マネックス・ショックの経緯

goodfield2006-01-22

今週は株式投資をしている人間にとっては非常にハードな1週間でした。
マスコミではライブドア・ショックと言われていますが、ネット上では「マネックス・ショック」であると喧伝されています。
その内容について整理してみました。


まず最初は「ライブドア・ショック」からです。


>1/16 18:43 「東京地検証券取引法違反の疑いでライブドア強制捜査
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060116-00000018-tcb-biz


当然のごとく翌日1/17の寄り付きはライブドアはストップ安、その他ネット関連企業も大幅に値を下げて始まりました。


>1/17 9:21 「17日ソフバン、楽天、ヤフー安い、ライブドア影響」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060117-00000201-rtp-biz


しかしながら、最初こそ急落したものの日経平均前場終了時には前日比プラスに転じていました。(右上の当日のチャートもご覧下さい)


>1/17 11:00過ぎ 「ライブドアショック織り込み、平均株価は54円高と反発」
http://money.msn.co.jp/news/newscon1.asp?ac=K20060117015&cc=10


そうして12:30に後場が始まり、私も含めたサラリーマンの昼休み中13時頃までは日経平均は揉み合いとなっていました。
ところがその裏では下のような通知がマネックス証券から顧客に対してなされていたのです。


>1/17 昼頃 「【重要】ライブドア株式等の代用有価証券の掛目の引き下げについて」
https://www.monex.co.jp/AboutUs/000030X4/member/M901/new/news601h.htm


このページはマネックス証券に口座を持っていてログインしてからでないと見られないため、この話が広がるまである程度時間がかかったようです。
そして、13時過ぎから暴落が始まります。(再び右上の当日のチャートもご覧下さい)
結果は以下の記事の通りです。


>1/17 17:00 「日経平均大幅反落・ライブドアショックの影響で個人投資家が見切り売り」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060117-00000014-tcb-biz


この記事の中でマネックス証券の名前こそ出ていませんが、マネックス証券ライブドアとその関連会社の掛け目を即日(その日の引け後から)いきなりゼロにしたことが急落の一因として指摘されています。
この17日午後からの暴落を私は「マネックス・ショック」だと思っています。
マネックス証券の上記の通知が何故このような暴落を引き起こしたかは、他所でいろいろと解説がなされていますので、そちらをご覧になってください。
このページではとりあえず経緯だけを追っていきたいと思います。


明くる1/18の前場はもう以下の通りです。


>1/18 11:58 「続急落、日経平均は400円を超す大幅な下げに」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000037-reu-bus_all


そしてここでさらに追い討ちを掛けるようなニュースが飛び込んできます。


>1/18 12:46 「投資者及び関係の皆様へ」(東京証券取引所)
http://www.tse.or.jp/news/200601/060118_a.html


こうなるともう止まりません。東証が売買停止になる前に売れるものは売って現金にしておかなければ追証が払えなくなってしまいます。
これが「東証ショック」です。


>1/18 14:20 「東証全面安、日経平均は一時700円超える下落」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000004-yom-bus_all


そしてとうとう「その時」がやって来ました。


>1/18 14:25 「売買取引の全面停止について」(東京証券取引所)
http://www.tse.or.jp/news/200601/060118_c.html


終わって見ればこの通りです。


>1/18 16:16 「大幅続落、東証の取引停止リスクで下げ加速」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060118-00000077-reu-bus_all


この2日間に渡る「ライブドア・ショック」=>「マネックス・ショック」=>「東証ショック」のトリプル・コンボで大勢の投資家がノックアウトされたのです。


そして上記3つのうち、「マネックス・ショック」だけが何故かマスコミ上ではあまり取り上げられません。
おそらく「ライブドア」「東証」に比べて「マネックス」の知名度が著しく低くニュース価値が低いのと、説明するのが面倒くさいからでしょう。


しかしながら一番影響が大きかったのは「マネックス・ショック」だったと思います。「ライブドア・ショック」は関連株を保有していた方にはそれこそ致命的なダメージを与えたでしょうが、影響範囲は市場全体からみればそれ程広くはありませんでした。(IT関連、ネット関連銘柄ぐらい)
ところが「マネックス・ショック」はライブドア関連株を保有している・していない、信用取引をしている・していないに関わらず大変多くの市場参加者にダメージを与えました。


東証ショックは確かに値下がりを加速しましたが、実際に売買停止になる前にはすでに日経平均は上向きつつありました。


一般のマスコミは置いておいて、さすがに市場関係者は誰が今回の暴落を誘発したかを理解しています。
既にこの時、Yahooのマネックス株の掲示板などはすさまじい量の書き込みに溢れていました。


Yahoo!掲示マネックス・ビーンズ・ホールディングス
http://messages.yahoo.co.jp/?action=q&board=8698


そうしてとうとう、大臣や金融庁も乗り出してきました。


>1/19 10:55 「与謝野金融担当相、担保掛目ゼロに他の証券会社が追随しなかったのは賢明な判断」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060119-00000010-tcb-biz


>1/19 20:19 「金融庁、掛け目変更でマネックス証券に事情聴取・松本マネックス社長は反発の姿勢」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060119-00000029-tcb-biz


これに対してのマネックス証券の反応は以下のようなものでした。


>1/19 夜間 「与謝野金融担当相の発言に関して」
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/rel20060119.htm


>1/19 夜間 「2006年1月19日 時事通信社配信ニュースについて」
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/rel20060119_2.htm


このうちの「与謝野金融担当相の発言に関して」の文中の最後にある


>当社による5銘柄の代用有価証券掛目の引き下げと、ここ数日間の市場全体の
>株価変動との間には、因果関係があるとは考えておりません。


上の2行が投資家の怒りに火をつけました。少なくとも私はそうです。


特捜がライブドアに入った段階で一般常識を持ち合わせている人間ならば「無実ということはまずありえない。最悪、上場廃止まで行くかもな。」ぐらいの事は考えます。


ライブドア関連の株を保有していた人たちが「買わなかったことにしたい」と思うのと同じように、ライブドア関連株を担保として受け入れている証券会社の経営者も「担保価値をゼロにして別の担保を入れてもらうか、貸した金を返して欲しい」と思うのは分かります。


それでも、マネックスと同じように場中に「今日の引け後からライブドア関連の株の掛け目を(いきなり)ゼロにします」と発表した証券会社はひとつもありませんでした。


何故ならそんな発表を場中にしたらパニックが起きかねないことが分かっていたからです。
しかし、マネックスはそんな愚行を本当にやってしまいました。


しかも、反省がまったく感じられません。このような証券会社には退場していただきたいと思います。
いくら危ない銘柄を避けて現物しかやっていなくても、再度同じような状況が発生したときにまた同じ対応を取られて再び暴落を起こされたらたまったものではないからです。


同じように考える人は多いようで、1/20の前場東証1部値下がり率第1位でした。


>1/20 11:31 「マネックスが安い、ライブドア関連5社に対する掛け目変更が個人投資家の反発を食らう」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060120-00000007-tcb-biz


今になって「今後は開示の仕方を考える」というようなことを言っておりますが、相変わらず明確な謝罪の言葉は出てきていません。


>1/20 16:42 「担保掛目引き下げ、市場に影響与えたとは考えづらい」
http://charge.biz.yahoo.co.jp/vip/news/rtr/060120/060120_mbiz2708389.html


ちなみに、上記の記事中にあるようにここまでの決算は絶好調だったようですが、これからどうなるかは要注目だと思っています。
下のページは週次でマネックスの口座数や預り資産が発表されるページです。これからの推移を見守っていきたいと思います。


マネックス証券 週次概況
http://www.monexbeans.net/investor/account_volume_ms_weekly.htm


最後に、聞かれる前に書いておきますが自分は現物しかやっておらず、ライブドア関連の株も保有していなかったため今年になってからの含み益が飛ぶぐらいで済みました。
それでもこんな事をされるのは2度とごめんだ、という気持ちでこの記事を書いています。