自分はホイチョイプロの「気まぐれコンセプト」は読んだり読まなかったりしてるのだが、あれが日本の断面を切り取る有用なツールであることは認めている。そして、生き馬の目を抜く週刊漫画で長く寿命を保っていることにも敬意を表する。
この漫画の中で「バブルへ時間旅行する映画を作ってる」というときに注目したのだが、2006-07-17のエントリで一行書いただけにとどまっていた。そのうちに、公開されたね。
http://d.hatena.ne.jp/s_tropical/20070214
http://ameblo.jp/smackgirl/entry-10025803514.html
などで話題になっている。
で、ここから話がとびます。
まず一つはバブルの80年代後半や、90年代がそろそろ「歴史」として、回想が商売に本気でなりつつあるということ。
それは2、3年前ですか、自分はまーたっく興味を示さなかったのだが、「東京エイティーズ」とかいうのが、この気まぐれコンセプトと同じビッグコミックスピリッツに連載されていてそれなりに人気だったようだ。
先物買いの「宝島」は「90年代の正体!」なんて本をいち早く2000年ぐらいに出していたが、これは早すぎ(笑)
また、この時代はホイチョイ的な軽妙かつオシャレな話以外にも、当然ゼニカネですから地上げだ放火だ、ヤミ融資だ転売だ政治献金だって「漫画ゴラク」な話がごろごろしている。戦争の本格的な証言や回顧録が10年程度のタイムラグが必要なのと同様、第一線で当時闘った闇紳士たちが復権を諦め、回想談や暴露話を切り売りしなければならない状況になり、また人生の終わりが見えてきて「悪だろうと善だろうと、俺の人生を記録に残したい」と思い始める時機がそろそろやってくる。
その時はもっとこくのある「80年代風雲録」も生まれるのだろう。許永中も、あと4、5年で出所する。
バブルをフィクションとして描いた作品は
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漫画だと・・・当時の息吹を伝えるものとしては、朝日新聞に連載されていた(バブル時代は「ウィークエンド経済」というまざに時代に乗っかった紙面があったのだよ)いしいひさいち「経済外論」が・・・まだ読めるかな?
これは当時のじゃなく、バブル崩壊後の作品かな
いしいひさいちの経済外論―ハイパー・エディション (朝日文庫)
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いしいひさいちの知性や社会へのアンテナをあらためて知らしめる作品だった。
そしてちょっと以外だが椎名高志「GS美神 極楽大作戦」の最終盤で、「主人公の母親の若き日の冒険」という設定で、気分的には80年に近づいた、70年代末を舞台にしたエピソードがありこれがけっこう面白かった。
さて、さらに続けると、これを純粋SFとして、しかも内容をほんの設定だけ聞いて考えると(笑)
「ある時代にいきなりポン!と放り出された未来人(もしくは予知能力で未来を知った超能力者)が、徒手空拳で歴史を変えることが出来るか?」
というシミュレーションになる。なかなか、これは結構難しいんだよね。
歴史を変えようと大奮闘したり、あるいは逆に変えないように細心の注意を払ったけど失敗ですう、てな話は多い。
個人的に印象に残るのは
藤子不二雄少年SF短編集 (第2巻) (てんとう虫コミックス―別コロ版)
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「いくら明日が見えても、ぼくには何一つ食い止められないんだ!」
と無力感に打ちひしがれる。
日本のタイムマシンといえば皆ここに帰る、という広瀬正は、
「マイナス・ゼロ」「タイムマシンの作り方」の二本でやっぱりこの問題も触れている。
前者は、戦前の昭和でどうやってつましく未来人が生きていくか(これだって結構厄介)。後者は短編集で「敵艦見ユ」という日露戦争を舞台にした歴史改変ものがこの問題を正面から取り上げている。
両方とも、もう絶版みたいだねえ。
小林信彦が、日本の高度成長時代を舞台にして書いた
イエスタディ・ワンス・モア Yesterday Once More(新潮文庫)
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イエスタデイ・ワンス・モア〈Part2〉―ミート・ザ・ビートルズ (新潮文庫)
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もか。
自分が、もし過去に行って歴史を変えるなら?
こんなことを真面目に考えても一文にもならないのだが(笑)
やるとしたら、そもそも小さい力で大きく歴史を変える「暗殺」に介入することかな。
日本だと浅沼稲二郎の暗殺場面でそのまま取り押さえたり、ケネディ暗殺の場所に出向くとか。
ま、そんな都合よくは行かない。それに戸籍も無い、怪しい人間一人じゃ無理だろう。
いったん地位を作ったほうがいいかもしれない。
その場合、博打だな。どこでやれるかは知らないが、さすがにその年の優勝チームや話題になった甲子園の優勝高校は覚えているから、博打は連戦連勝。PRIDE博打でもマルコ戦でアレクに賭けたりして連戦連勝。
そのカネで、これも詳しくはわからないけど大きな傾向は覚えている株や土地、為替で儲ければいいか。
そうしてお金持ちになったら、社会的影響力も持てるし・・・
なんだよこの中学生的SF感覚は。
バブルって、結局なんだったの?
バブル景気とは
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB%E6%99%AF%E6%B0%97
その当時の人々は、そんなに満足していたわけではない。
人の心がすさんだとか、忙しすぎるとか、土地の値上がりは異常だとか言ってた。
そしてつぶれた。
このとき、総量規制だとか「平成の鬼平」三重野日銀総裁の利上げとかいろいろあった。しかし、やってる当時「潰したらまずい」とか「せめて軟着陸を模索すべきだ」という声はごく少なかったのも事実。
(また佐高信氏の話になるが、この「平成大不況」の始まったとき、『不況ではない、普通という意味の「普況」だ』とぬかしてたんだよこのケイザイヒョーロンカは)
あの時、本当にどうすればよかったんだろうね。