惨めな男の離婚話『八月の路上に捨てる』


 2006年の芥川賞を受賞した。ガムを噛むように、読み進めていくと徐々に味が出てくる作品。スケールの小ささが難点だが、離婚話には共感ができる。

男と女の機微をよく捉えた作品


4163254005八月の路上に捨てる

伊藤 たかみ

文藝春秋 2006-08-26

物語の舞台は自動販売機業界
 自動販売機という業界がある。自動販売機内の缶ジュースの補充は人知れず行われている。この作品では、二人の作業員の1日を描いている。


バツイチの男女
 主人公の佐藤敦と相方の水城は、その飲料水の交換手である。二人とも恋愛には苦い思い出がある。物語は、ルーティン・ワークに従事する二人を描きながら、敦の過去へと進む。


惨めな離婚
 敦は知恵子という女性と結婚し、離婚するが、その過程がつぶさに描かれていて、読んでいてだんだんこちらまでが痛ましく感じてしまう。
 小さいことから喧嘩に発展。大抵の場合は喧嘩までで終わるが、敦と千恵子の恋愛関係が修復せずにそのまま崩壊へと向かっていく様は、読んでいて哀れである。


同情するべきは現代の男性の軟弱さ
 個人的には、知恵子に同情します。彼女がとても素敵かといえばそうでもないけど、敦が世の中にありがちな小悪人なんです。肝っ玉が小さくて「オレ流」で。敦には同情できないが、得てして世の中で力を持たない男というのはこんなもんだよな〜、と苦笑してしまう。


written by hagrid on 2006/09/06