【異世界 蹂躙編】
ここは異世界
オーミーは異世界の街をしげしげと眺める。
天気はどんよりとした曇り空だった。
街の人はどことなく暗く、元気がない・・・
今日街に来た目的は『冒険者』として街で依頼を受けて日銭を稼ぐことだった。
魔術関連の薬は高い値段で売ることができた。
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街の依頼掲示板の近くに人だかりができていた。
『また・・・カザキリか・・・一体何者なんだ?』
『一晩で・・・盗賊一味を壊滅させたらしい・・・なんて奴だ・・・』
※異世界語
冒険者カザキリ・・・
生い立ち不明の無名の新人ながら
縦横無尽、八面六臂の活躍ぶりで一気に名前が世に知れた大型ルーキーである。
無口でするどい顔つき
見たこともない剣を使う女
『噂をすれば・・・・奴だぜ・・・』
風切りは酒場の門をくぐる。
酒場に緊張が走る。
以前 不用意に風切に絡んだ酔っぱらいは鎧を真っ二つにされていた。
風切はカウンターにどんと荷物を差し出す・・・
『これって・・・サイカスの角?・・・』
『な・・なんだって』
周囲がどよめく・・・
サイカスといえばイノシシに似た風貌で巨大、毎年何人もの人が犠牲になる獰猛な魔獣だった。
風切は何も喋らない・・・
いつものように金と水と食料を受け取りクールに去っていった・・・
『・・・はぁ・・・かっこいいわ・・・』
『・・・ええ、とても良いです。』
『・・・お近づきになりたい』
酒場のウエイトレスは頬を赤くさせながら口々に黄色い歓声を上げる。
酒場の男性客は黙るしかない・・・
風切「・・・・」
ああ・・・言葉がわからないな・・・
事の発端は1ヵ月前・・・
謎の霧につつまれて気が付いたら・・・知らない森に迷い込んでいた。
よくわからないままいつものように悪そうな人物、獣を斬っていたら、突然街の酒場に案内され、お金をくれて今の生活である。元の世界には帰りたいと思えば気づかぬうちに帰ることができるようなので私生活に支障はなかった。
最近、自分の世界の街も平和になって物足りなくなっていたので、風切りとしては願ったりかなったりであった。
(強く・・・強くなって・・・ゼン師匠と大海さんに認められたい・・・あと水上は絶対やっつける。)
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オーミーと風切はすれ違う・・・
オーミー(すごく・・・美形・・・じゃなくて・・・あの鋭い眼・・・あれが噂のカザキリか・・・)
冒険者とかかわると碌なことがないというのが魔法学校の教えなので、
オーミーはそそくさとその場を去ることにした。
てくてく
オーミー(あれ・・・着いてくる・・・)
てくてく
オーミー(どうして私を追って来るの?・・・)
風切(あの子・・・すごく・・・似てる・・・・もしかして・・・)
オーミーは意を決して風切に話しかけた。
オーミー『あなた・・・なぜ・・・ついてくるんですか?』
※異世界語
風切は困惑した表情をした。
(・・・やはり・・・似ているだけか・・・ああ、怒っている姿も可愛いな・・・)
オーミーは地面に魔法陣を描いて・・・術式を発動した・・・
魔法陣の中心から孝一が現れた。
風切「・・・・」
孝一「・・・」
孝一「・・・ああ・・・久しぶり・・・」
風切「・・・」
風切はなんとなく無性に腹が立った。
テーマパークに遊びに来ているときに現実に引き戻されたような気分だった。
あれ?・・・ここ異世界?・・・また召喚されたのか・・・
風切「似ているだけ・・・だったら・・・斬り捨てても・・・問題ないな・・・」
孝一「なんで?」
風切と孝一は追っかけっこをしながら郊外に去ってしまった・・・
オーミー『知り合い・・・なのかな?』
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なんとか風切から逃げきって木の陰で休む。
遠くに珍しいサイに似た動物が草を食べていた。
サイカスをじーっと眺める孝一
(街に近いところでなんて珍しい動物・・・)
もしかしてこれが・・・ポケ○ンGO・・・
※違います。