STAP細胞検証実験の中間報告(2014年8月27日)


8月27日に行われた理研によるSTAP細胞検証実験の中間報告のYouTube動画がアップされていましたので動画ならびに関連情報を資料としてここにメモしておきます。


動画は1時間52分の長編。20:10あたりから質疑応答。(ところどころ音声が途切れるのが残念)

相澤慎一氏(統括)と丹羽仁史氏(プロジェクトリーダー)の真摯な答弁には好感が持てます。この二人は信頼できる。すばらしい本物研究者たちであることが言葉の端々からわかります。

それに比べて報道機関の意地悪で無神経な質問(たとえばNHKの女性記者)にはうんざり。

STAP細胞やっぱりできなかったのか、それみたことか、これ以上続ける意味があるのか・・などと性懲りもなく。さらに税金の無駄使いじゃないのか、みたいな俗耳に入りやすい俗論を匂わせるような質問。

NHKは我々から徴収した莫大な視聴料金(税金の一種)を使った例のトンデモ偏向番組(7月27日のNHKスペシャルのことだ)によって笹井氏変死事件の引き金を引いておきながら・・・



丹羽氏の発言:「サイエンスはその人にしかできない実験がある」、「ES細胞も、最初の頃は、特定の人しか生成できなかった」。


捏造派の人たちには、きっと、この丹羽仁史氏の言葉の意味を理解することはできないのでしょう。


わずか22回の試行錯誤の追試(塩酸処理実験)だけで結論が出るはずがない。

今のところ、小保方さんが会見で言っていたレシピ=コツ=明示化し得ない技法(マイケル・ポランニーの「暗黙知」)を身につけているのは、世界中で小保方晴子女史ただ一人。

明示化できない「暗黙知」(tacit knowledge)が科学的発見の重要な鍵であることは、ハンガリー出身のマイケル・ポランニーによって明らかにされています。

マイケル・ポランニーは物理化学の分野で多くのすぐれた業績を残したのち科学哲学に研究に転向し、科学的発見の根底にある「暗黙知」(明示化できない知識)の存在を発見した。(マイケル・ポランニーの息子ジョン・ポランニーはノーベル物理学賞受賞)

ポランニーは、Nature誌のような科学論文に明示的に記載できない知識・技能の中に科学的発見の本質が隠れていることを発見して、それを理論的に実証し、暗黙知理論としてまとめたのです。今問題になっている重要なポイントはここにあるような気がします。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%BC


会見において丹羽仁史氏は、この暗黙知のことを「プロトコルの行間を読む」と表現した。


たとえば、クローン羊ドリーの再現実験の成功には1年半かかっています。

クローン羊よりもさらに困難なクローンマウスの再現には世界中の研究者がトライして誰も成功しなかった。若山先生が手取り足取りやって見せるまでは。


●【STAP細胞】15 STAP検証の中間報告【2014/8/27】
https://www.youtube.com/watch?v=0hlZdl4EVaY

2014/08/27 に公開
理化学研究所による「STAP検証の中間報告」についての説明会となります。
出席者
 ・相澤 慎一(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター特別顧問)
 ・丹羽 仁史(理化学研究所 多能性幹細胞研究プロジェクトプロジェクトリーダー)
 ・坪井 裕(理化学研究所 理事)


【参考資料】

理研サイト
http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140827_2/
2014年8月27日
独立行政法人理化学研究所

STAP現象の検証の中間報告について
STAP現象の検証の中間報告について、資料を公表いたします。
●STAP現象の検証の中間報告
http://www3.riken.jp/stap/j/m12document20.pdf
●STAP現象の検証の中間報告(スライド資料)
http://www3.riken.jp/stap/j/i3document21.pdf

●ryuubufanのジオログ
小保方晴子 STAP再現実験にやる気満々>
http://blogs.yahoo.co.jp/ryuubufan/67379086.html


理研幹部:サイエンスはその人にしかできない実験がある>
http://blogs.yahoo.co.jp/ryuubufan/67380196.html

●「一研究者・教育者の意見」ブログ
記事<可能性を理解できない人たち>のコメント欄より:
http://blog.livedoor.jp/pyridoxal_phosphate/archives/11333801.html

1.
45. Nekogu
2014年08月30日 14:37
(「日本の科学と技術」へのコメント[2014 08 30]の再録)

理研STAP細胞検証実験の中間報告から学び、考えたこと

 そもそも検証実験は改革委員会の「提言書」に基づくものであって、STAP細胞の存在を示すために行なわれているのではありません。ですから、分子生物学会の副理事長さんや、東大医科研の先生が「無意味だ」と思うのは自由ですが、正当な理由もなく「中止を求める」とか「止めろ」というのは、理研の検証実験に対する妨害行為である、と私は思います。学会の然るべき地位にある方が、独立機関の運営に対して、このような不規則発言を繰り返すことは「我が国の科学研究全体に「悪影響」を与える状況を生み出すことに」なるのではないでしょうか。「再現できなかったのだから、止めろ」というのは、今回の検証実験の意味を全く理解していないことを示すだけでなく、研究者・科学者にとしての資質をも疑わせる発言である、と私は思います。また、経費を「税金の無駄」という声もありますが、理研CDB運営の必要経費としての許容範囲内であり、何ら問題はないと思います。(つづく)
2.
46. Nekogu
2014年08月30日 14:38
(つづき)
 さて、今回の中間報告は、図らずも実験の現場に関わる研究者と一般市民との緊張感のある意見交換が行われた点で、貴重な交流の場になったのではないでしょうか。昨今「研究者と市民との対話」ということが言われますが、深まりのない表面的な交流になることが少なくありません。丹羽氏の過不足のない言葉でもって、実施された実験の概要と、得られた結果の意味・成果と今後の課題について、ご自身の研究者としての内面の吐露も含めて、聞くことができたことは、「STAP細胞の科学」に関心のある多くの人にとって、貴重な経験だったのではなかったか、と私は思います。聴衆の多くが素人で、やや追求不足であったのは否めませんが。

 実験結果は、予想された通り(私にとっては)、STAP細胞に迫ることにはなりませんでしたが、論文だけでは分からなかったことも示されました。論文の手順通りでは、細胞処理溶液のpHが論文に示された値にはならず、以外と微妙な/手強い手法であることが窺えました。

 頻度や割合はともかく、Oct3/4-GFPが蛍光発色する細胞は出現しました。しかし同時に、赤色蛍光も重なるため、純粋な「GFP発光」はではなく「死細胞固有」の現象が疑われました。実験として示されたのはここまででした。
(つづく)
3.
47. Nekogu
2014年08月30日 14:38
(つづき)
 ここで、私の疑問点を2つだけ挙げて置きます。

(1)対照実験として、GFP遺伝子を持たない同系マウス由来の細胞では、緑色蛍光はなかったと思いますが、併行して酸処理等をした場合、赤色蛍光はなかったのかどうか。また、常時GFPを発現する細胞を、併行して酸処理等をした場合、赤色蛍光はどうだったか調べられたのかどうか。私が聞き逃したかも知れませんが。

 (2)また、酸処理で生じたGFPを発色する細胞塊の中で、生細胞の割合はどの程度なのか。そもそも生細胞はなあったのか、なかったのか。素人目には、トリパンブルー排除試験で簡単に分かることだ思われるのですが。

 たとい「STAP細胞」があったとしても、細胞塊のごく一部に限られる可能性が高く、この段階で、増殖性のない「STAP細胞」の検出・検証実験を進めても、失敗する確率が極めて高いと考えられます。ここで立ち止まるのではなく、ここを通過点にして「STAP幹細胞」の樹立と検証に向かう実験(進行中かもしれませんが)も、他の計画実験と併行してすべきではないか、と私は思います。

 というのは、iPS細胞でも、まず「STAP幹細胞」に対応する細胞が得られた訳で、「STAP細胞」に対応する「原始iPS細胞」は、まだ研究が殆ど進んでいません。それだけ困難だからだろう、と思われます。「STAP細胞」を経て「STAP幹細胞」が生じる訳ですから、理屈の上では、まず「STAP細胞の検証実験」、次いで「STAP幹細胞」となりますが、おそらくその考えが、STAP細胞研究の「落とし穴」なのではないか、とも考えるのです。[2014 08 30]