教育の真実、結婚の真実、日本の真実

文化資本 | 齊藤貴義の唯物論



教育の真実:
> 東京大学の学生の保護者の職業構成を、過去20年間にわたって示したものが指し示しているのは意外にも、専門・管理職としてくくられる上層ノンマニュアル(医師、弁護士、大学教授などの専門職や、大企業、官公庁の管理職、および中小企業の経営者など)”と 呼ばれる階層の出身者の割合が、すでに1970年代から一貫して、ほとんど大きな変化もなく、高い値を示していることである
> 東大入学者は、私立高校の出身者の寡占状態を生み出すずっと以前から、すでに特定の社会階層出身者の寡占状態となっていた
> 私立高校が優勢になる以前から、専門・管理職の子弟たちは、日比谷や西などの公立高校を経由して、やはり東大にたくさん入学していた
> 文字や数字などの記号を操る能力、丹念に論理を追う能力、ものごとを捉えるうえで具体から抽象へと飛躍する能力。これらの能力の獲得において、どのような家庭のどのような文化的環境のもとに育つのかが、子供達の間に差異をつくりだしている
> 「子供には誰でも無限の能力、無限の可能性がある」と見る能力=平等観が広まっている
> 学校を通じて不平等の再生産が行われていても、そのような事実にあえて目を向けないしくみが作動している
> (苅谷剛彦東京大学大学院教授『大衆教育社会のゆくえ』中央公論新社
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> 社会の中で、学歴が高いほど、職業選択の自由が多く、また、賃金や社会的威信が高い職業につく可能性が高い
> 学力が学校で誰でも平等に身につくものではなく、家庭環境の影響が大きく、学校ではただ選抜だけを行っている



結婚の真実:
> 結婚は生涯の間で一度か二度の、数少ない資源最大化ゲームのための家族戦略であって、 それを「趣味の一致」という名において男女が自発的に行っている
> 男女は「やっぱり趣味が一緒じゃなきゃね。冬はスキー、夏はテニス、一緒に遊べなきゃね」という
> どういう「趣味の一致」を持っていたかというと、乗馬クラブであったり、ヨットであったり、最初から候補者のスクリーニングがおこなわれている
> 同類婚の認識が非常に強く働いていて、見合いでも恋愛でも、配偶者選択の落ち着く先はそれほど大きく変わらない
> (上野千鶴子東京大学教授「恋愛結婚の誕生」『東京大学公開講座家族』所収)
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> 絵画を「鑑賞できる」のは、生まれつきの先天的な才能によるよりも、どれくらい鑑賞に必要な知覚を自分のものとして集められるかという、後天的な要素による
> 鑑賞に必要な知覚は、財産のように各階層それぞれにばらつきがある



日本の真実:
> イギリスの野郎どものような対抗文化の形成が日本の職業高校には見られなかった
> イギリスの階級対立とは異なって日本にはそのような洞察を生み出す歴史的背景が存在しなかった