科学と技術の諸相」サイトの方による著作「光の場、電子の海―量子場理論への道 (新潮選書)」があまりに素晴らしくて泣きそうになる【電車で読むのはおれカネゴン】。
著者自身による紹介文:

  • 量子力学素粒子論を結びつけるミッシング・リンクたる「量子場の理論」。これまで、本格的な解説書が皆無に近かったこの理論について、高等数学を使わずに解説します。「量子論の端緒となった光量子論はどうなったのか?」「γ線を用いた思考実験で不確定性原理を説明するハイゼンベルクの議論は妥当なのか?」「素粒子標準模型量子力学はどんな関係にあるのか?」−−こんな疑問を抱いていた人にお勧めです。
  • 主要論文を読破し理解した上で、前期量子論からくりこみ理論に至る理論の形成過程を叙述します。現在の知識に基づいて再編成した「教科書的な科学史」ではなく、試行錯誤を重ねながら少しずつ前進していくプロセスを、理論の具体的な内容を中心に見ていきます。
  • これまでの科学史であまり語られなかった天才ディラックと怪物パウリの知的対決にスポットライトを当てます。また、呪われた物理学者ヨルダンの業績も正当に評価します。一方、過大評価されてきたボーアとハイゼンベルクについては、やや批判的に解説します。

まさにこのとおりの内容が展開されている。文芸ムード満点で語られがちな初期量子力学への誤解を正し、物理学は100年近くも前にとっくにその先に進んでいることを痛感させる。この物凄い内容を、カネゴンがうんと背伸びすれば読める程度の難しさに留めた著者の力量に感嘆。
著者は文章の表現力も相当なものであるにもかかわらず、本書の最初と最後以外ではそれを極力抑制していて、その禁欲さ加減がまたたまらない。もし仮に物理学者とサイエンスライターの二人がかりでこの本を書いたとしたら、ここまでのできになったかどうか。1+1<1である場合もありえることを知る【苦手な算数おれカネゴン】。

同書で大フィーチャーされているヨルダンは、量子場理論の立役者の一人でありながら、親ナチス的な発言と行動が災いして、物理の歴史にほとんど載せてもらっていないとのこと。カネゴンの夢はこういう人を手元で飼い殺しにすることです【新年早々おれカネゴン】。

不景気という状態を、一種の悪霊に取り憑かれた状態と見なしたらまずいだろうか【真の悪霊おれカネゴン】。同様に、異常な好景気も、別の悪霊に取り憑かれた状態と見なしたりできないだろうか。
悪霊を祓うには昔から祭りと決まっているので、地上のあらゆる経済圏を巻き込む超大掛かりな祭りを一ヶ月ほど手加減なしで執り行うことで、あっさりと不景気を撃退できたりしないだろうか【休みの口実おれカネゴン】。オリンピックとかワールドカップ日本シリーズみたいなイベントも全部臨時でこの祭りに組み込んで。
本件を否定するには、実地による実験が必要です。

年末に読んだスパイ関連の本によると、初期のスパイ衛星は通信帯域が狭すぎたため、撮影したフィルムをカプセルに封入して衛星から海に向かって投下し、それをCIA職員が回収するという実に気の長い方法が使用されていたとのこと。