津波被災の記録128

Signor Taki @signortaki
被災者に冷たいとか、表面的に麗しいことを言いながら被災地だの被災者を食い物にしてるだけ、ってな話ばっかりなのでなぁ。/津波被災の記録127

 えーと。すみません。読めるものは書けそうもありません。勘弁してください。

 被災地復興の一つとして、「水産業復興特区」があります。岩手県は設定せず宮城県は設定した違いは何でしょう。
 勝川教授のように新自由主義的解決だけが目的の方とは違う目で考えてみますと、『「漁業権行使料」の負担の軽減』というのがありますが、宮城県の漁協は設定していますが岩手県の漁協では「漁業権行使料」を徴収していない。という決定的な違いがあります。宮城県には在って岩手県には無いものがあることが一番の理由です。
 六次産業化やフェアトレード(公平貿易)に見られる「中間手数料」を削減し生産者に「中間手数料の一部を還元」することで、現在より収入を上げることも確かにありますが、国内サービス産業を淘汰することでもあり「綺麗な排除」の一形態ともいえるものだけで、「特区」とは考えられないからです。
 最大の目的は「補償」です。

河北新報 東北のニュース/石巻・桃浦漁業権免許 かき合同会社申請 県漁協も

石巻・桃浦漁業権免許 かき合同会社申請 県漁協も 沿岸漁業権を民間企業に開放する水産業復興特区で、宮城県は26日、特区適用対象となっている石巻市桃浦地区の漁業権免許の申請を締め切った。地元漁業者と水産卸の仙台水産(仙台市)が出資する「桃浦かき生産者合同会社」と、県漁協が申請した。
 宮城海区漁業調整委員会は8月7日、漁業法に基づき合同会社に漁業権免許の適格性があるかを判断する会議を開く。適格性が認められ、一定の条件も満たせば、合同会社に特区が適用される。特区適用により、通常は漁協に優先して付与されている漁業権が合同会社に与えられる。
 適格性の審査は(1)順法精神が欠落していないか(2)漁村の民主化を阻害しないか−などの観点で行われる。
 さらに、(1)カキ養殖の具体的計画がある(2)社会的信用性がある(3)周辺漁業者やカキ養殖以外の水面利用に支障がない−などの条件を満たす必要がある。
 ことしは5年に1度の漁業権一斉更新の年に当たり、県は5月末、漁場区割りを決定。6月3日から各漁場の漁業権申請を受け付けていた。
 カキやノリ、ワカメの養殖のために設定された567カ所の区画漁業権のうち、桃浦地区の4カ所が特区適用対象の漁場となっている。
 新たな漁業権の免許期間はことし9月から5年間。

勝川 俊雄@katukawa
復興特区の会社「桃浦かき生産者合同会社」は、桃浦という浜にのこった15人の漁業者のうち、14人が合同でつくった会社組織。何十年もその浜で漁業をしてきた人たちが、みんなで相談して、特区を利用すると決めたわけです。

勝川 俊雄@katukawa
宮城県漁協と、長年その漁場で漁業をしてきた漁民のどちらが当事者なのか。私には議論の余地がないと思います。

勝川 俊雄@katukawa
桃浦の漁協が前浜の漁業権を管理していれば、地元漁民の総意に基づく会社組織化は容易だったはずだ。宮城県は、漁協の大規模合併をして、県で一つの漁協にした。漁業権を宮城県漁協が一括管理するようになったから、地元漁民の意向が反映されなくなった。

勝川 俊雄@katukawa
そもそも、日本の漁業権制度は、地元の人間が話し合いで前浜漁場の利用方法を決定するために、漁協に漁業権の優先権を与えていた。漁協の大規模合併で、県漁協が県全体の漁業権を管理するようになり、漁村の自治権がないがしろにされるようになった。

勝川 俊雄@katukawa
宮城県では、漁業権をたてに、宮城県漁協が桃浦の漁民の決定を妨害している。この現状をみると、何のために漁協が漁業権を持っているのか、疑問に思う。

勝川 俊雄@katukawa
俺は、漁業権は、漁業者が安定した生活を送る上で大切なものだと思っている。だから、実際に漁業で生計を立てている現場の人たちの意向が反映できるような制度にすべきだと考えている。桃浦の漁場の利用法は、桃浦の漁民が決めるべきだし、それが出来ない宮城県の現状はおかしい。

勝川 俊雄@katukawa
震災から2年以上経過しているのだが、共産党によると「水産特区申請は拙速」だそうだ。http://www.jcpmk.jp/index.php?%E6%0%B4%E7%94%A3%E7%89%B9%E5%8C%BA%E5%95%8F%E9%A1%8C%EF%BC%90%EF%BC%91



漁業法(昭和二十四年十二月十五日法律第二百六十七号)最終改正:平成二三年五月二日法律第三五号

 第二章 漁業権及び入漁権
(組合員の漁業を営む権利)
第八条  漁業協同組合の組合員(漁業者又は漁業従事者であるものに限る。)であつて、当該漁業協同組合又は当該漁業協同組合を会員とする漁業協同組合連合会がその有する各特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権ごとに制定する漁業権行使規則又は入漁権行使規則で規定する資格に該当する者は、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の有する当該特定区画漁業権若しくは共同漁業権又は入漁権の範囲内において漁業を営む権利を有する。
2  前項の漁業権行使規則又は入漁権行使規則(以下単に「漁業権行使規則」又は「入漁権行使規則」という。)には、同項の規定による漁業を営む権利を有する者の資格に関する事項のほか、当該漁業権又は入漁権の内容たる漁業につき、漁業を営むべき区域及び期間、漁業の方法その他当該漁業を営む権利を有する者が当該漁業を営む場合において遵守すべき事項を規定するものとする。
3  漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、その有する特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権について漁業権行使規則を定めようとするときは、水産業協同組合法 (昭和二十三年法律第二百四十二号)の規定による総会(総会の部会及び総代会を含む。)の議決前に、その組合員(漁業協同組合連合会の場合には、その会員たる漁業協同組合の組合員。以下同じ。)のうち、当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者(第十四条第六項の規定により適格性を有するものとして設定を受けた特定区画漁業権及び第一種共同漁業を内容とする共同漁業権については、当該漁業権に係る漁場の区域が内水面(第八十四条第一項の規定により農林水産大臣が指定する湖沼を除く。第二十一条第一項を除き、以下同じ。)以外の水面である場合にあつては沿岸漁業総トン数二十トン以上の動力漁船を使用して行う漁業及び内水面における漁業を除いた漁業をいう。以下同じ。)を営む者、河川以外の内水面である場合にあつては当該内水面において漁業を営む者、河川である場合にあつては当該河川において水産動植物の採捕又は養殖をする者)であつて、当該漁業権に係る第十一条に規定する地元地区(共同漁業権については、同条に規定する関係地区)の区域内に住所を有するものの三分の二以上の書面による同意を得なければならない。
4  前項の場合において、水産業協同組合法第二十一条第三項 (同法第八十九条第三項 において準用する場合を含む。)の規定により電磁的方法(同法第十一条の二第四項 に規定する電磁的方法をいう。)により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面による同意に代えて、当該漁業権行使規則についての同意を当該電磁的方法により得ることができる。この場合において、当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会は、当該書面による同意を得たものとみなす。
5  前項前段の電磁的方法(水産業協同組合法第十一条の二第五項 の農林水産省令で定める方法を除く。)により得られた当該漁業権行使規則についての同意は、漁業協同組合又は漁業協同組合連合会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に到達したものとみなす。
6  漁業権行使規則又は入漁権行使規則は、都道府県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
7  第三項から第五項までの規定は特定区画漁業権又は第一種共同漁業を内容とする共同漁業権に係る漁業権行使規則の変更又は廃止について、前項の規定は漁業権行使規則又は入漁権行使規則の変更又は廃止について準用する。この場合において、第三項中「当該漁業権に係る漁業の免許の際において当該漁業権の内容たる漁業を営む者」とあるのは、「当該漁業権の内容たる漁業を営む者」と読み替えるものとする。

「平成元年7月13日最高裁判決」とは、大分市白木漁業協同組合(現在は合併し大分市漁業協同組合)に、国道拡幅にともなう補償として昭和50年、一括して支払われた漁業補償金の配分を決める組合総会の決議をめぐる所属組合員(原告)と漁協(被告)との訴訟事件のことである。

 [判決要旨]=現在の共同漁業権は、昭和37年の漁業法改正によって、古来の入会漁業権とはまったく性質が変わっており、漁民の総有ではなく、法人としての漁業協同組合に帰属する。補償金の配分も漁民の全員一致ではなく、漁協の総会決議によって決めるべきである。

 [判決理由]=昭和37年の法改正後の漁業法第8条では、組合員が漁協が定める漁業権行使規則に規定された資格を有する場合に限り、当該漁業権の範囲において漁業を営む権利を有するものであって、組合員であっても漁業権行使規則に定める資格要件を満たさないものは、漁業行使権を有しないものとされ、全組合員の権利という意味での各自行使権は今や存在しない。したがって、共同漁業権は、古来の入会漁業権とはまったく異なり、共同漁業権が法人としての漁業協同組合に帰属するのは、法人が物を所有する場合とまったく同じである。

水産業協同組合法(昭和二十三年十二月十五日法律第二百四十二号)

共同漁業権行使規則(漁業権管理費の負担)

 水産業協同組合法(以下「水協法」という。)における組合員の資格において、正組合員と準組合員の区分は「90日」の水産動植物の採取活動を行っているかによっています。組合員である事で「補償」は受けられないのは最高裁判例に基づくため、企業にとってはリスクでもあるわけです。
 「組合員」資格を有しかつ「漁業権」を行使している実態が必要ですが、それでは漁業権を管理する漁協にはメリットがありません。「漁業権行使料」を徴収するわけです。しかも「漁業権行使料」の額は、企業組合員には決定権が無い「総代会」に決定権を与えて介入させない仕組みを取っていたのです。
 「補償」を受けるためには支払わざるを得ない「漁業権行使料」を無くし、かつ「補償」が受けられるようにする仕組みが「水産業復興特区」の真実だと考えられるからです。

 宮城県には在って岩手県にないもの「原発」です。また、「火力発電所」「水力発電所」等でも同様の部分があると考えます。

 他の道府県でも「漁業権」はありますが、「漁業権」の設定だけでは裁判しても「補償」は受けられない。「漁業権」+「漁業権行使料」の組み合わせでなくては「補償」は受けられない。「漁業権行使料」を得るためには知事に届け出をし認可されることも必要です。それが「(共同)漁業権行使規則」です。
 漁民の生活を守るため幾重にも企業(大資本)から守るため、また自主的に自らの生活の資を守るという意識を保つための仕組みでもあったわけです。
 
 最高裁判例に基づき「補償」は漁業権管理者である漁協が受けたのち、組合員に配分されますが、配分は「漁業権行使者」に限定されるのです。今回の海面漁業権の分割により、漁業権に対する「補償」は分割して支払われることになるでしょう。
 
 勝川教授とその信奉者が悪辣なのは、新自由主義的解決によって漁民が良くなることを言いますよね。「フェアトレード」は素晴らしい!!と礼賛するリベサヨな方達と変わらないわけです。その後の「補償」による再建を分断することも「特区」の一面と捉えることも必要なのかなあと、考えてみるわけです。