さめないすーぷ

スープ料理によく使われる食材:ジャガイモについて


連作障害
前述の通りジャガイモは連作障害が発生しやすい。連作を行うと土壌のバランスが崩れ単純に生育が悪くなるだけでなく、病害や寄生虫が発生しやすくなる。
特にジャガイモに大きな被害を与える原因として、ジャガイモシストセンチュウによる生育阻害がある。このセンチュウは地中で増殖し高密度になるとジャガイモの生育を大きく妨げる。例えば乾土1グラム中に100卵が存在する状態(高密度)では収穫量が60%程度低下する。 センチュウは宿主(ジャガイモ等)が無い状態でも、卵状態(シスト)になり10年以上も生存し続ける場合があり、シスト状態は薬剤にも強いため根絶が難しい。卵を含む可能性のある土を移動させない、付着の恐れのある農具や運搬具の洗浄、といった拡散防止策がとられている。また、長期の休閑や非宿主の作付なども対策として行われているが、センチュウ密度の低減には効果は低く、最も有効な密度低減対策は抵抗性品種の作付である。ただし、センチュウはジャガイモには被害を与えるが人体には無害である。このセンチュウは動物糞から伝染するとされている。そのため、日本ではアイルランド経由以外の検疫を受けていない塊茎類の直接持ち込みは禁止されている。植物防疫法の指定種苗とされ種芋の販売が規制され、検査が義務づけられている。
ジャガイモの原産地であるアンデス中央高地では、古くから連作障害について認識されており、長期の休閑と輪作が行われている。ジャガイモの次は別の作物を植えるようにするだけでなく、3〜4サイクルで一つの区画を利用したあと長期の休閑をとる。休閑の長さは、人口密度や畑の大きさによって様々である。ただし、1950年代に行われた農地改革などで、共有地が崩壊し始め、耕作地が私有地化され、個人が所有する土地区画が狭くなったため、長期の休閑が行えず、シストセンチュウが再び問題になってきている。 また、アンデスのいくつかの地域では、マシュア(イサーニョとも、学名Tropaeolum tuberosum)と呼ばれるノウゼンハレン科の塊茎類を混植することで、シストセンチュウの発生を抑えている。マシュアは、その根からシストセンチュウを避ける分泌物を発生することが科学的に確認されている。また、インカ時代には、このマシュアは、男性の生殖能力を抑える働きがあることが知られており、長期間にわたる兵士の出征や労働賦役のため、男性の生殖能力を抑える目的で利用されていたことが、スペイン人の記録文書に記されている。

Wikipedia「ジャガイモ」より