設に搬入される岩手県宮古市のがれき=東京都大田区

 東日本大震災で生じたがれきの広域処理が、福島第1原発事故による放射能への懸念から滞っている。東京都は11月、国の安全基準に従い、東北地方以外で初めて大規模な受け入れを始めた。一方、ほとんどの自治体が、安全基準の根拠を示すことなどが受け入れの条件とし、慎重な姿勢を崩さない。住民の不安を取り除く丁寧な説明が国に求められる。(東京支社・佐藤健介)

 岩手、宮城、福島の3県では約2300万トンのがれきが出た。被災自治体の処理能力を超え、仮置き場からの自然発火や異臭が深刻だ。平地が少なく新たな処理施設の建設用地確保も難しい。

 国は放射能汚染度の高い福島県分を除く岩手、宮城両県分の2千万トン余りを、3年かけて全国の自治体で分担処理する計画を立てた。だが、環境省が11月に発表した調査結果では、受け入れに積極的なのは計54の市町村と一部事務組合で、4月の調査から10分の1以下に減った。兵庫県の全市町を含む多くの自治体が、放射能拡散への不安から態度を硬化させたためだ。

 東京都は11月に岩手県宮古市がれき処理を始め、来年2月から宮城県女川町からも受け入れる。2013年度までに両県の計50万トンを処理する方針だが、両県の総量のわずか2・4%だ。

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 都が安全性の根拠とするのは、国が専門家の積算などを基に定めた基準。放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8千ベクレル以下の焼却灰は一般のごみとして扱い、最終処分場で埋め立て可能としている。環境省は「8千ベクレル以下の焼却灰の近くで、1日4時間の作業を年間250日続けても健康に影響はない」と説明する。

 都は8千ベクレルを下回るがれきを気密性の高いコンテナで運び入れ、焼却灰も8千ベクレル以下なら処分場に埋め立てる。埋め立ての際は焼却灰を土やシートで覆って飛散や雨水からの放射能漏れを防ぐ。

 都は「作業員以外は処分場に立ち入りできない。排ガスの放射性物質も焼却炉のフィルターで取り除ける。健康に問題はない」としている。

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 だが、国の基準自体への不安は根強い。被災地のがれきを処理する山形県は、埋め立て可能な濃度を4千ベクレル以下とする独自の基準を設定。受け入れに前向きな静岡県も、基準の根拠を明確に示すよう求める要望書を環境省に提出した。

 兵庫県は「濃度でなく総量が健康に与える影響や、放射能が付着した焼却炉のフィルターの処理方法などを示し、安全性を保つことが受け入れ検討の前提」と指摘する。神戸市は「ノウハウがないので、がれきの移動方法など東京都の事例を検討の参考にしたい」と話す。

 環境省は「8千ベクレルはかなり厳しく設定した数値。総量が多くても適切に管理すれば被ばくは防げる」と強調。年内に住民説明用の資料を自治体に配るほか、焼却炉内の作業指針作りなども検討し、受け入れを促す。

(2011/12/07 15:15) 神戸新聞
http://www.kobe-np.jp/news/shakai/0004667268.shtml

(福島県)汚染廃棄物保管研究会・保管ボックスを設置/中島村で放射線低減試験

 汚染廃棄物仮置保管施設研究会(会長=村瀬太一郎昭和コンクリート工業社長)はこのほど、除染作業で発生した土砂などの放射線汚染物を仮置きするコンクリート製高濃度汚染物質保管ボックスを開発し4日、中島村大字川原田で放射線汚染物質の低減試験を行った。
 低減試験は、中島村原山行政区と同村の共催、同研究会の協賛で、原山地内の村有地で行われた。同研究会の会員企業が村内に工場を有していることから同会が申し入れして実現した。
 今回使用した保管ボックスは、外形が1・7m四方で、高さ1・6m、重量約5・9tのコンパクト型の移動式保管ボックス2個。コンクリート壁厚は20cm、内空は1・3m四方の高さは1mメ、内空容量は1・7立方mのコンパクトタイプでトラックでの輸送が可能。1個当たりの価格は24万円。
 同行政区が通学路などの染作業で発生した土砂や落ち葉、草などを詰めた土嚢袋をクレーンで吊り上げ保管庫内に収納、コンクリート製の蓋を被せて固定した。その結果、1・5マイクロシーベルトだった放射線量がボックス外側では0・3〜0・2マイクロシーベルトまで減少した。村では効果が実証されたとして中間貯蔵施設が完成するまでの仮置場として使用する事を決めた。
 同研究会はコンクリート製品メーカー、シートメーカー、大手ゼネコンなど6社で組織し今年10月27日に設立した。
 会員企業は昭和コンクリート工業、共和コンクリート工業、シーアイ化成、大成建設東栄コンクリート工業、吉田セメント工業の6社で、事務局は昭和コンクリート工業東北支店内に置く。

2011.12.06 福島建設工業新聞社
http://www.fk-news.co.jp/box/f_topics/2011120601.html

東日本大震災:がれき受け入れ安全基準要求 関西広域連合

 関西広域連合は10日、京都市で連合委員会を開き、東日本大震災で発生した災害廃棄物(がれき)を受け入れるための安全基準を示すよう、国に申し入れることを決めた。処理方針やスケジュールの明確化も求める。

 環境省はがれきが安全に埋め立てられる目安を1キロ当たり8000ベクレルと規定。一方、原子炉等規制法では、原発の工事で発生したがれきについて1キロ当たり100ベクレルを再利用可能な基準としている。

 連合長の井戸敏三兵庫県知事は「受け入れを前向きに検討したいが(二つの)基準が大きく乖離(かいり)している。処分場を持つ市町村への説明がつかず受け入れを要請できない」と述べた。

 また、国の出先機関の権限・財源の移管をにらみ、現行の連合委員会を、連合理事会に改める組織改編についても合意した。理事会で広域連合の事務を指揮、監督する「事務総長」のポストを設ける。全会一致が原則の連合委を、多数決の理事会に見直すことで、意思決定の迅速化を図る。

 委員会後、井戸知事は橋下徹・新大阪市長が、広域連合参加を表明していることについて、記者団に「大阪市単独で入りたいということなら、拒む理由はない」と述べた。

 この日は大阪府松井一郎知事が就任後、初めて参加した。【堀文彦、入江直樹】

毎日新聞 2011年12月11日 0時47分(最終更新 12月11日 0時55分)
http://mainichi.jp/select/science/news/20111211k0000m040088000c.html

放射性物質:除染方法を具体的に…環境省がガイドライン

 環境省は11日、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の除染に関するガイドラインを公表した。今月中に指定予定の「汚染状況重点調査地域」での作業を想定。実際の除染作業は自治体が行うため、除染計画を立てる際の放射線量測定方法、除染のやり方、汚染土壌などの収集・運搬、現場や仮置き場での保管方法の4項目について、イラストや写真で具体的に説明した。同省ホームページ上で14日から閲覧できるほか、関係自治体に配る。

 ガイドラインでは除染方法について、効果を確かめながら段階的に実践していく方法を示した。例えば屋根の除染では、まず落ち葉やこけなどを取り除き、ブラシなどでこする「ブラッシング洗浄」を実施。線量が下がらない場合は高圧洗浄に切り替え、それでも効果がない場合は削り取りを検討するとしている。除染後の排水は、できる限り回収するよう指示した。

 汚染廃棄物の大量発生を抑えるため、庭などでは表土を1〜2センチずつ削って効果を確かめながら除染し、樹木の伐採は他の方法で効果が期待できない場合に実施する。

 廃棄物を保管する「仮置き場」についても、放射能濃度や施設規模などに応じた管理方法を明記した。空間線量が毎時1マイクロシーベルト程度の地域で生じた小規模な廃棄物の場合は、雨水が入り込まないようにした上で30センチ以上土で覆うか、建物から1メートル以上離れた場所で袋などに入れて保管する−−などの例を示している。【藤野基文】

2011年12月12日 11時2分 更新:12月12日 13時17分
http://mainichi.jp/select/today/news/20111212k0000e040061000c.html?inb=ra

返送焼却灰、貨物列車で大館出発 第一陣、埼玉県へ

 首都圏から大館市小坂町に運び込まれた放射性セシウムを含むごみ焼却灰合わせて18・25トンの入ったコンテナ3本が6日、JR大館駅から埼玉県加須市に向け出発した。強風のため貨物列車が運休となり、出発が2日連続で延期されていた。8日に同県熊谷市の貨物駅に到着後、トラックで加須市内の2つのごみ焼却施設に運ばれる予定。

 DOWAエコシステムによると、県内に残っている首都圏からの灰のうち、小坂町に留め置かれている計219トンが入ったコンテナ23本は11〜16日に搬出され、17日までに大館駅を出発する。大館市に保管されている8・15トンが入ったコンテナ1本は今月中に搬出される予定。

さきがけ on The Web(2011/12/06 19:59 更新)
http://www.sakigake.jp/p/akita/national.jsp?kc=20111206n

焼却灰受け入れ反対署名、小坂町に提出 鹿角の市民団体

 首都圏からの一般ごみ焼却灰の受け入れを小坂町が7月から中止している問題で、鹿角市住民団体「大地と子供を放射能汚染から守る会」(戸澤洋子代表)は5日、受け入れ再開に反対する1882人分の署名簿を細越満町長に提出した。

 会は同市の母親ら10人でつくっており、メンバー4人と大館市住民団体代表1人が町役場を訪れた。戸澤代表は「県と処理業者が出席して説明会を開いてほしい」と要望した。

 細越町長は「皆さんの気持ちは重く受け止める。説明会開催に向けて調整している」と返答。町主催の勉強会に反対運動を展開している町内の団体が推薦する講師を招くことも検討しているとした。

 戸澤代表は取材に「要望に対し、町が前向きな姿勢を示してくれた。評価したい」と話した。

さきがけ on The Web(2011/12/06 09:42 更新)
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20111206f

宮城県女川町のがれきも都内へ搬出 140トン試験焼却へ

 東日本大震災で発生した宮城県女川町のがれきを東京都へ搬出する作業が7日、同町の破砕選別場で始まった。都と女川町が11月に結んだがれきの広域処理協定に基づき、来年2月の本格的な開始を前に、計140トンを都内で試験焼却する。

 宮城県によると、女川町のがれき総量は計51万2千トンで、うち焼却可能なのは14万6千トン。

 この日は、山積みの一時仮置き場からガスボンベなど危険物を取り除いて隣接する中間処理施設に搬送。がれきをベルトコンベヤーに乗せ、細かな金属を磁石で除去、その後、約20人が手作業で選別作業に当たった。がれきは8割が木くずとなった。

 放射線の空間線量やコンテナごとの遮蔽線量率を測定。基準値を下回っていることを確認した上で、約10トンを積んだコンテナ10個をトラックで仙台市に輸送し、貨物列車に積み直して13日に都内の清掃工場で一般ごみと一緒に焼却する。

 須田善明女川町長は「地元で処理すれば100年かかる。東京の理解と協力にお礼申し上げたい」と話した。

 東京都は協定に基づき2013年度までにがれき約10万トンを処理する予定で、来年2月から1日約50トンの本格受け入れを始める。

 都は岩手県宮古市のがれきの受け入れも始めており、13年度までに両県のがれき計約50万トンを処理する方針。〔共同〕

2011/12/7 13:05 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819695E2E5E2E3978DE2E5E3E0E0E2E3E39191E2E2E2E2

(神奈川)放射性物質検出の焼却灰保管で県がテントハウス建設へ、地元は「分散を」/茅ケ崎

 東京電力福島第1原発事故後、汚泥を燃やした焼却灰から放射性物質が検出された下水処理施設「相模川流域下水道左岸処理場」(茅ケ崎市柳島)で、敷地内から焼却灰を運び出せない状況が長期化している。安全に保管するため、管理者である県は本年度中に敷地内にテントハウスを建設する。同施設は主に県内6市1町の汚水を処理しており、地元からは分散保管などを求める声も出ている。

■年度内に

 テントハウスは太陽光や潮風によるシートの劣化などを防ぐため、年度内に敷地西側と南側に計5棟建設する。現状は焼却灰を袋に詰めた上で敷地内の道路にブルーシートをかぶせて保管している。建設費約1億4千万円は、相模川流域下水道を利用する9市3町が積み立てている予備費で賄う。

 汚泥は処理場内の焼却炉で燃やされ、1日当たり約9トンの灰が出される。従来はセメントの原料として処理業者が有料で引き取っていたが、放射性物質が検出されてから引き取られなくなり、8日時点で約2757トン(2891袋)が屋外に積み上がっている(一部は試験的に搬出)。

■数値は低下

 焼却灰の測定値は、5月30日に放射性セシウムが1キロ当たり約4400ベクレル検出されたが、11月28日は742ベクレルまで下がっている。

 大気中の放射線量は5月から茅ケ崎市内のモニタリングポストと同等の数値で推移。5日に記者も立ち会った測定で、搬出されたばかりの袋から2〜3メートル、高さ約1メートルの数値も同等だった。

■負担共有を

 9月20日、服部信明茅ケ崎市長は黒岩祐治知事宛てに焼却灰を敷地外で保管することを求める要望書を提出した。地元自治会も11月10日、処理場を利用する流域市町での「分散保管」を求める要望書を提出。「なぜ地元だけが、との思いが大変強い」と記し、負担の共有を訴えている。

 先行して建設するテントハウス3棟は、現在の保管分でいっぱいになる。残り2棟の容量も限られるため、分散保管や受け入れ先の確保が急務となっている。 

2011年12月10日 カナロコ
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1112100013/

(神奈川)汚泥から放射性物質の検出止まる 長岡市の下水処理施設

・全21カ所
 長岡市は13日、これまで放射性セシウムが検出された中之島浄化センターと田麦山浄化センターの汚泥から放射性セシウムが検出されなくなったと発表した。今回の調査で、市内の下水処理施設21カ所全てで検出されないことが確認された。

 先月の調査では、中之島放射性セシウム137を1キログラム当たり12ベクレルなど、田麦山で同137を同13ベクレル検出。今月9日に、この2施設を含む5施設の汚泥を調査し、いずれも検出されなかった。

新潟日報2011年12月13日
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/pref/30168.html

(秋田県)がれき受け入れに向け岩手と協議 知事が意向表明

 岩手県から要請を受けている東日本大震災がれき処理について、佐竹敬久知事は8日、「(排出元の)がれきの放射能レベルはかなり低く、安全性を確保できる」と述べ、がれき受け入れに向けて岩手県側と協議を進める考えを表明した。近く、処理施設を運営する市町村と一部事務組合に処理への協力を求めた上で、意向を確認する。臨時会見を開き、明らかにした。

 本県が処理要請を受けているのは、沿岸北部(久慈市洋野町、野田村、普代村)のがれき計13万トン。

 県が7日に岩手県から提供を受けた放射性物質の測定結果によると、4市町村のがれきの濃度は、検出下限値を加えても1キロ当たり36〜75ベクレルで、環境省の指針で示された「クリアランスレベル(放射性物質として扱う必要がないもの)」の100ベクレルを下回った。

さきがけ on The Web(2011/12/08 15:36 更新)
http://www.sakigake.jp/p/special/11/eastjapan_earthquake/akita.jsp?kc=20111208l

twitterから「世界初、放射化コンクリートの放射能低減化技術を開発」