日本共産党の戦略的撤退がもたらすもの

 財政難からか、かつてほぼ全ての選挙区に独自の候補を出馬させていた日本共産党が、勝ち目の薄い戦いへの参加を見合わせ始めている。
 この傾向がもたらす影響につき、マスコミは国政選挙の旧共産票の行方に関しての分析に多くの力を注いでいるようだ。
 それはそれで私も全く無関心という訳ではないのだが、もっと重大な影響があると思っている。今日はそれを語りたい。
 最近、地方議会選挙のニュースで、「何十何年ぶりの無投票当選」という言葉をしばしば耳にする。国政選挙では、共産党が消えた選挙区でも二つ以上の政党の候補者が切磋琢磨する緊張が続くだろうが、地方の選挙では、共産党が去ると地元の大物が一人だけ立候補するという状態になりやすいのである。
 だから私は、国政への影響なんかより、地方政治の腐敗を心配している。
 今まで、あまりにも無茶をやると共産党に負けるかもしれないという圧力が、地方議会議員達を律する重要な役割を果たしていたはずだ。これが激減するとなると、見た目の議席配分がさして変わらなくても、水面下でモラルの悪化が急速に進む事が懸念される。