死刑執行人の苦悩

 kanjinai さんのエントリーを読んで、いくつか気づいたことがある。

 引用されているヤフーのアンケートサイトであるが、

 鳩山邦夫氏が法相退任会見の中で、「法相が絡まなくても、死刑執行が自動的に進む方法があれば」と発言。この案に賛成? 反対?

http://polls.dailynews.yahoo.co.jp/quiz/quizresults.php?poll_id=1304&wv=1&typeFlag=1

 この設問にはひっかかりを感じる。
 「死刑執行が自動的に進む方法」というが、鳩山さんが問題視する刑事訴訟法・第475条を改正したとしても、決して死刑執行は「自動的」には進まないと思われるからだ。
 死刑制度は、刑務所で死刑囚の絶命に関わる人、つまり、死刑執行を業務とする刑務官を必要とする。死刑にどのような手法を用いるにせよ、他者の絶命に直接に手をくだす人間の意志が介在しなければ、死刑制度は成り立たない。その意味で、死刑が自動的に進むことはない。

死刑執行人の苦悩 (角川文庫)

死刑執行人の苦悩 (角川文庫)

死刑執行人の苦悩

死刑執行人の苦悩

 本書は、死刑執行の業務に携わる刑務官に取材した本である。法が正当化するとはいえ、死刑執行は刑務官とその家族に心の傷を与える。死刑制度には、誰かに死刑執行という役回りを押しつける側面がある。鳩山さんもアンケートの設問者も、その点を忘れているのではないかという疑問を抱いた。

参考

死刑の現場とは : A Tree at ease
死刑を執行したら、執行する人は「人を殺してしまった」という... - Yahoo!知恵袋
愚慫空論 理由なき殺人