不条理

刑法の条文を読む限り強姦致傷というのは、強姦自体が未遂であっても条文上は無期になる可能性がないわけではありません。強姦致傷事件が裁判員裁判ということもあります。私が仮に弁護士であるなら、おそらく裁判員裁判になりかねず、あったことをすべて第三者に話さねばならなくなります、ということを告げて、示談に納得するよう誘導すると思います。ここらへん刑事裁判のしんどいところで被害者はなんべんも振り返らなければならない不条理があります。
群馬県でホテルに泊まった俳優が強姦致傷で逮捕された事件がありました。強姦致傷は親告罪ではありませんで、被害者の訴えがなくても刑事裁判にすることができます(繰り返しになりますが裁判員裁判もあり得ます)。でもって示談が成立し不起訴となって釈放されたのち、加害者の俳優の弁護士からのFAXというのが公開されたのですが、その内容がちょっと変で、被害者は指にけがをしているということだったのですが、傷害に該当する指のケガには触れず、事実関係を解明してないと断ったうえで、示談が成立したことを考慮して起訴がなされなかった、という事実を基に類推を重ねて、親告罪ではないのに不起訴としたのは被疑者の行為が違法性が顕著な悪質なことではないから、というちょっと無理筋なことをのべていて、被害者および当事者しか知りえないことなのでヘタなことは云えないけど、「へん」という印象を受けました。
起訴しないということはおそらくこの先、事実が公開されることはないはずですから、「いったもん勝ち」の世界です。加害者の弁護側は依頼人のことを考えなくちゃですから判らないわけではありません。やってることは理解したくないけど理解はできます。でもなんかこう、俯瞰して眺めると、とても不条理だなあ、と思っちまったり。