昨年はこれがよかった! という自分なりのベスト(05年版)(06年版)(07年版)(08年版)(09年版)(10年版)(11年版)(12年版)。えらい忙しくなってきたぞ、と思いつつ意外と読んでいた1年。秋の期待の新刊ラッシュが恐ろしかったことを除けば、落ち着いて読書ができたと思います。そんな中で、今年とても印象に残ったベスト作品は次の2作。
まさかのミステリ以外から2冊! ババア百合最強な米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(感想)。1960年のプラハ。激動の社会主義の中で日本人少女マリはとても大切な友情を育む。30年後、懐かしの友人3人に再会するためにマリは旅に出る。いや本当萌えた。子ども達が語り合う愛国心談義に、30年後のババア百合再加熱が読みどころ。
トレイシー・シュヴァリエ『貴婦人と一角獣』(感想)も素晴らしかった。有名なあのタピストリーをモチーフに、歴史的考証を加えてドラマチックに仕上げた1冊。まったく小難しいことなく、人間たちの恋に性に信仰深さを生々しく交え、それはまるで完成されていくタピストリーの様。2大ヒロインのクロードとアリエノールが超ロリロリしつつも、大人になろうと足掻く様は読み応えたっぷり。
今年もポケミスをよく読みました(全部ではないけれど)。その中から記録しておきたい3作は次で。
新本格ミステリの終わりに登場したような、メフィスト賞前夜の空気感たっぷりのドナート・カッリージ『六人目の少女』(感想)は好奇心たっぷりな人にお薦め。少女が誘拐されて殺されるわ、生かされてるわ、死んでるわ、死んでたわ……。詰め込みすぎだけど、意外と悪くない。
ユッシ・エーズラ・オールスン『特捜部Q カルト番号64』(感想)は2013年かあ。特捜部Qシリーズ第4弾は、ビールに見立てた水の乾杯と、ドラム缶に油を注いで書類を燃やしたくなる小説No.1! 一気飲みするのは誰だい? (涙を堪えながら)あたし! 楽しかったなあ。
ただ凄かった、ウィリアム・ランディ『ジェイコブを守るため』(感想)。地区検事補アンディの息子ジェイコブが同級生を殺した容疑で逮捕される。小さな家族、血筋と過去。希望を抱きながら疲弊していく家族に光は射すのか? 濃厚な法廷ミステリと、家族の光と影を書いた超力作。僕の中で圧倒的ベスト。凄いパワーの作品だった。
2013年の締めはこちら。体力、精神力、知力などなど、全てはここで燃え尽きてしまった。ジョージ・R・R・マーティン、<<氷と炎の歌>>シリーズ5作目。
物語が膨大になり過ぎたために、実に全てが半端なところで終わっている残念感は否定できない。でも、それでもデナーリスのあの勇気を読むために、あの一声を聞くために、僕は読んできたんだ。舞う砂埃、混乱して叫ぶ群衆、ピシリと鳴る鞭の一振り。ああ、僕は本当に幸せだ。