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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

栄光と紆余曲折の末に…ボブ・サップ「野獣の怒り」(前半)

野獣の怒り

野獣の怒り

03年大晦日ボブ・サップが曙をノックアウトしたTBS「K-1 Dynamite!!」は紅白を超える瞬間最高視聴率43%を記録した。
これほどまでに注目を集めた格闘技人気は、なぜ呆気なく消え去ってしまったのか。
00年代中盤まで、K-1、PRIDE、プロレスとさまざまなリングで活躍したサップ。その舞台裏では、業界崩壊を暗示するかような幾多のトラブルが頻出していた。
無能だったK-1谷川体制、搾取されるファイターたち、ファイトマネーの未払い、試合で繰り出された“禁じ手攻撃"、ヤクザと格闘技……
日本格闘技界の暗部を野獣が初めて明かす!

東京スポーツとか週刊大衆などに、本の宣伝を兼ねたインタビュー記事がありましたね。

参考 
http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20130324

やはり「紅白より視聴率を獲った男」「曙をKOした男」の世間的知名度はまだまだ高いのでしょう。(下手したらそこでイメージがとまってる人もいる)

で、読んでみました。
事前に予想した部分もあったが、ここで「衝撃の事実!」的に強調されているところは、こと格闘技マニアに限定されると、「あのとき話題になった話だよね、知ってるよ」という話である・・・という展開は多い。ただしそれは、海外フォーラムへの投稿やプレスリリースをわざわざ翻訳して当時読んでいるこっちの責任であり、一般向けに再述する作者と編集者の判断はまったくただしい(笑)。それに、そういうところのディテールはやはり興味深い話がある。

以下、ちょっと気になった話を
 

ボブ・サップは格闘技をやる前、NFLで稼いだ金を持ち逃げされた。

まずその前に、NFLに入ったサップは、禁止薬物で罰金を払ったりチームを移りながら、結局は芽が出ず4年で放出、引退を余儀なくされる。しかし全米一の人気スポーツ、そんな選手でも引退時には1億5000万円を貯金していたのだ(サップもあまり派手な生活はしなかったのだろう)。だが、財産管理の委託者が全部持ち逃げしてたというのだ…これがなければ、格闘技をしようとは思わなかったろうな。
 

サップはプロレスでも200万ドルプレーヤーになりかけていた。

サップは1年間ホームレスぐらし(車が住居)をする。しかし、やはりその風貌や肉体で、友人が「プロレスやってみろよ!」と薦めてくれて、なんとジェシー・ベンチュラを紹介。サップは「プロレスはほとんど関心がなかった」「子供のころ親が厳しく見せてくれなかった」のだそうだ。(これはたぶん、いろんなところに影響する)。しかし、やはり持ち前の真面目さやクレバーさでマイナー団体(NWA)の人気選手となり、そこでWCWにも評価され「年俸200万ドル」を提示され契約。ただその契約の次の日、「WCWはたったいま、崩壊しました。皆さんは契約解除です」と言われました(笑)。しかしこれもなければ、格闘技はやらなかっただろうな…。
 

「生まれながらのウォリアーではない、生活のために戦う」と自覚しつつ・・・

そんなサップだが、サム・グレコWCWの養成所で仲間だった)から「K-1でやってみないか?」と言われ、年10万ドルでの契約にこぎつける。なんだかんだで、格闘技経験ゼロのサップを「素人でもフィジカルと肉体が凄いから、リアルファイトやらせてみるか」と決断した当時の石井館長K-1の判断はさえていた、というべきだろう。
ただ、彼本人はその契約後モーリス・スミスジムで練習した日々をこう回想する。

オレは戦いに飢えた、生まれながらのウォリアーではない。あくまで生きていくための”仕事”としてこの商売をチョイスした。

まあ、そういうことなんでしょう。そういう人がいるのも仕方ないし、そういう人でも勝てば上に上がれる。それはいいことだし公正なことだ。
 

あの入場コスチュームは気に入らなかった。

K-1サイドは最初から・・・キラキラ輝くピンクのスパンコールで埋め尽くされた派手なローブを用意していた。その後ずっと入場曲として使うことになるクラシックの名曲「ツァラトゥストラはかく語りき」を含め、レフェリーの島田裕二が決めたものだと聞いた…(略)まるで気乗りがしなかった。「なんでオレがこんな女みたいなピンクのローブを…(略)」…一刻も早くピンクのローブを脱ぎ去りたかった。その気持ちから…花道に下りる瞬間、両手を広げて派手にローブを脱ぎさるアクションを思いついた。これが好評だったため、以降…トレードマークとなっている。

個人的にこういうそれぞれの入場演出の細部話は好きなのでよく覚えているが、基本的にユージ・シマダは安直に、リック・フレアーをぱくったんだろうな(笑)。派手派手で女まがいのローブ、入場曲ともフレアーのそのイメージだ。ただサップ自身のアイデアも「ハルク・ホーガンがモチーフだった」そうだから同レベルや(笑)。

ただ途中でバッとローブを脱ぐのは「160kgだがデブじゃない、マッチョな筋肉マンだ」ということを示すためにモーリス・スミスが考え付いた…とかつてNumberで読んだ記憶があるのだけどねえ。
またに、いったんローブに包まれるように身体をすぼめてからばっとそれを脱ぎ捨てるのは、新興宗教だか啓発セミナーを描いた有名俳優の主演映画に似たも演出がある、とも聞いたことがある。
ま、そんな細部に拘ってもしょうがないな。
 

他のK-1、格闘技選手評

・オレがK-1で成功したら、古くからのK-1選手はだれもオレに話しかけてこなくなった。話の輪に加わろうとすると外れていった。バンナもアーツもオレを「陰日向なく罵った」(※この表現、ちょっと変わっていて思わず笑った)。
 
ホーストはオレに含むところがあったはずだ。プロレス(Wrestle-1)のとき、イス攻撃はプロレスの約束を越えていた。
 
■ジョシュはエゴイストだ。実力者で優秀な指導者だが、

いまでは彼とオレの関係は深刻なほど悪化している。

仲が悪くなった理由は
『2003年大晦日直前、アメリカのメディアで「ボブはあまりトレーニングしない。試合はジョークだ」と、オレのトレーナーなのに言った』ということ、
・『逆に新日本プロレスにジョシュが出たときにオレが親切心から「オレがWCWの経験を生かしてプロレスを教えるよ!」と言ったら「キミが俺に教える?オイオイ!」という態度だった』
ということらしい。
 
さてさて、子供のころから大好きでそのジャンルを見ていて、マニアからその世界に入った人と、特にその世界に興味はなかったが本命のジャンルで夢破れて、生活のためにその世界に入り、しかも成功して上に来た人・・・このの肌合いが一番合わない、というパターンはサブカルチャー、芸能世界でもよく聞くなあ。とくに、特撮番組の現場なんかに・・・こういう不協和音が多いとか。
 
■ミルコはオレの眼窩底を骨折されたK-1の試合のとき、バンデージを水でぬらして硬くしていたという疑惑がある。それを見ていたスタッフがいた。


といった話。
時間がないのでこれでまずは切ります。続きは機会があったら。