片付ける。

 さて、6年程過ごした、本来はウチの係専用のオフィスになるはずだった電算室に置かれた予備機材の山を仕分けて倉庫に追い出す作業を始める。伝統的にシステム管理者がアジトにしていたこの部屋に俺がいたのは着任してからほんの数週間だけだったが。
 基本的に作業時以外に人間が立ち入らなくなったので、各課室に散らばっている多種多様な機材の保守作業機材を集積していたが、他の者から見ればただのジャンク部屋なのだそうだ。ずっとそう言われてきたが、遠い別棟の倉庫から毎回機材を引っ張り出してくるのが大変だったので耳を貸さずにそのままにしてきた。しかしながら数年経ても出番のない機材、元機材が償却されて意味のなくなった機材も多くなっていて、俺自身もそろそろ半分くらいは処分しないと…と感じ始めていたところの異動だった。
 今日はうまい具合に天気もよく、広い駐車場を往復しての機材運搬にも支障はなかったが午前中はずっと眠っていた。
 昼頃から出勤し、ケミコン破裂で表示しないLCDモニタ、代替用のブラウン管モニタ、無印WindowsXPの頃のノートPC、出先施設に設置している型遅れページプリンタの予備機、特定業務機器に使用するためのインタフェース基板、その他膨大な接続ケーブルや電源ACアダプタなど、引き継いでも使用する可能性が少ない物を片っ端から台車に積み込んで倉庫へ。
 こちらの建物にはエレベーターがあるので簡単だが、倉庫がある別棟は階段しかないのでここが大変だ。何でこんなところに倉庫を作るんだと(しかも搬入口ドアを開けると搬入口通路を塞ぐ形になるおかしな設計)思うような場所だが、ウチの係が使える場所はここしかない。
 2往復ほどして、大型の機材は大体片付いた。次は小物の分類である。日々持ち込まれてくる壊れたマウスやテンキーの類、昔よくあったカプラケーブル付きのPCカードネットワークアダプタ(ただしカプラケーブルはすぐ断線する)、10BASE-TのHUB、各種SCSI・その他インタフェース基板と使い回しの利かない専用ケーブル、先輩が担当だった頃から蓄積されてきた故障機のHDDの山など。HDDはセキュリティの問題もあるのでサーバ室内に残置。
 しばらく前から勝手に置かれていた所有者不明の書類が入ったダンボールなども誠に勝手ながらシュレッダーに掛けて処分。
 これでどうにか人が普通に立ち歩けるくらいのスペースができた。
 後は中のストレージの処分方法を考えあぐねてきた2世代前の業務用サーバ本体。15年程前のUNIXサーバだが現在のブレードサーバ用ラックほどの筐体で運び出すのも一人では困難だ。これは廃棄業者に頼むしかないだろう。
 このサーバを捨てる時は、先輩や先任士官D君とお別れ会でも開こうと思っていたのだが。