ゴキブリ父さんの人生戦略

ごきげんよう。相当久しぶりのエントリです。

先日、経済評論家の山崎元さんが、Newspicks上で書かれている人生&マネー相談のコーナーにおいて「金持ち父さん」にあこがれる学生さんの今後の人生戦略についての相談とその回答がNewspicksを飛び出して他のSNSやメディアでもちょっとした話題になったようで僕の元にも流れてきました。

https://newspicks.com/news/1364385/body/?ref=user_9115

詳しくは、元の記事を読んでいただくとして、以下のような学生の相談、

1.年収1000万の会社員を真面目に目指すより自分の時間を持てて収入も多いと聞く資産家になりたい。
2.そのために起業したり自分のビジネスを持ちたいのでMBA取得も考えている。
3.今の自分の考えを含め、今後のキャリアプランはどう立てるべきか?

に対して、山崎さんは以下のようなアドバイスをされていました。

1.お金持ちになる為の起業のステップとしてMBAや準備としてのキャリアなどというひ弱でまどろっこしいことを言ってる時点で起業や金持ちになるセンスがないから真面目に働いて「優秀な貧乏父さん」を目指すべき。
2.多くの大成功した企業や起業家を見る限り、お金は目標ではなくビジョンに対しての「必要条件」であり、自分は世界に対して何がしたいのか?を考えた方がよい。
3.それでも金が欲しい、金持ち父さんになりたいのならブラック企業でブラックな商売のコツでも盗んで自分もブラック企業を作るのがいいだろう。

まだ何者にもなっていないのに漠然とお金持ちにあこがれる若者に対して、山崎さんらしいちょっとシニカルで知的な素晴らしいアドバイスだと思いました。

Newspicksのコメントでも独り歩きする「お金持ち」への憧れで勤労者を安易に下に見るような若者をうまく諭した山崎さんのアドバイスへ同意する好意的なコメントが溢れていました。

僕にもし山崎さんのような父親でもいて、このようなアドバイスをもらえれば今のような人生を歩んでいなかったかもしれないなぁ。。。と思いかけたのですが、いや、むしろ僕が大学三年生の時なら山崎さんのアドバイスは知的すぎて僕の心には届かなかったと思いました。

で、、、10分だけ20年前にタイムスリップすることができるとして、この記事を大学三年生だった当時の僕に読ませた上で、僕自身が補足できるならどうするかなと。。。

――――――――タイムスリーーーーップ!

ユウタロス「どうだね?進路は決まったかい?」

大学三年生の僕「誰?おっさん?」

ユウタロス「相変わらず口悪いな。治せよそれ。僕?僕の名前はユウタロス。山崎先生の記事は勉強になったかね?」

大学三年生の僕「うんうんよくわかった。俺は当面貧乏父さんで諦めるけど、そもそも真面目に会社員やって1,000万円が見えそうな就職先自体がうちの大学の就職実績でないんやけど。。どうなん?」

ユ「そやな。それどころか『出世を諦める』とか『諦めない』以前にどっかの会社に入っても君では基本出世はない。っていうか山崎さんも言ってるけど、30〜40代で1000万円を出世してもないのにもらえるような立派な会社には基本入れない。」

僕「ファ?じゃぁ詰んでるってこと俺?」

ユ「そやね。詰んでるね。」

ユ「そもそも君は世界に対して何がしたいんだね?」

僕「ファ??世界?そんなの特にないし。考えたことないよ。ないない。三流大を出るのが精いっぱいの俺が世界?ないわ〜。でもとりあえずお金は欲しいよね。社会人になってやりたいことはお金貯めてベンツのオープンカーを買って、ドヤ顔で女の子とドライブしたい。あと金融と食品、流通業界はいややな。金融はオヤジみたいな仕事はイヤやから。食品とか流通はキツそうやしモテなさそうやからやだ。」

ユ「そうか、、、典型的なFランバカだな。。まぁそんなもんだろう。仕方ない。」

僕「どうしたらよい?」

ユ「君の周りでベンツ乗ってる家はどんな家だね?」

僕「土建屋の社長のAくんの家、コンクリート卸しやってるBくんの家、開業医してるCさんの家、カスタムカーの部品作ってヤンキー相手に売ってるD社長、、、」

ユ「まぁそんなもんだろ。。今から医者は無理だろうから土建屋が良いんじゃない?」

僕「それはイヤ。16歳から鉄工所で働いて懲りたわ。あれはしんどい。社長やったらええけど。」

ユ「いきなり社長からってのは無理だろうなぁ。」

僕「じゃぁ、、やっぱ、『優秀な貧乏父さん』を目指すしかないのか。。」

ユ「ちょっと待った。。それ目指したら死ねるよ。意識だけ高い自己啓発マシーンになって金を吸い取られるだけ。『優秀な貧乏父さん』ってのは一流の大学を出てスタートラインが一流の人だけの選択肢だから。」

僕「は?じゃぁ僕が目指すのは?」

ユ「君はだね。『憂鬱だけど生き残る父さん』通称『ゴキブリ父さん』を目指すべきだね。」

ユ「君は一定のスキルや能力が備わっておりせめて学業くらいは結果を出している人、、、ですらないのだから、『何がしたいのか?』ということを出発点にするのを捨てて、まず何が出来るのか?を棚卸しなさい。君は何ができるのかな?」

僕「特にないよ。あぁ、、しいて言えばパソコンが少し触れるよ。それくらいかな。でも中途半端だよ。」

ユ「大丈夫。そしたらそれを生かすしかないね。」

僕「じゃぁコンピューター関係に、、、」

ユ「ちょっと待った。君は本当にバカだな。自分で中途半端だと分かっているのでなぜ、自分より優秀な人がいっぱい居る所に行くのだね。」

僕「だってその方が勉強が、、、」

ユ「会社の優秀な人は先生ではないぞ。単に差がつくだけだ。むしろ教育機会やチャンスはそういう人達に集中するからますます君は落ちこぼれ。死亡確定だ。勉強は自分でしろ。とにかく、IT化が遅れている業界の会社を狙いなさい。」

僕「分かった。。でも、やっぱベンツ欲しいなぁ。。」

ユ「心配するな。ベンツは買える。むしろベンツを買いなさい。君が上手く潜り込んだ先の会社で、1年勤めればローンが組める。それで買えば良い。君みたいなバカは一回やってみないと分からないだろうから、そういう変な憧れは早いうちに芽を摘んどいた方がいいからね。ベンツも走って曲がって停まるだけのタダのクルマで、大してそれでモテることもない。そんなちょっと頭のいい人達ならだれでも知ってることに変な幻想を抱いて30歳にも40歳にもなって中途半端なちっこい欧州車をコツコツ貯めた金で買ってでっかい劣等感とちっぽけな優越感を糧に働くようになるくらいなら、社会人になったらすぐにベンツをローンで買いなさい。」

僕「マジで?買っていいの?種銭を貯めろって怒られるかと思った。」

ち「種銭だ?そんなものはサラリーマンで多少給料が上がったところで一生貯まらないから心配しなくてよいよ。君の唯一のアドバンテージはそのバカさ、素直さだ。君にとっての種銭にあたるのはリスクを取って他の人がやらないようなことをいち早く飛び込んだ経験。それしかこの先もないのだから、どんどんキレイなファイナンス(借金)をして経験を先取りするんだ。どうせ出世を諦めてちまちま小銭を貯めてる人生が『ご機嫌父さん』になりうるのはエリート社畜のみだからね。ファイナンスすれば自然と返済の為に持ち場で頑張らないといけなくなるし、比較的資産価値があるものを買えば貯金の代わりにもなる。そして経験は持ち場での評価や人脈に変化し君の売り物になる。つまり君が生き残るには借金の返済に憂鬱になりながら、それで手に入れた経験を血肉に換えてゴキブリのように生残る。それしかない。」

僕「ゴキブリ父さんって借金でクビが回ってないだけじゃ、、、」

ユ「君は何を聞いていたのだね?いい加減説明するのに飽きてきたよ。『きれいな借金』って言ったろう。キレイな借金ってのはまともな金融機関のまともな金利の借金、いわゆるプライムローンのことだよ。心配しなくても君の実力と返済できるかは金融機関が判断してくれる。つまり君が考えるのはちゃんとした金融機関からお金を借りれるような人生を歩むことだけでよくて、返済できるかなんか心配しなくてよいんだよ。普通に働いて返済できない金は心配しなくてもまともな金融機関は貸してくれないから。」

僕「ユウタロスのおっさん。言ってることが自己啓発より更にひどくなってないか?」

ユ「おっ。。まだ言いたいことはいろいろあるがそろそろ時間だな。。」

ユ「まぁ、君は頭が悪いから今みたいな状態になってるんだ。無理に全部を自分のアタマで考えようとせず誰の話を聞くべきかの選択に思考のすべてを投入するんだ。」

ユ「あと、君が死ねばいいのにと思うくらいキライなオヤジさんな。あの人あと何年かで勝手に死ぬから。あの人は口が悪いだけで君のことを心配していろいろ教えてくれてるだけだし、言ってることは意外にまともだ。早めに仲直りしなさい。」

ユ「あぁ、、もう時間だ。。もちばでーーーがん〜〜〜〜ばれよ〜〜〜〜〜」

僕「き、、、消えた。。。」

、、、、
、、、


さて、おかげ様で僕の「憂鬱なゴキブリ父さん」としての人生もさほど悪くないと最近は思うようになってきました。
経済的な自由を得るほどの資産も、気楽さももご機嫌さもないですが、おかげ様でどんな環境でも生きていける自信というささやかな資産は貯まった気がします。

さて、ローンの返済もあることですし、今日も持ち場でがんばりますよ。

では。