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GYP総合研究所 アクイ の 人差し指(GYP総研 Wablog支部)
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2005-08-28 ぺびっちょ よ!永遠に!! このエントリーを含むブックマーク

僕は、かすかな頭痛が段々と酷いものになってくるのを感じていた。

僕の見ている世界が、この老人の作り出した電気信号?

電気信号を止められたら僕の脳は活動を停止する??

納得などできる状況ではないのに、僕は僕の置かれた状況を理解できたように思った。

その瞬間、理解は恐怖へ変わった。無意識に、僕は叫び声を上げていた。

「ウォオオオオオ〜〜!!」しかし、恐怖は更に広がり、重い漆黒の闇が僕を覆い尽くそうとしていた。

一瞬、あの気配を感じた。そしてひと筋の光が見えたような気がした。「君は第三の眼を持っているんだ。勇気を出して、前向きに生きるんだ!」ぺびっちょのささやきが聞こえたような気がした。

しかし、漆黒の闇に押しつぶされるように、僕は意識を失った。

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「ウォオオオオオ〜〜!!」モニターのスピーカーから絶叫が響き渡った。

「チッ!買い被りだったか・・・。この男も発狂した。」

老人は、つぶやきながら、リモコンのオフボタンを押そうとした。

「酷いことするね!」

モニターのスピーカーから、のんびりしたそれでいて凛とした声が聞こえてきた。

「なんだ??」たじろいた老人は、すぐに全てを悟った。

ぺびっちょか?」老人の問いかけに

「そうだよ、ぺびっちょだよ!」モニターからの答えが有った。

「酷いことをするね!他人の命を奪うことまでして、ぺびっちょに逢おうとするなんて。」さっきより、張りの有る声で、ぺびっちょは言った。

「酷いか・・・?まぁそうかもしれん。しかし、街のスプーン曲げ自慢を通じて ぺびっちょに会えるとは、意外じゃった。霊媒師、霊能師、僧侶、神官・・・みんな発狂してお終いじゃったよ」全てを悟った老人は、動じる気配もなく答えた。

「本当のひとでなしだね、あなたは。」ぺびっちょの言葉は軽い侮蔑を含む口調だった。

ひとでなしかね、私は。はっはっは、どちらかと言えば、求道者か究道者と言って欲しいもんじゃが。但し、目的の為には手段を選ばんのも事実じゃがね。」老人が答えた。

「で、ぺびっちょを追い求めて、永遠の命を手に入れるって?そのために、何人の命を奪っても平気だなんて、マッドサイエンティストだね。」怒りを噛み殺すかのように、ぺびっちょは、つぶやいた。そして、こう続けた。

「他人の発明・発見を拝借して巨万の富を築いた挙句に、人の命を踏み台に永遠の命を得ようだなんて、あなたは本当にクズだね!!」ぺびっちょの口調が明らかに荒くなった。

戦後の混乱期、私には何もなかった。カネはおろか、食うものも・・・そして生まれながらにして体力にも恵まれていなかったしな。生き抜くには、アタマを使うしかなかった。幸いなことにIQ220の頭脳には恵まれていたから、狡猾に生きることを選んだんじゃ。旧・日本軍研究施設や戦後の混乱期に各界の研究者から手に入れた成果が私の発明・発見となっておる。もちろん、死人に口無しじゃから、だれも文句は言わん。お陰で、富を得ることはできた。しかし、私も齢80を重ね、歳をとり過ぎた。永遠の命を手に入れたい。」老人は、顔色も変えず、落ち着いた調子で語った。

「あなたが、生きる意味はなんなの?永遠の命を得て、ただ生きるだけのつもりなの?『欠伸が出る程平穏な毎日を手に入れる』なんて生き方をしたいの?ただ生きるなんて、中身のないページSEO コンテストに参加している参加者みたいなものだよ。」ぺびっちょは、もう怒りを隠そうとはしていなかった。

「ほう、ほ、ほ、ほ。でも、まぁ、君が何を言っているのか不明だが、何を言いたいのかはわかる・・・そんな気がするよ。」老人は、笑いながら言った。そして、持っているリモコンの先ほど押そうとしたボタンとは別のピンクのボタンに指を掛けた。

「まぁ、君の意見はありがたく聞いておくことにするよ。私に永遠の命を与えてくれる恩人の意見としてね。」老人は背筋を伸ばしながら、モニターを見つめて言った。

「おしゃべりはここまでだ」鋭い目つきに変わり、ピンクのボタンに掛けた指に力を込めながら老人は言った。「君から永遠の命を頂く!」

「そう、おしゃべりはここまで。そして、サヨナラするのは、あなただよ!!」モニターのスピーカーからではなく、どこからともなく部屋中にぺびっちょの声が響き渡った。

「なにっ!?」老人のたじろぐ姿がそこにあった。

「『目に見えるぺびっちょは、影。ぺびっちょの実体は、心の貯水場に住んでいる』って、あなたも判っていたはずだよね?僕は、あなたの心に潜んでいた ぺびっちょだよ。それに気づかないなんて、あなたは求道者なんていう割りには何も見えていなかったんだ。あなたの身の上には同情もしてきた。如何に他人を踏みつけても同情と憐憫を感じてきた。でも、他人の命を踏みつけて生きてきて更に永遠に生き続けようなんて間違っているよ。夜空の星も人の命も限りの有るものだからこそ輝くものなんだよ。あなたの命は輝くどころか、くすんでいく一方だ。ぺびっちょ最大の間違いはあなたに同情したことだった!もう、サヨナラの時間だよ。」

「ワァーッ!私は、まだ死にたくない!助けてくれ!!」老人の叫ぶ瞬間、一瞬の白い閃光が走った。

そして、漆黒の無の世界が広がった。最初からそこには何もなかったかのように。

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僕は、目を覚ました。爽やかな朝だった。もう陽は高く昇っていた。

窓から、そよぐ風に、「奇跡の超能力 第三の眼獲得法―透視・予知・願望実現能力がつく驚異の超常能力開発システム」という本のページがめくられていた。その様子に、風で若い女性のスカートがめくれる姿を連想した僕は、自分自身に苦笑した。

それにしても、久しぶりに長く寝た気がする。とても、長い夢を見ていたような気がする、思い出せないけど。でも、実に爽やかな気分だ。

テレビをつけるといつものチャンネルで、ワイドショーを放送していた。デースケドガー政府観光局カウンセラー Cielあいき。クリニック陶芸家 佐々木硯城小説作家 HuraHuraが、セレブを対象にしたリゾートカウンセリングサロンをクウネル島に開設したなんて話が流れ、その豪華さ優雅さに感嘆するリポーターやコメンテーターの姿が映っていた。そんな光景さえ、微笑ましく感じられる爽やかな気分が、僕自身不思議に思えた。

ふと、「勇気」「前向き」なんて言葉が頭の中に浮かんでは消え、浮かんでは消えしているのに気づいた。「勇気、前向き・・・。」僕は、つぶやくと受話器に手を伸ばした。

無意識の内に、覚えのある番号をダイヤルしていた。

「あ、僕だけど・・・もう一度、二人でやり直そう。二人で、ゲルマニウム ブレスレットの似合う夫婦としてやり直そう!」

今まで、妻と向き合う時に感じていた頭痛は感じなかった。そして、電話の向こうの妻が、無言で頷くのが感じ取れた。

テーブルに目をやると、風でページのめくれていた件の本に、ぺびっちょと書かれたカード(保険証?)が挟まれているのに気づいた・・・。

ぺびっちょ・・・?ぺびっちょってなんだろう??」

僕は、つぶやいた。窓の外の空は、相変わらず雲ひとつ無い爽やかな空だった。   (完)



「ぺびっちょがキタ。」最終章dai募集