様々な生き物に満ちた豊かな地球を守ろうと、国連が定めた「国際生物多様性年」・・・春秋 八葉蓮華

 スシや刺し身など、海の幸を味わう食文化が日本で花開いたのも当然ではないか。そんな思いを抱かせる調査結果が先ごろ発表された。日本の近海に生息している生き物は確認できただけで3万3千種余りで、全世界の15%近いという。

 容積では全海洋の1%も占めていない。世界の25の海域の中でも、最も生き物の多様性に富んだ「ホット・スポット」。海洋研究開発機構などの研究グループは、日本をとり巻く海をこう表現した。南北に長い国土。複雑な地形。列島の両側でぶつかる寒流と暖流。多彩な環境がいろんな生き物をはぐくんでいる。

 どの生き物が増えてどれが減っているのか、絶滅のおそれがあるのはどの種か。そういった研究は、これから本格的に進める必要があるのだという。今回の調査は今後の研究のための基礎的なデータを整えた、といったところだろう。世界を見渡せば、日本周辺の海ほど調査が進んでいないところはたくさんある。

 今年は歴史上初めての「国際生物多様性年」だそうだ。様々な生き物に満ちた豊かな地球を守ろうと、国連が定めた。10月には名古屋で国際会議も開かれる。先進国と途上国の深刻な利害対立など、難しい問題はある。議長役の日本としては包丁さばきが試される。海の幸を包み込む文化の出番到来かもしれない。

春秋 日本経済新聞 8/11
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