THE HIRO Says

2014-08-29

Agile2014に参加してみて分かった昨今の世界のアジャイル事情

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先日参加してきた Agile2014 の、社内向けレポートを公開しても良いことになったので、共有させていただきます。

本当は帰国時(8/4)の飛行機の中で書き終えており、帰国次第即公開しようとしたのですが、社内手続きなどの都合で公開が遅れていました。

また、公開まで期間が空いたので、レポートを書いた当時は理解できなかった点についてもある程度理解が追いつくようになったのですが、帰国時の雰囲気をそのまま伝えたいと考えたため、あえて追加修正をしないでの公開とさせていただきました。

英語で書いたということもありますが、説明足らずの部分も多々ありますので、可能な範囲で追加説明をしてみようと思います。



3つのトレンド

私が初めて参加した Agile2012 の時は、当時私の学習が追いついていない部分を割り引いても、下記の図のように、まだ Agile/Scrum/Lean/XP 自体を軸に各セッションが展開されていた印象でした。

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一方で今年参加してみて、下記の図にあるような傾向が見えるようになってきました。

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  • Agile/Scrum/Lean/XP 自体は既に当たり前になっており、それらをどうよりうまく活用するかに焦点が移ってきている。
  • アメリカコンサルを中心に「Enterprise Agileが流行っているが、一方でこれに嫌悪感を持つ勢力も増えつつある。
  • BDD/ATDD を中心に、Testing のセッションに改善がみられる。
  • Metricsセッションが増えてきた。

以下、順番に簡単に説明していきます。



1. Enterprise Agile

「Enterprise Agile」とは、簡潔に言うと、企業全体レベルでのアジャイルを実現しようという考え方・方法論のことです。

(一部で「大規模アジャイル」と表記されていることもありますが、この表現だと「大規模プロジェクトでのアジャイル」だと誤解されやすい/そのような意味で使う人もいるので、「企業全体レベルでのアジャイル」とした方が妥当だと私は考えています。)


なのですが…技術面などの実現基盤については一切語らず、「メンバー全員が幸せになれるモチベーションを作るべきだ」のように空虚な「精神論」だけを言っている人が非常に多いのが気になりました。

  • こういうことを言う人は、アメリカコンサルをやっている人に多かったです。
  • こうした発表は、アメリカ人参加者には非常に受けが良いのですが、他の国の人(カナダ含む)はしらけていました。
  • 弊社のアメリカ人の多くが「アジャイル」と耳にすると「いい加減なこといいやがって!」と反応するのが不思議だったのですが、今年カンファレンスに参加してようやく理解できました。

例えば、コチラの動画を観ていただきたいです。ダンスをして楽しくなっても、良いプロダクトは作れないと思うのですよ。


そうした一方で、昨年一部で物議を醸していたSAFe(Scaled Agile Framework) が着々と勢力を広げつつあり、特に今年は SAFe をテーマにしたセッションが5つほどありました。



2. Testing

前回の『「ホンモノ」の ATDD by Example』でも触れましたが、testable な feature/story を作り、それを元にロールを超えてチーム関係者全員が極力常時コミュニケーションを取ってプロダクトを作っていこうという意味で、BDD(Behavior-Driven Development) および ATDD(Acceptance Test-Driven Development) を語るセッションが増えてきた印象です。


また、Jeffrey Morgan さん”Patterns of Automation” というセッションが、Gojko Adzic さんの名著 ”Specification by Example” に書かれているパターンを、自作 Web サイトに対して Cucumber でライブコードしてデモをするという内容で、非常に刺激的なセッションでした。


興味のある方も無い方も、是非下記書籍を読まれることをオススメします!


あと、Mutation Testing については、「こういう考え方も出てきているのか」という感じで観ていただければと思います。



3. Metrics

私も業務で好んで使用している Metrics ですが、今回はこれをテーマにしたセッションが5つほどありました。

今回特に話題に出ていた Metrics は、次の3つでした。


CFD は、JIRA などを導入していると簡単に取得はできるのですが、読み方や活用方法がイマイチ分かりづらいという意見を弊社でも良く耳にします。(かく言う私もそうでしたw) そこで、読み方を教えてもらってきたので下記にまとめてみました。

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また、Metrics の活用のポイントを整理すると、次のようになります。

  • 現在の課題と、施策の効果を確認するのに有用
  • 色々ある問題の中で、一番力をいれるべき箇所を特定するのに有用
  • あくまで、より良いものを作るためのコミュニケーションの手段として活用すること。誰かを責めたり場当たり的な決定の補助手段としては使用しないこと。

特にアジャイルでの Metrics の考え方については、Ken Power さんの論文が非常に分かりやすいので、一読をオススメします。



自身の活動と照らし合わせてみて

かく言う私もこの2年ほどで、マインドセット系に偏りがちに感じられた日本国内の「アジャイル」の風潮に違和感を持ち始めて、「アジャイル」の実現を裏付けする基盤としてのテストなどの自動化や「見える化」(Metrics)にシフトしていったという経緯があります。ただ、周りで同様の考え方をしている人があまりおらず、正直孤独感のようなものを感じていたのですが、同じような考え方や問題意識を持っている仲間が世界に多くいることが分かったのが、今回 Agile2014 に参加しての個人的な大きな収穫でした。


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こちらは、スウェーデンの Ericsson 社の方とランチをさせていただいた際に、これまで私が感じていた課題認識や本音をぶつけてみた際の議論のポイントを簡潔にまとめたものです。

  • これまでのアジャイルだと、どうしても bottom-up での改善が多く、それが中間層や経営層との衝突で失敗してしまうことが多い。
  • 「Enterprise Agile」のマインドセットを強調するアプローチは、そうした中間層や経営層にアジャイルの考え方を売り込む方法の1つ。
  • 一方で、アジャイルを実現するためには技術基盤の整備・活用はやはり必須だろう。
  • これまでのアジャイルでは不足していた部分を補うため、Testing や Metrics が世界的なトレンドとして目立ちつつある。

また、私のような課題認識を持っている人間は、Agile2014 よりも XP Conference の方が合っているから参加してみては?と、複数の方(主にヨーロッパ出身の方)から勧められました。

XP Conference の方が、Systems Thinking や科学的アプローチの視点が強いそうです。さすが Lean を生んだ土地。



私の Next Action

今回 Agile2014 で発表をさせていただきましたが、まだまだ学ばなければならないこと・考えなければならないこと・発信しなければならないことだらけだなとも思いました。そこで、直近は以下の活動を考えています。

1) BDD と Metrics の社内勉強会を開催予定。

2) 2014/09/06(土)の XP祭り2014 で、『A-7 国際会議 Agile2014の風 〜とある参加報告〜』と題して、上記内容について発表予定です。

3) 2014/09/19(金)に、『第八回ゆるぎー メトリクスによる「見える化」のススメ: エッセンシャル・リーン』で、Metrics についてワークショップなどを実施予定です。


あと、ことアジャイル面については、世界的に見ると日本はまだ情報を受信する側のままで、自分たちの知見を整理して世界に発信する活動がまだまだ弱いのかなという印象を持っています。いつまでも他の国のエラい方が言ったことを一生懸命追うのではなく、こちらからもっと積極的に仕掛けていけたら、考えることや仕事がもう一段階面白くなるのにな〜などと考えています。


仕掛けて刺激を与えたい。イヤァオ!


それが今後のメインテーマですかね。

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