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グレイス・ジョーンズという強面のモデル兼パフォーマーの人がいて、常にエキセントリックでとんがったオシャレ系音楽ばかり長年演じているのだけど、やろうとしていることだけ見れば現代音楽の人たちと同じように最先端を目指しているはずなのに、両者がこれまで交流している気配がこれっぽっちもないのはなぜなのだろう【ガオガオブーのおれカネゴン】。実は互いに不倶戴天の敵同士だったりするのだろうか。お金がある者とない者の間には深くて暗い川が流れているのだろうか。
グレイス・ジョーンズの音楽があまりにインパクトと一発ネタ重視で底が浅く、二回聴き返す気になれないというのがあるにしても、それは現代音楽の大半も似たようなもののはずなのに。
なお、グレイス・ジョーンズの音楽の制作にあたっては、オーケストラヒットのようなあっという間に陳腐化してしまう手法をうっかり取り入れて後から笑いものになってしまわないよう、細心の注意が払われている。さらに、バックミュージシャンのエゴや気の利いた名人芸、ほろりとさせてしまうような美しさなどがちらりとも姿を見せることのないよう、徹底的にそういう要素を叩き潰したうえで奴隷として最適化してある。たぶんそういうところに一番お金がかかっている【無銭と実験おれカネゴン】。
実はカネゴンが最初に黒人音楽というものに関心を持ったのはグレイス・ジョーンズだったりした【恩を忘れるおれカネゴン】。残念ながらそのビデオはネットのどこにも落ちていなかった。
そのPVの音楽はドラム以外の音がなく、アフタービートを極端に強調したシンプルなビートで、アニメ音楽と合唱曲とテクノポップしか知らない当時のカネゴンにはそれまで耳にしたことのない異様なものを感じた【恐怖と共におれカネゴン】。自分でそのビートをあれこれ真似してみてもちっともそういう感じにならず、首を捻るばかり。
今から思えば、あれは黒人音楽をパロディとして使用していたのかもしれない。黒人音楽をインサイダーとしてではなく、よそ者の視点から眺めて、その特徴をギャグになるくらいに強調した結果なのではないかと。最早確かめようもないけど、ドラマーも黒人とは限らない。カネゴンは鈍いので、このぐらい強調してもらわないと検出できなかったと今にして思う。
とにかくその時以来、どうやったらああいう感じに演奏できるのかずっと気になってしまい、それが知りたくてラジオで流れるR&Bやジャズに初めて関心をもつようになった。その謎が解けるのは大分後になってビッグバンドに加入し、師匠に会ってからなのだけど。