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ベンチャー役員三界に家なし

2014-05-23

詳細に指示を出せば出すほど無能になる人について

ある居酒屋チェーンでは1000店舗以上展開をしているにもかかわらず、「店内掃除用のほうきが壊れたので買ってよいか?」という稟議が会長まで上がり、そのタイミングタイミングで会長がジャッジしているという話を中の人から聞いたことがある。

これは極端な例としても、意思決定事項がトップに集中してしまう事象はよくあり、これをもって悪く言うときには「ワンマン経営」、よく言うときには「トップダウン経営」と言ったりしているのは誰しも知っての通りだ。

責任感のある叩き上げのトップというのは、まぁとにかく「細かい」ことまで口を出す。
いわゆるマイクロマネジメント型である場合が多い。
これ自体は僕は非常に正しいことだと思っている。

未だ店舗に必ず足を運んで店長に指示を出すユニクロ柳井さんなどの話は聞いたことがあるのではないだろうか?
最近では、マネジメントや経営に軸足を置きながらも現場感を持つことは重要であるというブログをアップされたCA藤田社長なども恐らくそういった現場感を大事に、現場から上がってくる企画などは細部をを指示されているのではないかと思う。
藤田晋『若い経営者が陥りがちな罠』 http://amba.to/QWdJbp )


さて、僕が今回掘り下げていきたいのはよく話題に上がる「経営者として、マネージャーとしとしてどう部下に指示を出すべきか?」という議論ではなくて「上司が詳細な指示を出せば出すほど無能になる人」の存在について考えてみたい。

1.指示すればするほど無能になる人とは?

例えばこういう状況がよくある。

マイクロマネジメント型の上司が、Aという仕事を部下に頼んだとする。
部下は任されたと思って自分なりにどんどん仕事を進め結果、Bというアウトプットを出す。
Bを見て、上司は激怒する。自分が頼んだAと全然違うじゃないか!と。

ここで現場介入型のマイクロマネジメント上司は、こいつはどこでこんなに間違ったのか?とプロセスをこじ開け分解する。
すると部下の仕事を進める中で理解していない部分や、手際の悪い部分を発見していまい、もっと詳細に報告したり確認したりするように指示する。

やれと言われたことをやったのにキレられたと思った部下の中には2回目からあてつけのように逐一プロセス中の意思決定ポイントに伺いを立てるようになる人がいる。
意思決定のポイントがどんどんブレークダウンされて飛躍的に上司への確認項目が増える。

ここからがまた深刻で、部下が仕事を進める中でブレークダウンされた大量の意思決定のポイントへ進捗到達する度に上司に指示を仰ぐようになり、上司は頻繁に細かい意思決定を現場の詳細な情報を知らない中で意思決定しないといけない状況に陥る。

上司だってすべての状況を正確につかんでいるわけでもないし、1000回の条件分岐を出されてコンピュータのように全部整合性を取ったジャッジはできない。

ここで部下の方は既に自分の意思決定の権限を奪われてしまったことで、状況に対して能動的に思考することを止めてしまっており、意思決定に必要な情報収集もしなくなってしまっている。

なので、意思決定に必要な情報も上司へはますます入らなくなる。
上司の意思決定は質の低い情報を基に下された誤った指示となり、部下は自分の行った意思決定ではないのだから仕事自体に責任感もなく失敗するだろうなと思っていることを嫌々やることになる。

そうして案の定失敗する。
そしてまた上司は怒り狂うことになる。

部下は、「あんたが決めたようにやっただけなのになぜ怒られなければならないのか?」という気分になり、上司は更に細かい指示を出さねば部下は正しいアウトプットを出せないと思いまた指示は細分化し、都度意思決定の伺いが上がってくることになる。

かくして、マイクロマネジメント型の上司の現場介入の元でこの部下は無感情、無気力で居ることがこの組織の中で「正」であるかのように自発的に「無能化」を加速するようになる。

2.マイクロマネジメントで改善しない問題は権限移譲では改善しない。

僕が見てきた中でこの状況の改善方法としてよく聞くのが、「上司が現場に権限を委譲すること」である。でも僕はあえてこれに異を唱えたい。

これは聞こえがいいし、何よりも最大公約数的に多くの人が納得しやすいからメディアにあふれているだけではないだろうか?

「そうだそうだ!上が俺たちに任せないから結果が出ないのだ!」
「そうか俺が彼らに仕事を任せなかったから彼らは成長しないのか。」

上司も部下も納得だ。

そして、皆もよく知っての通りなんら現象は改善しない。

任せてみても、部下はミスを繰り返し、上司は溜まらず指示を出す。
部下は思考を停止し、上司は更に制限された条件下で誤った指示を出す。

3.働く人の2つの素性を見極める

本当の原因は僕は、この部下が「自分の正しさ」に価値を置いているからだと考えている。

働く人は以下の2種類に大きくは分けられる。

「自分の意思決定の正しさに価値を置いている人」

「自分の仕事の結果に価値を置いている人」

である。

正直、「自分の意思決定の正しさに価値を置いている人」は一生改善しないのではないかと思っている。

彼らの言い分は常にこうだ。
「上司は常に自分に対して正しい指示をすべきだし、それをその通りに実行してうまくいかなければかわいそうなのは自分だ。」と。(そもそも上司の指示を理解しようともしていないし、忠実に実行もしていないのだが、、)

そして、挙句には彼は自分が気に入らない指示を受けると、組織の中で、自分が正しいということを証明する為に仕事が失敗するように情報を隠し、コミュニケーションを捻じ曲げ、仕事が間に合わないように牛歩するようになる。

この手の人は、社会のあちこちで軋轢を起こし、そしてどんどん職を変え、会社を変えてはまたキックアウトをされてしまい、キャリアを汚し、今日もまたどこかの中小企業に流れ着く。

人手に困っている中小企業でそういう人を引いてしまうと、組織は一気に生産性を落し、そして雰囲気も悪くなる。

まず、採用やチームビルディングでは、徹底的にこういう人を避ける必要がある。
そして万一採用した中でこういう人が居たら、残念だが全力且つ穏便に排除することだ。

権限を委譲して活躍できる人は、マイクロマネジメントをしていても結果を出している人だけだ。
マイクロマネジメントで結果を出せていない部下が権限移譲で結果が出せることはない。

頑張っているマネージャーやトップは結果を出すチームにするならくれぐれも安易な権限移譲へ逃げないように注意してほしい。

まずマイクロマネジメントして見て、結果が出せる人とどうにもこうにも自分の思い通りにしたい人を分けること。
そして後者を戦力から外すことを行ってほしい。
場合によっては無理に稼働させず、コストと割り切って隔離する方法も検討すべきだ。

どんな現場仕事でも僕は職業人として誇りを持って取り組むべきだと信じているが、それは自分の意思決定の正しさを妄信することとは全く違う。
こだわるべきは仕事の結果で皆が喜んでくれることだ。

今この文を読んでくれた方は皆が幸せになれるようなアウトプットを出す為に柔軟に考えやポリシーを変化させながら前進出来る人たちだと信じている。
もし先に上げたような状況になった時に「無能化する人」を変えようと更に苦労したり、気を落としたりしないようにしてもらいたくて記しておく。

cjoncjon 2014/05/25 07:50 私の今の状況があまりに「部下」さんに似ているので助言を頂きたいです。
私は26歳の税理士で、中小企業に税務サービスを提供しています。

クライアントの社長が私に「Aという仕事」を頼んでくるのですが、それが税務上明らかに脱税であったり、不利な選択だったりするのです。税務は専門的な仕事なので、社長さんもよく理解せずそのような指示をしているものと思いますが、私の助言や静止に全く耳を貸しません。
私も税理士としての立場上、違法であったり明らかに不利な選択はできませんので、結果として「Bというアウトプット」を提供してしまうことになります。

私は無理をしてでも「Aというアウトプット」を提供すべきでしょうか?

grand_bishopgrand_bishop 2014/05/25 08:36 私は同じ組織内での話をしています。
クライアントは上司ではないです。
プロとしてあなたのファームのポリシーに従って提供すべきものを提供して下さい。
客に言われたもんはミサイルだろうがカップラーメンだろうが脱税ノウハウだろうが提供するというポリシーならそれもええでしょうし、顧客の健全な成長のサポートならそれもいいんじゃないの?
本エントリーと同じ状況じゃありませんよ。

Social_BookmarkerzSocial_Bookmarkerz 2014/05/28 17:13 なんか矛盾してないですか?

自分の意思決定を正しいと思わないから上司に聞いたんじゃないんですかね?
「結果を出す」とか言う抽象語も出てるし。

その「結果を出す」ためにマネジメントの方法について思考してるのではないのでしょうか?

順番が逆というか。

結局下のせいにして
「自分らのマネジメントは間違っていない」
ということは
『自分の意思決定は正しい』って言ってるんじゃないんですかね?

上司「おい部下。お前は自分が正しいと思うな。」
部下「はい。わかりました。正しいことを教えて下さい。」
上司「俺は絶対に間違っていない。俺こそが正義なんだ。」

漫才かよw

い 2014/05/29 17:02 自分は自分の力で育ったのかもしれないが、結局自分の意にそわない者を排除しているように見える。
なにが正しいかではなく誰が正しいかの究極のような気がする。
育てる能力も必要だと思う。でなければ同じことの繰り返し。
上司も部下もどっこいどっこいに見える。

berusaiyuberusaiyu 2014/06/07 04:29 >正直、「自分の意思決定の正しさに価値を置いている人」は一生改善しないのではないかと思っている。

この一文から続く一連のこういうだめな部下はこうなるっていう流れが飛躍しすぎでついていけないです。

bobbybobby 2014/09/03 10:49 興味深い記事です。私は海外でいくつかの会社を起こして、20年くらい会社の経営をしています。これまでに1つの会社が、経営者が育ち、私の手を離れて独自の経営をしています。(私は資本家という立場で経営のアドバイスを時々行っています)2つ目の会社は、6年前から経営を移譲する準備をはじめ、4年前から「お試し期間」として経営を任せて来ましたが、彼らが企画した大きな投資の後で資金繰りが厳しくなり、この半年ほどは経営の支援をしながら、厳しいときの経営の勉强を続けてもらっています。3つ目の会社は、まさにこの記事に出てくるのような状況になっていますが、小さな失敗から学びながら、はやく経験値を上げてほしいと考えています。

で、成長してほしい部下への接し方ですが、自分でやればもっとうまくやれる、自分でやれば半分の時間で終わる、自分でやれば失敗しない、といった事を考えていては、部下を育てる事はできません。若き日の「自分」も含めて、みんな失敗を重ねる事で成長する訳です。成長した自分と、成長する前の部下を比較する事は無意味です。

かといって、会社の浮沈がかかっているような仕事を、いきなり任せるのは無責任です。まずは失敗しても許容範囲の小さな仕事から「丸投げ」するのが良いと思います。そして、相手から助けを求めて来た時だけ「最小限」の支援をします。これで、成功すれば「自信」に、失敗すれば「勉强」になります。成功したら、だんだん大きな仕事を投げて行くようにすれば、勉强しながら成功できるようになるかと思います。

マイクロマネジメントの是非についてですが、自分があるていどの年齢になったら、直接口を出す事は控えるようにするべきかと考えます。マイクロマネジメント型経営者の下では、ろくな経営者が育たない事は周知の事実で、私も何社か具体例を見ております。そんな会社がかならず直面するのが、経営者の「世代交代」に困難を極めるという事です。どんな経営者もいつかは死ぬ時が来ます。その直前になって後悔しても、どうしようもありません。

tarosuketarosuke 2015/09/17 01:15 そら権限委譲じゃ解決するわけねーw
ゴールを明確にすることが解だろうに。ゴールが明確ならたいてい誰でも自分で方向を修正できる。ゴールが曖昧なままなら何やったってダメ。