竹田青嗣『欲望論』(講談社)発刊の予告

筆者の思想的師匠ともいえる竹田青嗣先生(早大教授)が来阪、講演と講義指導を賜った。
9.8(金)、講演、於大阪経済法科大学
9.9(土)、関西現象学研究会講義
口述説明で、実に理解が進んだ。

講演内容は詳述するにはあまりに膨大なので、自分の理解のためにも考えつつその都度加筆していく。

とりあえず10月8日発売予定の『欲望論』の紹介のみ簡単にしておこう。
竹田先生曰く、自分の哲学的思考の集大成だそうである。
読むほうも5、6キロ痩せそうである。


現代思想はの混乱は、大きくいえば、相対主義と現代形而上学と実存哲学に分裂。
しかし実はこれは、ギリシャ以来の課題をなぞっているだけ。

(1)相対主義
  ◆「ゴルギアス・テーゼ」がもともとの考え。
    ①存在は証明できない。
    ②存在は認識できない。
    ③認識できたとしても言語化できない。

  ◆現代言語哲学
    ①アリストテレス(固有名)に意味はあるか。
    ②「眼は眼をみることはできない。」

このように価値相対主義はさまざまの考えがあるだけ。
絶対正義のようなものはない、あらゆる主張の根拠を証明は不可能だとする。
相対主義は、普遍認識を放棄、一切を相対化することで現実の力あるものを容認する点で、「力の論理」となる。

(2)現代形而上学
    ①存在哲学 ハイディガー
    ②「他者」の形而上学 レヴィナス
      ハイディガーは「反正義」、個的実存を全体に同一化すると
      否定的。
特徴は、合理的根拠の喪失、価値の問いへの探求に偏っていく。

竹田はこれらに対して
  ◆本質論の解体
    事物の背後に本質があるとして、それをめぐる諸説を否定。
    「本質看取」の方法によって、欲望相関的分節構造(後述赤字部分)    が唯一人間世界を根拠をもって説明できる。形而上学と価値相対主義    の過ちの克服。
    普遍性原理を取り出す方法を証明。どうやって本質論を解体するか。
     ①ニーチェ「力相関性」
     ②フッサール現象学的還元」
この二人の論点を梃に認識の混迷の解明をする。
人文領域は、共通了解が不成立の領域である。すなわち近代は自然科学は有機物を数学的に数値化して証明する方法を発明。しかし人文領域は対象が社会や人間であり、対象の違いによって同じ方法はとれない。
しかし、フッサールの方法によって、「構造として」取り出すことができる。

結論だけ言うと、
人間は身体欲望に添って言葉で世界を分節(accumrate)する、
それが世界認識の方法である。

値問題では、普遍性の原理を取り出すのだが、これはまた別に。

特徴は、合理的根拠の喪失、価値の問いえの探求。
具体的には山尾志桜里不倫疑惑で、進歩派ないしリベラルもどきが山尾擁護していながら、擁護すればするほど自民党と同じ対処をすべきだという奇妙な結論となっている。
事実前原はそれに近い対処をしたわけだが、支持派が疑惑はないモノにしたいとプライベート論を持ち出すが、それも本質看取の普遍原理からすると奇妙な話なのである。
近日中にまた書いてみたいと思う。