宇月原晴明 聚楽 ― 太閤の錬金窟

第11回日本ファンタジーノベル大賞受賞でデビューした『信長 ― あるいは戴冠せるアンドロギュヌス』の続編になる宇月原晴明『聚楽 ― 太閤の錬金窟』は、面白さと出来が格段とアップ。京都聚楽第の地下で秀次(秀吉の甥)が錬金術をしていたってネタをベースに、裏では秀吉の蜂須賀党、家康の服部党、そしてキリスト教団”主の鉄槌”が入り乱れるスケールでかい御家騒動山田風太郎『妖説太閤記』へのオマージュとしても有名(前作は傑作『八犬傳』のはずなんだけどなあ)なんてことはどうでもよくて、無敵のボーイ・ミーツ・ボーイズであり、可憐な拾われヒロインの成長物語として面白いんだこれまた。

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)

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