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学校図書館ボランティアの読書記録

2012-11-18

『天と地の守り人第三部 新ヨゴ皇国編』を読みました

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)

天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)

< これしか道はないのだと、わかった。
 父は清浄なる天の子として、その生をまっとうするだろう。
 自分は地を行く、血にまみれ、死臭をまとい、迷いながら見つけた道を、歩んでいく。
 チャグムは、歯を食いしばって父の顔を見つめていたが、やがて、敷物の上に膝をつき、両手をついて、額を床に着けた。
 そして、喉の奥からしぼりだすようにして、ひと声、叫んだ。
 「・・・・父上、おさらば!」>
 作者上橋菜穂子氏が、10年の歳月を費やして、渾身の力を振り絞るようにして描いた、バルサとチャグムの物語は完結してしまった。
 作者にとって、10代で読んだトールキンの『指輪物語』で受けた衝撃の中で、いつか自分もこのようなものを書きたいと抱いた夢が、現実のものとなったというほどの作品だということです。第1作の『精霊の守り人』が誕生して、2011年で、15年目を迎えるのです。アメリカ合衆国イタリア台湾スペインドイツなどで翻訳され出版されています。また、アニメ化され、より多くの人々に親しまれています。
 いま、読み終えても、バルサもチャグムもタンダもトロガイも、私の中で、語り続け、食事をし、自分の生き方に従って、自分の人生を生き続けているような気がしています。
< 追記(新潮文庫
 いま、窓から外を見ると青いビニールシートで屋根を覆っている家が見えます。
 平成二十二年三月十一日に起きた、東日本大震災の被害がまだまったく収まらず、福島原発の状況も予断を許さず、震度4レベルの余震が珍しくない状況の中で、私はいま、このあとがきを書いています。これから日本はどうなっていくのだろう、私はいま、何をすべきなのだろう、と思いながら。
 途轍のない災害にいきなり襲われた多くの方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 被災された方の苦しみは、どれほど思いを尽くしても、なお届き得ないほどの、凄まじいものであろうと思います。私なりのやり方で、少しでもお手伝いができればと思い続けています。
 こういうときは、人の愚かさ、醜さも顕わになりますが、それを遥かに越えて、人の毅さ、美しさも見えてきます。
 天と地は、こうして、ただありつづけ、動きつづける。
 その中に生まれおちた私たちは、いま、生きる、ということに向き合っています。知と、理と、情を尽くして、己が負える荷を負い、ともに生きていきましょう。>