Loveless(愛無き世界) このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-07-17

あんにょん由美香

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オフィシャルサイト

ポレポレ東中野にて知人に連れられて観てきた。松江監督の『童貞。をプロデュース』も未見だったので、この人がドキュメンタリー作ってるって言う事自体知らなかった。

2005年に亡くなった女優・林由美香が過去に出演した日韓合同制作の『東京の人妻 純子』の謎をきっかけに、松江監督が林由美香周辺の人々にインタビューして回るドキュメンタリー形式の映画だ。

何と言うか、単純に好みの問題として、私は映像関係の業界人の斜に構えたサブカルちっくな態度とかAV女優を【敢えて】称揚するような(例えばラスコーリニコフが売春婦のソーニャに癒されてしまうようなメンタリティというか)風潮に嫌悪感を持ってるので、その辺は若干鼻についた。あと、作品の作りとして映像がどうもHDのハンディカムで撮ったみたいにのっぺりパキッっとしてるのと、やたら編集でモノローグ入れる部分が説明過剰臭くて馴染めなかった。最後に、ストーリー上、『東京の人妻 純子』の失われたラストシーンを撮り直すってシーンがあるんだけど、そういうドキュメンタリーに作り手の意図のようなものを塗りこめるのもちょっとありがちで安っぽいかなー、と思った。

と、色々難癖をつけてみたものの、全体としては「面白い」と言って差し支えない映画だったように思う。何より、林由美香の破天荒な人物像がその周辺の人々のインタビューによって徐々に浮かび上がってくる過程が面白い(面白いのだけど、若干冗長でもある)そもそも、林由美香の事自体しらなかったので。

加えて、単純に、北海道や韓国にロケに行ってて、その映像がボーっと観てると心地よかったというのもある。どうやら音楽には川本真琴が参加してるらしくって、なかなかジーンとくる曲が多くてとても良かった。

実際に、林由美香を起用して映画(所謂AVやピンク映画)を撮った監督にインタビューをしているのだが、この女傑の周囲の男たちの屈折した想いが何とも言えない。皆、林由美香との関係を綺麗な言葉やおどけた態度やしかつめらしい態度で取り繕おうとするのだが、どうしても滲み出る安っぽい性欲のような、愛欲のようなものと、「ゲージュツカ」としての自意識が混在一体となって、どうにもこうにも傍目から見るとダメなアーティスト気取りの男がメソメソしているようにしか見えない態度をさらけ出す……と言った構図が過去の林由美香作品の映像を交えて垂れ流される。このスカスカした感じはとても冗長でホームビデオを見ているがごとくなのだけど、最後には観る人の中にそれぞれの「林由美香」像を描き出すことに成功しているように思えた。何とも言えない不思議な後味のする映画だ。

どうやら、興行は好評らしく、ポレポレ東中野で8月以降も枠を増やして上映されるようです。

あ、観に行った日は松江監督が挨拶してたのだけど、若いのにとても腰が低くて、映画監督らしくない良い人に見えました。

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