民法 1)総則 第2章 人 行為能力・5

(審判相互の関係)
第十九条 後見開始の審判をする場合において、本人が被保佐人又は被補助人であるときは、家庭裁判所は、その本人に係る保佐開始又は補助開始の審判を取り消さなければならない。
2 前項の規定は、保佐開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被補助人であるとき、又は補助開始の審判をする場合において本人が成年被後見人若しくは被保佐人であるときについて準用する。

(制限行為能力者の相手方の催告権)
第二十条 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3 特別の方式を要する行為については、前二項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

(制限行為能力者の詐術)
第二十一条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

催告権

制限能力者の行為が取り消されると相手方は損害を被る可能性が高い。そのため、相手方には制限能力者に対して、保護者が追認するか否かを催告する権利が与えられている。

催告の効力

代理人

(成年被後見人の)法定代理人

期間内(1ヶ月以内)に返答がない場合には、その契約等を追認したものとみなされる

保佐人

期間内(1ヶ月以内)に返答がない場合には、その契約等を追認したものとみなされる

補助人

期間内(1ヶ月以内)に返答がない場合には、その契約等を追認したものとみなされる

制限能力者系

被保佐人

「保佐人の追認を得る」ように催告することもできるが、この場合には、期間内に返答がないならば、その契約等は取り消しされたものとみなされる。

被補助人

「補助人の追認を得る」ように催告することもできるが、この場合には、期間内に返答がないならば、その契約等は取り消しされたものとみなされる。

未成年者

催告をすることはできない。

成年被後見人

催告をすることはできない。


(制限能力者の)取り消し権の排除

制限能力者が相手方を欺き、制限能力者ではないような誤信をさせた場合には取消権を排除する。
また、制限能力者であることを黙秘していた場合でも他の言動とあいまって相手方を誤信させた場合も「詐術」にあたる(最高裁判決 昭和44.2.13)

黙秘についての判例の見解 (最高裁・昭和44.2.13)

 1) 単に告げなかっただけのときは,詐術には当たらない。⇒遡及的に無効とすることができる

 2) 黙秘が他の言動と相俟って相手方の誤信を強めたときは詐術があったといえる。⇒遡及的に無効とすることができない

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