ミスター・メルセデス(上)(下)/スティーヴン・キング
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- 価格: 1,998円
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今更だが、スティーヴン・キングってすごい。1970年代に傑作ホラー小説『キャリー』や『シャイニング』を書き、そののち40年近い歳月が経過してから、ミステリ『ミスター・メルセデス』を著わしている。この40年間の間にもちろんまずい作品もあったけれど、数々の傑作秀作を書いた。
『ビッグ・ドライバー』や『1922』など、過去のハードボイルドタッチもミステリが良かったが、この『ミスター・メルセデス』は名探偵と、その名探偵に執着するサイコ系殺人鬼の対決という王道のミステリで、とてもいい。ジョン・ハート『終わりなき道』と並び、間違いなく2016年度のベスト・ミステリである。
不況下、仕事を求めて並ぶ人々の列に向けて自動車を暴走させ、8人の命を奪った男、ミスター・メルセデス。彼は退職刑事ホッジズに挑戦状を送り付け、ホッジズは友の力を借りつつ彼を再度の犯罪を行わせないよう、捕らえ止めようとする。
キングの小説の巧みさを感じさせるのは、何といってもその意外なストーリー展開。ホッジズの捜査もまっすぐ進まぬならば、殺人鬼の犯行計画もうまく行かず、ホッジズへの妨害も意外なところから行き詰まる。またネタバレにならないように書くが、物語の開幕当初、いや上巻ではほとんど存在感がなかったある人物が、別の登場人物の退場と入れ替わるように主役級の活躍を見せるのが意外。
傑作。