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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「昔の闘い方」は通用しない時代か?進化したMMAの戦法の「幅」は…

UFCのヘビー級まつりは、秒殺決着が多いアグレッシブなものでした。
その一方で思ったこと・・・
今回メインでいいところなく敗れたフランク・ミア、そしてこの前ストライクフォースで敗れたジョシュ・バーネット。いずれもテン年代前半、数字ふたけた時代のUFCで既に頭角を現していた存在でした。だから年齢や試合数のダメージ的に衰えた、という面もあるでしょうが、ダニエル・コーミアーも同年代だし、後述するアントニオ・シウバは逆に若い(あの顔で・・・)から、年齢は置いておきます。
ジョシュvsコーミアーの実現の前に、コーミアがインタビューに答えた言葉があります。

ジョシュがすごい勝利を見せたのは2005年より前だろ。あの時代は、レッグロックを『知っていれば』勝てる時代だったんだ

とね。
うーむ・・・・・・。
そして実際にジョシュはコーミアーに足関を仕掛けたけど、残念ながら脱出されたし、今回、ミアも足関にトライしたけど、JDSは本当に最初の段階で引き抜いてしまっている。

そしてアントニオ・シウバは一方的にケイン・ヴェラスケスにぼこられたけど、試合前に「この巨体でちゃんとした寝技が出来る数少ない選手」と評したTKが、実際の試合を見て「ガードポジションから、返し技を仕掛けようと準備するんじゃなくて、立ち上がることを考えたほうがいい」と。TKといえば下からの攻めが大好きで、アブダビコンバットでヒーガン・マチャドと「下の取り合い」をしたという逸話が残っているほど。
彼ですら・・・である。
今更いうことでもないけど「野獣の時代」(船木誠勝)「ごろごろねっころがってる格闘家の皆さん!」(佐山聡)の時代がやってきて、寝技、特に足関なんかは「あっ来そうだなと思ったら全力で逃げる!」で大半がクリアされる『時代』なのかなあ・・・と。

『人間は数千年、手が二本で足が二本は変わらない。だから技や戦法が変わるはずは無い』という主張を聞いたことがあるけど、よく考えたら江戸時代の果し合いや明治大正の姿三四郎の時代と違うのは、「ビデオ」があって、強い男の戦法を再現できること。
宮本武蔵やコンデコマ、谷幸雄などが連戦連勝だったのは、彼らが勝った試合の情報、とくに技に関してのデータが次の相手に伝わる量が、バイトに直せばたぶん数億分の一レベルだったからだろう。
こればっかりは、昔の環境を再現できようもない。
もしまったく、両者が「相手の知識なし」で闘うなら、足関節の決まり手はもっと多くなるし、所英男今成正和グレイシー一族は勝ち星が多くなっているような気がする。
「足関は、技の仕組みを知っていて『こいつはそれが得意だ』と知っていれば、あっ、くるぞというときにすぐ逃げる体勢になればいい」、というのは今成正和のようなマスターを例外として(いや、彼だって苦しんでいる)、ひとつの真実なんだろうな。

そんな中だから例外も輝く。

ステファン・シュトルーブが昔なつかしい「引き込み」と、下からの十字、を狙って一本勝ち・・・。懐かしいという言い方には語弊があるかもしれないけど、UFCのPPVマッチレベルで、最近引き込んでの関節技で一本とった試合ってあった?
いちどマイナーで使えない戦法になったものは「奇襲」技として生き残るのかもしれない。

寂しくもあり、進化でもあり。