宮部みゆき 今夜は眠れない

手軽に宮部みゆきが読みたくなったので、未読だった薄い作品を。
母さんが、かつて”放浪の相場師”から5億円の遺産を受け取ることになったため、僕の落ち着いた生活は混乱してしまう。友人、親戚、マスコミ……。そして父さんの浮気による家出。どうして相場師は、こんな大金を母さんに渡したのか。僕は、母さんの過去を追うことになるが……。
とみなが貴和『夏休みは命がけ!』(asin:4044279012)なんかを思い出したり。プロットの流れから伏線による驚きまで、最後まで息をつくことなく読めてしまう、大変優れた作品。宮部みゆきといえばボリューミーなところが魅力でもあるけど、そこで読める面白さが凝縮されているプロトタイプ的な要素もある。台詞や小道具にしても、どこが巧みかよく見えてくる、見本のような名作だ。

今夜は眠れない (角川文庫)

今夜は眠れない (角川文庫)