ウツロと牧場

ウツロと牧場



魔法協会北支部にて、
ウツロは今日はデスクワークであった。
仕上げるべき・・・書類、書類、書類の山・・・目がくらむ・・・

ウツロ(ああ、牧場で飼われてる地鳥になりたい・・・)
※地鳥:馬の代わりもする地を走る大きなくちばしの鳥

彼らは食っちゃ寝しているだけでいいんだもの・・・



お昼時、
ケーリ―さんが牧場といえば・・・と話し出す。


ケーリ―「牧場・・・いいですよね。」



爽やかな早朝、
地鳥の鳴き声で目が覚める。広い広い緑の地面が続く綺麗な牧草
採れたての卵でつくる目玉焼き、厚切りベーコン、家庭菜園で育てた野菜も添えた朝食
そして、喜んで食べてくれる・・・たくましい旦那様



ケーリ―「・・・みたいな」
同僚「へー、ケーリ―ちゃんのタイプってそんなヒトなんだ・・・」
ケーリ―「・・・まあ、あこがれみたいなものですが・・・」



同僚「牧場っていえば・・・ウツロだよな」
ケーリ―「へ?」


牧場はよくスライムが出没する・・・
牧場には柵が施されているが、軟体動物の奴らは普通に潜り抜けることが可能だからだ。
そんなわけで街の近傍の牧場にはたびたび出動させられる・・・



定時頃、
ケーリ―「・・・いや、やめておこう・・・いや、いや」


ケーリ―さんがモジモジしながら近寄ってきた。
依頼内容は牧場に若くてカッコいい独身男性がいたら自分を紹介してほしい云々だった。

魔法の書に写真も送るのでよろしくとのこと・・・まだ了承していないんですが・・・
写真を見た・・・爽やかな笑顔を振りまく女性が映っていた・・・



誰だ?



こんな爽やかな笑顔の人物この支部にはいない、絶対いない。
この写真は詐欺だよ・・・
『※パッケージはイメージです。』とか
『※パッケージと中身は違っていることがあります。』とか記載入れなきゃだよ・・・



つか
牧場に夢なんてない。あそこの牧場で、なんど地鳥の大きなくちばしで頭をつつかれたことか
「うちの地鳥は野生に近い状態でのびのび育てているのが自慢です。」
ウツロ(ちょっと、野生化しすぎではないですかねぇ・・・)