村上隆『リトルボーイ』〜ピカチュウのピカはピカドンから〜
とにかく戦後日本文化の全てを原爆に結びつけるその語り口は、妄想スレスレだけどスリリング。感動的ですらある。岡本太郎の名言(芸術は爆発だ!)、「DAICONⅣ」オープニングアニメのラスト(原爆による破壊と再生)、ゴジラ(核のメタファー)、ウルトラマン(真っ白な「光」の中から生まれるヒーロー=輪廻転生)、アキラに登場する老いさらばえた子供たち(今の日本人)、戦後日本の物語には『世界の中心で愛を叫ぶ』に至るまで「夏休み」と「白血病」が混在する悲恋物語が多い(真夏の原子爆弾)等など。。。
『リトルボーイ』 〜原爆から始まる現代日本文化史(インサイター)
という一文に惹かれて買った。高価だけど写真も多く、上記の視点も面白い。
気になったのは、『鉄腕アトム』に触れられていないところ。
戦後最大の国産ヒーローであり、“アトム”の名を冠された少年が、この本でないがしろにされていいわけがない。なんらかの事情があったと見るべきなのかなあ。
監修の村上隆が「原爆から始まる」文化を長文で振り返る中で、アトムにもほんの少しだけ触れている。アシモフの『われはロボット』の翌年に『アトム大使』の連載が開始されたとの説明の後にこう続く。
舶来の先端文化に聡い手塚の事、海外でのムーブメントを如何に戦後の貧しい日本へ着地させるかのアイデアが閃光のようにひらめいたのだろう。
てな具合で、とても投げやり。
- 手塚はなぜ平和を愛する少年ロボットに“アトム”と名付けたのか
- しかも、原爆投下からたった6年後に
という視点が抜けている。この辺りは過去のエントリで触れてるのでどうぞ。あと武田徹の『核論』を読むとさらに当時の事情がわかります。それはこちらのエントリで触れました。
あと、これはid:Dirk_Digglerさんの論だったと思いましたが、ピカチュウの「ピカ」は“ピカドン”のピカ、とのことで、ポケモンも原爆の影響下の文化に違いないと思います。
Little Boy: The Arts Of Japan's Exploding Subculture
- 作者: Takashi Murakami
- 出版社/メーカー: Yale Univ Pr
- 発売日: 2005/04/30
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- 作者: 武田徹
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あと、地球上で一番美しい光景は、核実験のそれだと思います。
【核実験写真集】
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/kid/nuclear/atomicb.htm
http://www.nought.de/evil/gallery.php
菊地成孔に『紗綾11歳』をプレゼントしてきた
一昨日、渋谷の中華料理屋でばったりライブ終わりの菊地成孔ご一行様に出くわした*1。
思わず、「あー僕サムライカンフーの友だちです」と声を掛けてしまいました。
なんのことかわからない方は、下のurlの5月5日まで遡ればわかると思います。
http://park10.wakwak.com/~kikuchic/contents.html
たまたま知り合いの編集者が持っていた下の書籍とDVDをプレゼントしておきました。
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