【17想】 ピアッシング / 村上龍

ピアッシング (幻冬舎文庫)
昨日に続いて村上龍さんの作品を読む。


面白くてあっという間に読んでしまった。


この作品を面白いと感じるということは
この主人公2人にどこか共感するところが
あるからだろうか。


自分はこのような主人公らような
幼児虐待を受けた記憶は一切無い。


むしろとても大切に、
愛を持って育てられたと思う。


しかし、
大学生の時だっただろうか。


「そういえば、親父を殺すって
言ってたときがあったよね。」


とふと友人に言われ、
とても驚いたことがあった。


そうだ。
そう思ったときが確かにあった。


その時、友人にそう言われたことで
昔のことを少し思い出したのである。


両親とケンカして殺したいほどムカツク
ということは比較的誰でもあると思うのだが、
その頃は本気でそう思っていたような気がする。


といっても主人公のように計画を立てる
レベルでもなかったと思うが、
確かにそう思ったときがあった。


そしてその時に小さいころ
父親の厳格さに対して
本当に苦しんでいたことを思い出したのだ。


今でもふと昔のことを振り返ると
そう言えばあんなことがあったなぁと
思い出して、胸が苦しくなることがある。


そのようなことが、
この小説、主人公等に共感を得る原因なのかもしれない。


さいころに受けた傷がどうのこうの
という学説は、おそらくたくさんあると思うのだが、
自分は今のところまったくそれらの知識がない。


ただ自分はいつか自分が子どものころに
苦しんだことについて、
いつか向き合わなければ
ならないような気がしている。


なぜかはよくわからない。


ただ、たまに自分の中の何かが
衝動的に突き上げてくるときがあるのだ。


自分はとっさにそれを抑えて、
何もなかったふりをして、
その抑えたことさえも忘れてしまうのだが、


それがどうも父親との関係があるような
気がしてならない時がある。


だからそれと向き合わなければ
いけないような気がする。


でもそれはとても恐ろしいことで、
そんな勇気は今のところまったく無い。


そしてそんなことが一切必要ない
ということを祈りたい。