和・洋・中! オーソドックスの中にある"新しさ"『きものなでしこ』

コミティア新刊宜しくお願いします。私は現場に行けませんが。やーはー! 今回の更新は百合姫から『きものなでしこ』特集です。今回、次回と非きらら特集をやろうと思っています。

可愛い絵柄と爽やかな笑いが魅力の八色先生。『きものなでしこ』は第4回百合姫コミックス大賞の瑠璃賞(奨励賞)受賞作の設定を、日本人・かの子、フランス人・サーヤアメリカ人・アンジェリカ、中国人・雀の4人が集まる委員会”撫子衆”として仕切り直した日常系4コマ。

『きものなでしこ』は普通にギャグ4コマとして面白いです。キャラクターの個性は強いものの、誇張しすぎず不快な部分がない。誇張したりギャグを強くすればどこか不快感が伝わってくるものがあると思いますがそれが全くない。個性は強いはずなのに主張しない。なんか新たな日常系4コマを見ている気分です。ただ、レビューサイトとして「普通に面白い」だけで終わっちゃうと「やーん」なので続きます。やーん。


背景の在り方
この漫画の面白い部分はトーンを使っていないことです。キャラクターから背景までトーンを使ってないことで他の4コマと差別化できる独特のカラーを持っています。ただ、それは個性である一方で弱点でもあり、背景がシンプルすぎる、絵に暗さを感じる等「イマイチと感じてしまう」部分でもありますが。シンプルであるがゆえに白と黒が目立つのです。

きららに『きんいろモザイク』という留学生を生かした作品があるように『きものなでしこ』の設定自体は、今の4コマ業界から考えると飽和状態の中に存在するありふれた4コマです。ただ、そのトーンを使ってない独特のカラーがこの4コマをなにより特徴的にしており、「目をひく」存在になっています。こういう、絵で勝負できてる4コマというのは単純に「絵が上手い」という部分が大きいから出来ること。
絵だけでなく、この作品には撫子衆、留学生、着物…多くの設定が背景にあるのですが、それをメインにしすぎて消化不良になってない。よく無駄に設定に引っ張られすぎて「おいおい、普通に日常4コマやってくれよ」的な勿体ない漫画がよくありますが、この作品は背景を活かしつつも設定に引っ張られすぎず、綺麗に日常4コマを上手くこなしています。


百合4コマとしての在り方

「でもその地味なかのちゃんを好きな子だってきっといるよ」

最近すげー思うのは「きらら(MAXとか一部を除く)以外の4コマって変な4コマが多いよなぁ…と。一迅社ってそれが顕著だと思うんですよね。ぱれっとなんか読んでると「普通の日常送ってる4コマがない」のですよ。なんかおかしな設定が一つ加えられてる。それはよくも悪くも、なんですが。

この作品も留学生(中国、アメリカ)がメインという変な4コマ。でも日本語ペラペラで文化的におかしいだけなんですけどね。常識人のまわし役が主人公の日本人ではなく、海外留学生の中国人雀ちゃんなんですけど。雀ちゃんの可愛さには涙が出ます。もう主人公でもいいぐらいです。

と、戯言は置いておいて百合姫に載ってるだけあって百合成分が若干あるのですが、この作品の百合は心地良い。なんか百合漫画って「背徳感」みたいのを背負っていたり、百合すぎてとっつきにくい作品が多いですが、この作品は百合百合してないソフト百合感が良いのですよね。友達の延長線で百合を公表していないのがニマニマ。
最近のヒットしてる萌え4コマは「ソフト百合感」を大切にしている感はあります。『ひだまりスケッチ』『Aチャンネル』『けいおん!』4コマ外だと『ゆるゆり』なんかもそうですね。肉体的なまぐわいなんていらない! 精神的に繋がってる「ソフト百合感」があれば読者は精神的に満足なんです。着エロみたいなもんです。
萌え4コマ、ヒットの法則は着エロ感!!」とか間違った提言をしてみます。この作品も、かの子とサーヤのソフト百合を雀がニマニマして眺めてる感が可愛い。どちらかというとサーヤがかのちゃん大好きなんですけど、時々ナチュラルにかの子がサーヤ大好きっぷりを発揮しちゃうんですよね。サーヤとのウェディングドレスを妄想したり、告白したり。もうゴロゴロしちゃうね!!


単純に面白い。でもタイトルにも表紙にもあるのに「着物が出てこない」のは如何なものか。と、いいつつ2巻以降、この作品の根幹にも関わってきそうな部分であるので楽しみである。久々に単純に続刊が楽しみな作品。じゃー、そんな感じで。今回はダラダラと書かずに短く。次回も非きらら特集になる予定です。また次回っ!