Hatena::ブログ(Diary)

コンバンハチキンカレーヨ再 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-01-25

[]山口雅也 ステーションの奥の奥

山口雅也『ステーションの奥の奥』は、叔父との楽しい夏休みを利用して、新築改装前の東京駅を自由研究にするはずだったが……、誰も通れないはずの封鎖地区で首切断死体を発見してしまう。素晴らしいシチュエーションが用意されていて、後味のよさは格別。好みでいえばミステリーランド中1位かも。ただ、言い切ってしまうのには微妙なところなんだけど、ギッリギリなところでアンフェアにならないバカミス。バカっつーよりマヌケが正しいんだけれども。

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)

[]古橋秀之 冬の巨人

この流れで古橋秀之冬の巨人』を読む。軽っ! って短いからとか文章そのもののことではなくて、まじでジブリ映画を堪能した2時間のような、実に爽やか心が軽くなる読後感。短編でもなく長編でもなく、アニメ映画のために作られたような絶妙な中編であり、頭の中で動きまくるイラストもよいよい。古橋作品とイラストレーターの相性はいつも満点だなあ。タツモリ家の続編でないかなあ。再読しようかしら。

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

冬の巨人 (徳間デュアル文庫)

[]冲方丁 スプライトシュピーゲル オイレンシュピーゲル (1)

近未来ウィーン。人種・文化・技術が集結する国際都市ミリオポリスを襲う様々なテロ。それに立ち向かうのは特技増強された少女たち。弾丸のように飛び交う妖精『スプライトシュピーゲル』と、瞬時にして走りぬく犬『オイレンシュピーゲル』。

記号を使った冲方文体になれたら、この読書感はマジ気持ちいい。戦闘は山田風太郎忍法帖川上稔のOSAKA、そこにほどよく萌えが混じって、ドぎつい肢体破壊描写がまた加速させる。彼女たちの過去が強烈なのも、共感できなくてよいよい。

どちらから読んでもいいけど、お薦めしたいのは『スプライトシュピーゲル』から。寝る間を惜しませるジャンク小説ながら、その上手さを直視できる名連作短編シリーズ(しかも始まったばかり)。30分アニメのような展開を満喫しつつ、次回は長編になってほしいなあ。

オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)(角川スニーカー文庫 200-1)

オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (1)(角川スニーカー文庫 200-1)

[]冲方丁 オイレンシュピーゲル 2

2冊同時発売かと思いきや犬=オイレン版から先にでていた冲方丁オイレンシュピーゲル 2』を読む。ロシアの衛星がオーストリアに撃墜し、詰まれていた原子炉を狙って7つのテロ組織が動き出す、冲方が書く最高のジャンク小説。マルドゥック・シリーズほど読み応えはないものの、アウトプットされた断片が1つになっていく様は楽しませてくれる。同事件を書いた虫=スプライト版は7月末発売予定で、こちらもも楽しみ

[]乙一 銃とチョコレート

乙一『銃とチョコレート』を読む。4部も乙一も好きな読者は永遠の乾きに苦しむことになるのでした。おしまい。いや本当、素晴らしい作品なんだけど、期待するなっつーのも無理な話しで。なんか未練がましい男でやだなあ。

銃とチョコレート (ミステリーランド)

銃とチョコレート (ミステリーランド)

[]宇月原晴明 信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス

宇月原晴明信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』は第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。信長は両性具有者(ふたなり)だったよーってネタの時代小説パートと、30年代ドイツにいたフランス詩人アントナン・アルトーが日本人青年と出会う、2構成が織り成す伝奇もの。ネタでがっつり噛まれてリーダビリティ高い文体で読まされ、安土城の調査が19世紀終盤に突如始まる理由が伝奇的要素と結びついたラストに超快感。現地に行ってからずっと疑問だったんだよね。それぐらい不自然に感じる調査開始時期、このコンボで得られた興奮だけで手放し絶賛しておく。

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)

[]宇月原晴明 聚楽 ― 太閤の錬金窟

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞でデビューした『信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』の続編になる宇月原晴明『聚楽 ― 太閤の錬金窟』は、面白さと出来が格段とアップ。京都聚楽第の地下で秀次(秀吉の甥)が錬金術をしていたってネタをベースに、裏では秀吉の蜂須賀党、家康の服部党、そしてキリスト教団”主の鉄槌”が入り乱れるスケールでかい御家騒動。山田風太郎『妖説太閤記』へのオマージュとしても有名(前作は傑作『八犬傳』のはずなんだけどなあ)なんてことはどうでもよくて、無敵のボーイ・ミーツ・ボーイズであり、可憐な拾われヒロインの成長物語として面白いんだこれまた。

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

[]上遠野浩平 酸素は鏡に映らない

ミステリーランド第12弾の上遠野浩平『酸素は鏡に映らない』。なんかセカイってスゲー格好よくねーか? と子どもなら思っちゃう(25歳になっても)文体と台詞が良さとして読める、企画に相応しい1冊。既刊シリーズと繋がっているパーツ自体も面白く、次を読んでみたいと思わせるのではないでしょうか。それなら著作一覧みたいなのは講談社外のも載せたらいいのに、って話し。もったいない気がするんだけどな。

酸素は鏡に映らない (ミステリーランド)

酸素は鏡に映らない (ミステリーランド)

[]赤木かん子ミステリーセレクション5 ミステリーミステリーを呼ぶ

子ども向けに編集されたミステリ・アンソロジの5巻目。大御所から2編を収録した赤木かん子編『ミステリーセレクション ミステリーミステリーを呼ぶ』。島田荘司の御手洗もの「IgE」は荒々しい発想でありつつ、そのテンヤワンヤの騒ぎが楽しい1編。鮎川哲也の”三番館のバーテン”もの「クイーンの色紙」は、ダネイ(クイーン)夫婦が来日した際ににもらった色紙が消失してしまったが……。御大の回顧録のような描写がポイント。いやー、鮎川哲也を読んだの10年ぶりぐらい。島荘も5年ぶりぐらいかー、と思うのでありました。

[]森博嗣 どきどきフェノメノン ― A phenomenon among students

森博嗣どきどきフェノメノン ― A phenomenon among students』を読むが……。面白くないわけじゃないけど、面白いともいいきれない。なつかしい短編「何をするためにきたのか」を彷彿とさせる、何時でもどれだけでも書けるタイプの長編