『マックパワー』のリニューアルって……

ネットとかやってる人はもうパソコン誌なんか読んでないと思うから、寝耳に水って人も多いと思うけど、先月『マックパワー』がリニューアルした。

今月号より『MACPOWER』はタイトルロゴ、表紙デザインを一新し、内容も大リニューアルします。タイトルデザインと表紙アートディレクションは、現代のトップクリエイター佐藤可士和が担当、表紙写真には著しい活躍を見せる瀧本幹也を起用。連載も、小山薫堂桑原茂一小西康陽桐島ローランドといった強力執筆陣が揃いました。MAC CREATIVE LIFESTYLEをキャッチコピーにあらゆる物事を“デザイン”で切り、クリエイティブマインドを刺激する誌面を次々と展開していきます。

MAC POWER (マックパワー) 2005年 05月号

MAC POWER (マックパワー) 2005年 05月号

こんな表紙です。
佐藤可士和小山薫堂とかって名前、いやその記号を目にしただけで笑い飛ばしても許されるレベルかと。いや、一応中身も読んでみたんだけど、これっぽっちもおもしろくはなかった。
新しいターゲットは、湘南在住で週末はサーフィンを嗜んだりする年収1000万以上のクリエイター系職業、といった感じか。

これほどのリニューアルってのも始めてみた。雑誌の編集者って、中身替えろって言われりゃどのようにでも変えると思うんだけど、さすがに広告営業はそういうわけにはいかない。
パソコン雑誌はどこも大概、PCショップやPC・周辺機器メーカー、ソフト会社ISPなどからの出稿が大半を占めているんだけど、新しいマックパワーはこの辺はすべてばっさりカット。ウィスキー、クルマ、高級文具などの高級消費財の広告に取って代わり、タイアップ風*1記事でページを占めている。広告営業の首をすべてすげ替えたとしか思えない。

今の世の中、雑誌はホントに死に体でマックパワーのリニューアルはまさにその象徴的出来事かと。パソコン誌に求められる情報って、完全に超実用ネタだけだ。

  • 新製品は何を買えばいいか?
  • 周辺機器、ソフトでおもしろそうなものは出てないか?
  • 付属のCD-ROMに便利グッズやエロムービーが入ってるか
  • 「使えるエクセルのコツ」特集は永久保存しなきゃ

といった感じ。
もちろん、上記のようなマックパワーのリニューアルは、読者が半減以下になる。ただ、それでも広告さえ入れば出版社的には問題ない。
売れない雑誌に広告が入るのか?
実は入る、というか全然入る。
このあいだ、久々に『relax』を買ったら、いつのまにか全ページがタイアップみたいな雑誌に変わっていた。これは「すべてが記事広告に見えてしまう」という僕の職業病的な妄想かもしれないけど、多分大方は当たっているんだと思う。
事実一冊丸ごとタイアップという雑誌は少なくない。『Title』なんかはそうで、編集長に特集を決める権利など与えられていない。広告営業が半年先までの特集を決め、編集者による企画会議なんて実質タイアップの内容を決めるだけと聞いた。
この方式だと雑誌が店頭に並ぶ前にペイできているので、実際売れなくたって構わない。
エスクワイヤ』、『SWICH』、『FREE&EASY』みたいな雑誌も同じ仕組み。別に裏は取ってないし、これらの雑誌がまだあるかは知らないけど。
なぜこういう状況なったかというと、高級ブランドの類いはすごく売れていて、どこも広告費を掛けたがっている。当然出版社はそれに対応して、高級温泉旅館の特集とかが載るすかした雑誌を作る。当然売れない。だけどブランド品は売れ、高級温泉旅館は流行りつづけるものだから、雑誌もつぶれない。
希望格差雑誌業界。

*1:実績がない媒体なのでホントに金もらって作ったページなのか疑問という意味で“風”にした