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2016-02-24

「オールラウンダー廻」ついに次号で完結。感慨深い …ひと足早く総括

| 「オールラウンダー廻」ついに次号で完結。感慨深い …ひと足早く総括を含むブックマーク 「オールラウンダー廻」ついに次号で完結。感慨深い …ひと足早く総括のブックマークコメント


さっそくその反響のまとめを作った

格闘技漫画オールラウンダー廻」が次号で完結…その反応 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/942171 @togetter_jpさんから


【以下、個人的総括】


【「オールラウンダー廻」ひとあし早く完結感想】

ラストがまだのところで気の早い話かもだが、感想を。



あらためて思えば、2008年連載開始の作品。いまの漫画界では十分長期連載といえるものだったが、なんといっても彼らが戦ったのはアマトーナメント上位者プロ資格を得る)だったのでまだ「プロ修斗篇」「RIZIN?篇」「UFC篇」が見たいというのが正直なところ。

それでも… 月2掲載ペースでほぼ休み無く掲載し、イブニングでも気がつけばトップ古参、大ベテランになっていた。

同時期の08年、講談社では柔道の「からん」女子格の「鉄風」もはじまり、「花の格闘技漫画ゼロハチ組」…と勝手に俺が呼んでた(笑)

どれも非常に序盤、面白い展開となり、この『ゼロハチ組』は格闘技漫画史上にすべて残りえるポテンシャルがあった、と今でも思っている。

からん(1) (アフタヌーンKC)

からん(1) (アフタヌーンKC)

鉄風(1) (アフタヌーンコミックス)

鉄風(1) (アフタヌーンコミックス)

しかし「オールラウンダー廻」を除いたその二つとも、最終的には消化不良(婉曲表現)だったのに比べどんなにいいか。

からんは「うちきりの中の打ち切り」だったし(単行本かきおろしもおっつかなかった)。鉄風トーナメントは一応終わらせたものの、もっと重要点として煽っていた主人公ライバルの関係性はぜんぜん描き切れてなかった。

オールラウンダー廻だって、まあいくらでも続編ができるような意味では「描き切れてない」のかもしれないけど、その意味合いが違うのは、読めば分かる範囲の話だ。

やはり19巻、20巻になろうかというスケール描写されたものとは違う。

現在の漫画業界を考えれば幸せな終わり方だろう。



■「格闘技冬の時代」だからこそ描ける格闘技作品もある

同時期、「いまの日本で、国民がこぞって熱狂する大格闘技イベントがあるんだよ!!」という架空の設定で「修羅の門 弐門」が行われていたりして、それ自体はぜんぜん悪くないのだが…はやり社会空気が伝わるのか、いまいちね…まあ「弐門」は、それが理由というわけでもなさそうだ。

(※付記 「弐門」は1990年代前半の設定なんだそうです id:settu-jp http://b.hatena.ne.jp/entry/279987025/comment/settu-jp )



一方で、おるめぐのほうは…2008年2016年じゃ微妙に状況は変わっているけど、それでも「修斗マイナー競技だ。勝ったからといって、アメリカMMA王者にでもならないかぎり経済的社会的評価が得られるわけじゃない」という話はずっと描写されている。


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このあと、「なのに何で、目の前にいるこいつ…こいつに、それでも今自分の持ってるモン全部ぶつけねえと気が済まねぇんだ?」自分に問うている言葉も印象深い。



当然ながら、作者も編集者も予想が出来なかったはずで、しかしそれでも作中で描かれ、作品方向性にも大きな影響を与えた(…※これ、やや自分主観的印象である)のは2011年の「東日本大震災」。そういえば後半には、勝村周一朗のやっている取り組みをモデルにした、格闘技を通じた復興協力の話も出てきたね。

このリストでも取り上げている。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110810/p3

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それは別にしても、

 

日本はどうなるか分からない」

「いい職業についたり、高収入を得ても、その幸福はいつまで続くか分からない」

「だから今、マイナーかどうか、カネを稼げるかは関係なく、自分が好きな格闘技をやっているんだ」

「強くなりたい、その目標に向かって進んでいくんだ」

 

そんな話がときどき登場します。

でも、これあらためて箇条書きすると、決して納得できないわけではないだけど、どこかに飛躍というか、途中の階段を飛ばして語っている気がないではない(笑)

逆に……、ここの「行間」を、受け取った読者がどう埋めていくか、そこが案外重要なのかもしれない。


実際に、廻のライバルたちは、

児童虐待経験犯罪前科児童擁護施設での風景柔道界や部活動の軋轢、好きだった女性経済的問題で嫁いでしまう……など、さまざまな挫折を抱えている。メグル君だって、父親とのあまり温かくない関係や、姉が傷つくところを何もできず見ているだけだった…みたいな心の傷がないわけではない。

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しかし、そんな葛藤が作品の中ではメーンにならず、あくまでもメーンリング上の、陽性のさわやかさを失わない競い合いになったのは、修斗という舞台も効果的だったろうし、またメグルのパーソナリティ…これがいわゆる「活人剣」というやつなのかな、と思ったりもしたり。



■「EDEN」や短編集から変わったこと、変わらないこと

作者はペシミスティックで残酷表現も多い「EDEN」がメグル前の代表作だった。

EDEN(1) (アフタヌーンコミックス)

EDEN(1) (アフタヌーンコミックス)

それが一転、さわやかなスポーツ漫画を描き始めたので、漫画好きの間からは半分ギャグで「まもなく何人かは銃で撃たれて脳が飛び散るんだろうな」とか「最後はみなごろしになって終わりかー」みたいなのはよく言われていた。

自分も気づいたけど、藤子・F・不二雄とかが、たまにダークな話を描くと「こういう才能もあるんだー」と素直に評価するんだが、ダークな話を描いた人がさわかやな話を描くと「どこかでダークになるんでは…」と疑い続けるという傾向があった(笑)


しかし、「EDEN」と「オールラウンダー廻」の系譜共通点というのは確かにあるはずだ。

前作から何を受け継ぎ、何を変えたのか。機会があれば前作、それから短編集も含めて再読したい。


格闘技描写(特に寝技

これは連載中、twitterでやり取りしたのだが、一つの試合展開があるなかで、それをどうコマ割りしてどういうカメラアングルから描くのか……そのへんのチョイスが、今後の格闘技漫画のなかでひとつのスタンダードになるような気がする。当然タイトルの通り、打撃も組技もあるんだけど、自分はなんとなくこのへんは、「帯をギュッとね!」や「柔道部物語」の描写に似ている気がするんだけどね。


そういえば、自分は「いつかブラジリアン柔術テーマにした漫画が出てくるだろう」と予想していたのだが、この作品の中の1シリーズとして柔術大会が描かれていたので、そういうのを目指す若手漫画家には、めちゃ高いハードルが生まれてしまった(笑)。これ、この漫画功罪の「罪」なんじゃね(笑)





■そういえばラブとコメの話、まったりジムの話

わたくしは、「この漫画試合、格闘シーンはぜんぶ読み飛ばす」という失礼な女性ファンを知っている(笑)

ジム描写と、そこでの人間関係だけで面白いらしいのよ。

逆に自分はこのへん(恋愛ストーリー)の分析にはアラが多いと自覚しているので、寝技の攻防には付き合わない打撃系選手のようにそこはあまり語らないのだが(笑)神谷真希という女性キャラクターはみごとな人気になりました。「ヒロインジャイアン」あるいは「ヒロイン鳥坂センパイ」などというキャラクターが成り立つというのはすごい話であった(笑)

エピローグはそのへんのことに一応のケリをつけることになるらしい。


また、格闘技ジムというと、竹刀を持った「剣道五段、金儲けしらん(ニッ)」というジム会長が「たわけもーん!!」といいながら竹刀選手をなぐり、「わしにトラの毛皮をプレゼントせい!」と山狩りをさせ、返事は「オスッ」だけだというふうにイメージしていたのだが(ぜんぶ「四角いジャングル」じゃねえか)、実は部活動生徒会的に、ここでのまったりというかリラックスした人間関係を描ける、というのも面白かった。「はじめの一歩」よりやや文化系っぽいよね(笑)

そんなかたちの、部活動とは違う、たとえば「学校」での人間関係リセットした中間集団としての「ジム」。サッカーユースとかと同様に、ここを舞台にした群像劇というのも、ちょっと若手漫画家に広げてほしいと思う次第です。



過去の節目節目でかいたオールラウンダー廻過去記事とか、動画とか

D  D

TPP的には作りにくい非公式なやつ。


過去記事

オールラウンダー廻難波死闘編の行く末は?その他。 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120222/p3

格闘技漫画最前線。「廻」8巻&大阪大会、「鉄風魔女狂気、「セスタストーナメント… http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120314/p1

オールラウンダー廻」最強レスラー狩りへ!5.20のジョシュvsコーミアにも似て(?) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120511/p1

オールラウンダー廻」一流レスラー相手にどう戦う、どう倒す? http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120611/p3

オールラウンダー廻、三ツ矢との死闘続く。「鉄風」は長期休載か? http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120713/p1

マップ形式格闘技漫画位置付けてみる http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110907/p3

オールラウンダー廻は『格闘技漫画』でなく『スポーツ漫画』の流れにある」(作者:遠藤浩輝) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120818/p1 

オールラウンダー廻」9巻発売に際し色々&「格闘技漫画スポーツ漫画」考その2 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120824/p1

オールラウンダー廻」宣伝動画?を勝手に試作してみた。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121230/p1

今夜「オールラウンダー廻」の遠藤浩輝ゲストで「修斗UST」。放送前に事前質問 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120919/p1

オールラウンダー廻」、ついにポイントで逆転!されど・・・? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121128/p2

オールラウンダー廻二次創作?--- 「言えなかった、言葉を…今。」 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130108/p2

今号の「オールラウンダー廻」99話がすばらしいと、各方面から賞賛の声多数。次回は100回記念、表紙。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130109/p3

オールラウンダー廻」を読んだ男性ファン女性ファンの会話(部分的に実話) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130919/p2

遠藤浩輝×諌山創対談…見た試合をどう「物語」に還元するか(※緊急ニュースのため執筆中断しました)。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130928/p1

オールラウンダー廻」13巻2月に発売&最新号にみた「引き算せりふ」の笑い - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140130/p1

オールラウンダー廻14巻発売記念(?)『最近の漫画に「成長をじっくり描く時間」はあるか?』 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140626/p2

佐々木憂流迦、遂にUFC参戦。駿河天狗世界に羽ばたく - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140716/p1

刃牙道」と「オールラウンダー廻単行本、11月発売/おるめぐの女子決勝カード決まる - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141104/p2

太田モアレ鉄風」は現在のトーナメントをもって連載が終了してしまうのだろうか?そしてオールラウンダー廻 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141211/p2

オールラウンダー廻」16巻が3/23に発売 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150306/p1

修羅の門 第弐門」完結。格闘技漫画の枠が、また一つ減?(※メグルの話も出てくる) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150504/p2


すまん、これでも「一部」ですわ…

fullkichi1964fullkichi1964 2016/02/25 05:12 オル廻、ワタシの印象としてもやはり「震災」で方針が変わったのかなあと・・・。
1巻での喬の叔父との会話で「うちのシノギ手伝う?」とか、いくらでも暗い路線に転じえる伏線はあったと思うんですよね。
それが「震災」によって「暗い話を描いてはいられない」という気持ちになったんでは・・・それが結果的に好結果をもたらしたと。

そして何より特筆すべきは、完全な「PRIDE以後の物語」であること。
08年スタートということは、DREAMや戦極と同時期のスタートであったということで。現実の二つの団体がどちらも消滅してからなお5年「オル廻」が存続し得たというのも特筆すべきことかと。
ここ数年で、もっともММAの試合を多く見たのが現実の選手でなく「高柳廻」だったというヒトも相当数いるのではないかと。皮肉なことに。

さらには上に書いたことと重複するかもですが「作中に、PRIDEを想起させるような国内巨大団体がかけらも登場しない」。
そのリアリズムが一種のさわやかさを感じさせた。
お疲れ様でしたとしか言いようがないです。

fullkichi1964fullkichi1964 2016/02/25 06:14 ちなみに「修羅の門 弐門」について”「基本的には1990年代前半位までの設定 http://b.hatena.ne.jp/entry/279987025/comment/settu-jp
これはこれでおかしいのでは。それなら「皇帝」やボルトのファイトスタイルは93・94年時点ではありえないはずなので・・・。
そもそも「第弐門」が第一部から3年後の設定てのがおかしいのですよ(^^;)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%AE%E7%BE%85%E3%81%AE%E9%96%80

gryphongryphon 2016/02/25 07:16 まあ史実としては1993年にUFCだから、それと完全に合わせるのは不可能だし、その一方で既にケンカ日本一決定戦や、その優勝者のボクシング挑戦やブラジルのVT大会が興行的に大成功した世界なのだから仕方ない。

gryphongryphon 2016/02/25 07:17 オールラウンダー廻論はそちらも、twitterなりブログで本格的にかいてほしいですな

わむわむ 2016/02/25 14:51 遠藤浩輝さんの作風に共通する要素、それを「作家性」と呼ぶのかどうかはわかりませんが、それって端的に言うと「キレイな奴なんていねえ」ってことですかね。それを作品世界全体で露悪的にやると「EDEN」になるってことですか。

確か「廻」の原型ともいうべきアマ修斗漫画も「デートレイプされた女子が身体的な復讐のために修斗経験者を頼もうとしてそこから格闘技にハマっていく」みたいな話だったと思いますが、わざわざその動機づけにデートレイプなんざもってこなくてもみたいなところが顕著だと言いますか(笑)。

gryphongryphon 2016/02/25 21:24 あれ、自分が読んだ読み切りと違う気がするな。普通の試合の話だったような… 修斗がテーマの短編を何本か書いているんだろうか?