徳光康之「ファン烈伝」配信中
@dk97f3
よろしければ拡散をお願いいたします!「最狂 」第4巻の新しい表紙描きました!よろしくお願いいたします!
第1巻はこちらです!
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この作品の電子書籍版(個人運営)がスタートしたとき、こういう論文?をかきました。
徳光康之氏の「最狂超プロレスファン烈伝 」が電子書籍に。作者が直接Kindle化 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150817/p1
そこで、こう書いた…
「何かに熱狂してるファンの愛すべき滑稽さ」を描き…、そのジャンルはいまや確立された
この作品は「ファンがファンという立場で、あるジャンルを熱狂的に愛するさまは、それだけでギャグになる」「どんなふうに好きか、を、ある種の工夫を凝らして面白おかしく語れば、それもギャグになる」
というものを確立し、それがひとつのジャンルになった・・・という仮説を立てました。
今回、烈伝の「4」の発売が迫っているようなので、それを機会に検証。
こういうときは年表をつくれば、それ自体が語ってくれる。
「ファン漫画」年表(仮設中)
1970年代 | いしいひさいち「がんばれ! タブチくん」 | ヤクルトの「応援団長」が重要キャラクターとして登場し、4コマ内では『主役』にもなる |
1970年代 | 1、2の三四郎(初期) | 徳光康之(談)『「ファンの面白さ」は「1・2の三四郎」の最初期、高校時代のラグビーの試合中、今まで主人公達のラクビーを見てそのプレーを語っていたサブキャラ達が突然「ところで、なぜ猪木と馬場の対決は実現しなかったのだろう?」「せめて藤波対鶴田を!」と語り始めたのがボクにとって最初だったと思います』 |
1970-80年代 | 秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の、特に”マニア回” | コメント欄より 『メジャーすぎて見落としがちですが、「こち亀」はおもちゃ・ラジコン・ゲーム・ミリタリー等々とありとあらゆるホビーマニアがネタとして登場しているように思います。』 |
1980年代 | ゆうきまさみ、とり・みきなど(「愛のさかあがり」など) | 台頭し始めたエッセイ漫画という形式で「原田知世はいいっ」をテーマに打ち出し、売りにする。 |
1988年 | 田中誠「ギャンブルレーサー」 | コメント欄より 『タイトルどおり、競輪選手ながら重度のギャンブル狂である関雅勝を主人公に、競輪ファン・競艇ファンの生態を面白おかしく描いた作品だと思います』 |
1990年代前半 | 押川雲太朗「なにがなんでも阪神ファン」 | 「阪神ファン」がテーマ。当時、阪神は88年の優勝後、成績が低迷する『暗黒時代』であり”自虐ギャグ”の側面も強かった。 |
1990年代前半 | 徳光康之「最狂超プロレスファン烈伝」 | プロレスは当時、TVのゴールデンタイムをしりぞいたものの、逆に東京ドーム興行や格闘技系(U系)、インディ、ルチャなどへの多彩化、活字プロレスなど別の意味で活性化していた。メジャー雑誌「月刊マガジン」での連載という意味も大きい |
1993年 | 唐沢なをき「電脳なをさん」 | パソコンの業界、技術系のネタと並行して、それぞれのメーカーやソフトの「信者」も重要テーマだった。 |
1994年 | 中沢啓治「カープ誕生物語」 | コメント欄 カープ創設から初優勝まで応援し続けた原爆孤児が主人公の「ファンマンガ」です。「球場ラヴァーズ」もそうですが、カープを応援し続けるということは自ら戦うのと同じくらいの試練と苦難を背負うことだからマンガになるのでしょう。 |
1990年代後半? | サムシング吉松「メガドラ兄さん」「セガのゲームは世界いちぃぃぃ!」 | 電脳なをさんもどうだが、ゲーム雑誌など、業界誌連載の漫画は『ファン漫画』の要素を当然持つから、どこまでを定義するのかは難しいところ。これを入れたのは単に自分の視界に入ったから、であるが、タイトルの通り『ファン』な要素が多いということで… |
1999年 | 中島沙帆子「電脳やおい少女」 | 教えてくれた方の評ネット初期の話でもあるので、いわゆるネットコミュニティの形成だとか、ファンサイト(裏)の作成過程などを知るにも貴重な資料作品 |
2000年(単行本発刊年) | 細野不二彦「ビールとメガホン」 | プロ野球の『ファン』をテーマにした短編連作集。 |
2000年(単行本発刊年) | 徳光康之「濃爆おたく先生」 | 「プロレスファン」を描いた作者が「ガンダムファン」でもファン漫画が描けるという引き出しの多さよ(笑) |
2002年 | 木尾志目「げんしけん」 | ここらの時期から、なぜか一番近すぎたゆえに?取り上げられなかった「漫画・アニメオタク」自身のテーマ化が始まる。また、従来の漫画だと『ファンはその後、創作者に…』という展開のほうが普通だったけど、分離が始まったのかもしれない。メジャーなアフタヌーンでの連載でもあり、『げんしけん』の商業的な大成功は多くの影響を与えた。 |
2002年 | 菊池直恵「鉄子の旅」 | 編集長もテツであったために実現した企画、とも聞くが、ファン層が多く、漫画好き以外にも広いこともあったし、「一線を越えたマニアの様子や言動は、それだけで面白い」ということもうまく描いていて、アニメ化など大きな人気を博した。案外、今の『ファン漫画』隆盛の源流はここかもしれない。作者自身はこの分野に興味がそれほどなく、「熱狂を外からやや冷めて眺めている」とう構図も面白かったが、それを受け継ぐのはあまり無いかな? |
2004年 | 紺條夏生「妄想少女オタク系」 | いわゆるBL系の「オタク漫画」の先駆け…といっていいのかな?げんしけんにも当然そんな要素はあったけど。 |
2005年 | 山田圭子「心おきなく正気を捨てえ!! 阪神タイガース応援団熱血青春物語!!」 | twitterで情報を寄せてもらった。「マンガ図書館Z」で読める由。 |
2006年 | 小島アジコ『となりの801ちゃん』 | ネットで発表でされる漫画となると、専業作家ではない層も参加するため『ファンの生態を描いた漫画』はさらに一般的なテーマになる…ただこの漫画は、むしろそれを生む先駆けになったのかも。 |
2007年 | 押切蓮介『ピコピコ少年』 | 下の「ハイスコアガール」に盛り込もうと思ったが、こっちが先だと知ってここに追加した(笑)。 |
2007年 | ゾルゲ市蔵「8bit年代記」 | この時代はゲーム黎明期の回想がブームになったのだろうか。専門誌連載だが単行本になった時は話題になった。現在はマンガ図書館Zで読める |
2008年(単行本刊行年) | 刃森尊「ネイチャージモン」 | コメント欄より 「ネイチャージモン」はジモン本人が昆虫採集のために山に入ったりもしますが、趣味人ジモンの肉ファン・昆虫ファン漫画としての側面も強いと思います。 |
2010年 | 石田敦子「球場ラヴァーズ」 | 野球ファンを描く漫画。「広島ファン」が対象なのは作者もそうだからかな? |
2010年 | はるな檸檬「ZUCCA×ZUCA」 | 雑誌が公式サイトも運営し、ネットコミックと雑誌漫画の境界が曖昧になった時代に登場。雑誌「週刊モーニング」でも連載された |
2010年 | 押切蓮介「ハイスコアガール」 | 1990年代のゲームセンター、ファミコンなどの対戦型ゲームを舞台にしている。超人気作品だったが思わぬトラブルに見舞われたことは周知のとおり。 |
2010年 | 池田邦彦「シャーロッキアン!」 | シャーロッキアンの行動様式というか目的が『作品内の考察』であるため、テイストは通常のファン漫画と相当に違うのだが、広く言えばこれも確かにはいるので収録した。 |
2011年 | 施川ユウキ「バーナード嬢曰く」 | 学校の図書室の常連だが本を読まずに読んだ気になって語りたいグータラ読書家町田さわ子が、読書が好きな遠藤や神林しおり、図書委員の長谷川スミカたちと古今東西あらゆる名著や名作家、読書スタイルや「読書家あるある」について語る「名著礼賛ギャグ」。 |
2012年 | カネシゲタカシ「ベイスたん」 | 推薦受けた。『横浜DeNAベイスターズとしての初シーズンが始まったばかりの4月、ベイスターズの勝ち星を食べて育つ「ベイスたん」が登場しました』…思わず「いま、飢餓状態では?」とか思ってしまったことはナイショ(笑) |
2012 | 林健太郎「二ツ星駆動力学研究所」 | 推薦受けた。紹介文より『かつて日本じゅうの少年たちが熱狂したカーホビー"ミニ四駆"!再燃するブームをきっかけに続々と復帰する元少年のオトナたちの中に漫画家・ハヤシケンタロウの姿があった。無理やり所属させられたミニ四駆チーム「二ツ星駆動力学研究所」の個性的なメンバーたちの無茶ぶりに翻弄されつつ、やがて「全力で遊ぶ」楽しさに覚醒してゆく…。』 |
2014年 | さかなこうじ「俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。」 | 上で紹介した『ファン烈伝』の遺伝子が継承されている、と個人的には思っている。ただ興味深いのは舞台が「1993年」であること。ハイスコアガールと同様だ。ファン漫画は、『現在進行形』のものと、『あの当時は、熱かったよな!』というノスタルジーが混じるものの二つにわけることができるのかもしれない。 |
2014年 | 丹羽庭「トクサツガガガ」 | 仲村さんは26歳のOLさん。職場では女子力が高いと見られているけど、実は“女死力”たぎる「特オタ(特撮オタク)」! オタバレが怖くて、一人ぼっちでコソコソしながら生きてるよ。人目につかないフィールドのカプセルトイを求めて街をさすらったり、一人カラオケで“特ソン(特撮ソング)”歌いまくったり… ヒーローの言葉を胸に、今日も進むよ「特オタ」道! |
2015年 | 王嶋環「お前も阪神ファンにしてやろうか。」 | 最近始まったばかりですね。どんなふうになるのか。 |
2015年 | 早蕨たまお「プ女子日和」 | 推薦受けた。紹介文より『超人気プロレス団体「DDT」とGANMA!のコラボレーション作品! 一般公募から選ばれた現役のプロレス女子(プ女子)が描く、 近頃なにかと噂の「プ女子」の赤裸々な生態と日常エッセイ漫画』 |
2015年 | アサイ『木根さんの1人でキネマ』 | 『30ン歳独身OL・木根さんの趣味は1人で映画を観ることと感想ブログ。映画愛がこもりすぎててこじらせちゃってる木根さんの生き様(笑)をみよ!』(ネットでも読めます) |
2016年 | 大井昌和「すこしふしぎな小松さん」 | SF小説が大好物の女子高生・小松さんは、少し不思議な女の子。小松さんとなら少し難しいSF小説も読んでみたくなる、そんな読書コメディです。(ネットでも読めます) |
2017年 | ビリー「シネマこんぷれっくす!」 | 映画好きの高校1年生・熱川鰐人が、黙っていれば美人なのに厄介な映画研究部の先輩たちに捕まったことから物語が始まる… |
2019年 | 原作:左近洋一郎/カミムラ晋作(画)「どくヤン!」 | 何の変哲もないメガネ高校生・野辺が編入した毘武輪凰高校は、地域でも群を抜く恐るべきヤンキー校…!そしてそのヤンキーたちは、ヤンキーであるにも関わらず読書を好むという矛盾した存在、「どくヤン」だった!(ネットでも読めます) |
あとがき
あー、簡単にできると思ったら、けっこう時間かかった・・・
・当然、自分の観測範囲でしか知らないので、皆さんの「集合知」で補ってほしい
・ゲーム系、麻雀、四コマ、少女雑誌周辺の情報がはなはだ不十分。
・上にもちょっと書いたが、専門誌で連載されている漫画は「その専門誌の人気を越える影響力があったか?」ということも加味する必要があるだろう。
・「漫画好きが漫画を描く」「音楽好きが音楽をやる」「プラモ好きがバトルをする(笑)」のように、ストーリー上で実行者になる場合もあるんだよね。
・あと「連載開始年」てけっこうわからないものだね。最近のウィキペディアはそれなりに充実しているけど、ないものも多い。このへんも正確な情報がわかれば。
・阪神ファン、おまえら何なんだよ(笑)
・のちにコメント欄で、「料理(人)漫画」(作り手中心)ではなく「料理うんちく(食レポ)漫画」(食べ手中心)は一種のファン漫画のでは?といわれる。傾聴に値する論だ。「めしばな刑事タチバナ」や「だがしかし」などね。
・2020年、その後の登場策も含め「映画語り漫画」だけで8本あるのでトーナメント形式で紹介。上の表に入っているものも、ないものもある。
m-dojo.hatenadiary.com
・「年表」のおもしろさについて書いた過去記事。
「年表」に花束を!「大タモリ年表」(てれびのスキマ)水道橋博士「課外授業ようこそ先輩」… http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140314/p6
サブカルの「起源」「はじめて」を年表で整理する試みを絶賛する。「年表」ブームよ来たれ【創作系譜論】 -
d.hatena.ne.jp
画像・リンク集
#木根さんの1人でキネマ
www.younganimal-densi.com
となりのヤングジャンプ : 二ツ星駆動力学研究所 #二ツ星駆動力学研究所 #となりのYJ
tonarinoyj.jp
#プ女子日和 - この作品面白いよ! http://ganma.jp/pujyoshi_biyori #GANMA!
俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。
http://www.kurage-bunch.com/manga/prowres/
ベイスたんのブログやよ!
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/yakyuu_manga
ZUCCA×ZUCA ヅッカヅカ / はるな檸檬 - モーニング公式サイト - モアイ
morning.moae.jp
心おきなく正気を捨てえ!! 阪神タイガース応援団熱血青春物語!! マンガ図書館にて公開中
www.mangaz.com
#マンガ図書館Z - ゾルゲ市蔵『8bit年代記』
www.mangaz.com
となりの801ちゃん+
801chan.hateblo.jp
『お前も阪神ファンにしてやろうか。』王嶋環 #コミック #ぽこぽこ @POCOPOCOwebさんから
http://www.poco2.jp/comic/tigers/
ビールとメガホン 細野不二彦 ためしよみ
csbs.shogakukan.co.jp
スピリッツ『トクサツガガガ』作品紹介 | 試し読み #スピリッツ
spi-net.jp
ハイスコアガール
www.jp.square-enix.com
ピコピコ少年
http://www.poco2.jp/tachiyomi/
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