俳人・矢田けいの日記

2014-05-23

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第05回目

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第05回目
(提出日:平成26年04月02日)

 俳句教室(小川教室)では、毎回5句投句して、添削していただきます。
 ご指導は中嶋夕貴(なかしまゆき)さん。「鷹」同人

【第1句】四月馬鹿語学テキスト買ひにけり

<評価:A>
 年度のはじめは意欲満々で、ついつい買ってしまいます。その割には長続きし
ないのですが・・・似たような経験をされた方が多いのでは。俳諧味がありまし
た。

【第2句】花疲れ閉じた歳時記枕にし

<評価:B>
 枕に丁度良い厚さではありますが、どうでしょうか。季語に因果を含ませた点
が惜しまれます。「閉じた」(「閉ぢし」又は「閉ぢたる」と。)と説明せず、
ストレートに、「○○○(辞典など)を仮枕」とされた方が、句は締まるように
思いました。

【第3句】新たなる著者との出会ひ巣立鳥

<評価:B>
 琴線に触れる本との出会いは、深い喜びです。フレーズがやや漠としています
ので、著者名をあげるなどして、句に具体性を持たせたいです。

【第4句】コンビニの弁当旨し落花かな

<評価:A>
 昨今は、各社競争が激しく、良質の材料を使い美味しく出来ています。意外性
がありますし、切口が新鮮でした。季語も効いています。「かな」の句は、終止
形には続きません。連体形にして、「コンビニの弁当旨き落花かな」

【第5句】花過ぎて衣一枚薄くせり

<評価:B>
 桜が終わりますと急に暖かくなったり、「花冷」があったりと、衣服に悩まさ
れる時期です。少し説明調になってしまいました。

【感想】
 前回から3ヶ月と10日ほど空いてしまいました。
 評点については、Aふたつ、2句目も直していただけたので、何とか維持でき
たかなと言う感じです。
 考えて作ったものよりも、目にした風景から直感的に意識したモノを言葉に取
り上げるとAになりやすい、伝わりやすいということのようです。
 当然と言われれば当然ですが。つい、考えてしまい、5句目のように説明的に
なってしまいます。

 第1句、俳諧味があるとのこと。嬉しいお言葉です。
 第2句、花が閉じるのと本を閉じるのを掛けたつもりが、季語に因果を含ませ
てしまいました。
 第3句、巣立ちしたばかりの鳩の子がベランダに来たのを見て一句。風景の方
がよかったかな。
 第4句、花吹雪の中、ベンチでコンビニ弁当を食べている風景がストレートに
間に入ってきました。
 第5句、歳時記をめくって絞り出して、当たり前の句になってしまいました。

 最近、デジカメ散歩クラブに入り、コンパクトカメラで写真を撮り始めました。
基本となる遠近法を意識するだけでも上手になったと言われました。
 長谷川櫂さんの本にも、小さなものと大きな景色の取り合わせを意識しな
さいとありました。
 俳句では、情景を想像させて情感を伝えるのですから、まずは、作者自身が景
色を的確に把握する必要があるのでしょうね。
 カメラ上手な人も直感で捉えているような気がしますね。セオリーを繰り返し
ていくうちに直感が鍛えられるのかな。

 さて、6回目を提出する前に期限切れになってしまいました。
 続けるか、しばらく鑑賞に取り組むか。ちょっと悩み中です。

2013-12-13

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第04回目

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第04回目
(提出日:平成25年11月23日)

 俳句教室(小川教室)では、毎回5句投句して、添削していただきます。
 ご指導は中嶋夕貴(なかしまゆき)さん。「鷹」同人

【第1句】冬紅葉母の手を引く齢となり

<評価:B>
 あれほど元気だったのにこの所めっきり足腰が弱り、手を貸すようになった感
慨が詠まれています。地味ながら味わいのある季語が効いています。
 「冬紅葉母の手を引く齢(よはひ)なり」または、臨場感を持たせて、「老母
の手を引いてをり冬紅葉

【第2句】初冬の母に靴下履かせをり

<評価:A>
 すっかり小さくなってしまったお母様に靴下を履かせている作者。行為だけを
言ったことで、却って情が伝わって来ます。「けり」として、上手に履けなくなっ
てしまった母上への思いを句に響かせましょう。
 「初冬の母に靴下履かせけり」

【第3句】波高き佐渡より柿の届きけり

<評価:B>
 封を開けると艶やかなオレンジ色の柿がびっしりと詰まっています。美味しそ
うですし、届いた喜びが感じられました。「佐渡」と言えば、「波高き」を思い
ます。ここが頑張り処になります。開けた「瞬間」を詠みましょう。

【第4句】アルバムの兄弟笑ふ熟柿かな

<評価:B>
 年を重ねて、容貌は変わってしまいましたが、アルバムの中では、幼い日のま
まに微笑んでいます。仲の良い兄弟なのでしょう。柿は懐かしい感じが致します
ので、良い取り合わせと思います。
 「アルバムのはらから笑まふ熟柿かな」とされても。

(up主注;デジタル大辞泉より 笑まふの用語解説 - [連語]《動詞「え(笑)
む」の未然形+反復継続の助動詞「ふ」。)

【第5句】同級生の父が逝きけり虎落笛

<評価:B>
 「けり」と強く詠嘆されておりますので、よほど親しくされていたのでは。
「虎落笛」が哀しみの深さを物語っています。ただ、上五が作者の身内のことで
はないので、読み手は感情移入しにくいでしょう。

【感想】
 評点については、Cがなくなり、徐々に表現力アップかな、といったところ。
 新年の句で臨もうと思っていたのですが、母の入院・手術が入ったので、その
ときの心境を詠んでみました。

第一句、「冬紅葉」に惹かれて使ってみました。「齢なり」という区切れもある
のですね。beと完了形を包含した感じ。日本語は微妙ですね。
第二句、「けり」は強すぎるかと迷ったのですが、その方が、思いが響くとのこ
と。何度か読んでみると、確かにそういう気がします。
第三句、佐渡から届いたのは事実なのですが、「波高き」になってしまうんです
よね。開封の瞬間を読むのですね。なるほど。
第四句、子どもは大した理由もないのに「笑まふ」(笑い続ける)ことってあり
ますね。そういうことあったよね、というときに使えますね。
第五句、同級生の父親が逝くということは、うちの親もそろそろか、という気持
ちだったのですが、具体性とか臨場感が欠けてしまったかな。

 このコースは、あと2回残っています。歳末・正月の句、早春の句を作ってみ
ようかと思います。
 事務局からは、4月から消費税が8%になるから、3月までに継続のお手続き
をとのご案内もありました。3%だと500円の違い。切手代にはなるな。

2013-10-16

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第03回目

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第03回目
(提出日:平成25年09月24日)

 俳句教室(小川教室)では、毎回5句投句して、添削していただきます。
 ご指導は中嶋夕貴(なかしまゆき)さん。「鷹」同人

【第1句】夏雲や街中走る人力車

<評価:B>
日焼けした車夫が見えてきます。「夏雲」と「人力車」の取り合わせは、元気が
合って良かったと思います。中七が、やや平板になっていますので、もっと観察
してみましょう。

【第2句】初秋や老子を片手にする長湯

<評価:B>
本のお好きな方と拝察いたしました。区の最後が作者の言いたいこと、強調され
るところとなります。この句ですと「長湯」となり、読者は本が傷まないか心配
になります。中七下五を整えて、「初秋や老子片手に長湯せり」

【第3句】月餅のひとかけ残す居待月

<評価:B>
どうして「ひとかけ」残されたのでしょう。一句に「月」がふたつあるのは、に
ぎにぎしい感じが致しました。例えば、「月餅をひとかけ残す余寒かな」(季語
はご自分に適ったものに)

【第4句】般若経読みて少しくとろろ汁

<評価:C>
般若経読みて」とは、「般若心経」を眼で追っておられるのか、唱えておられ
るのか、又は関連書物を読んでおられるのか不明でした。「とろろ汁」との配合
にやや違和感を覚えました。「少しく」と季語に続けないように、季語季語
置きましょう。

【第5句】秋扇の鞄の底に侍りをり

<評価:A>
出番がすっかり減ってしまい、ある日ふと鞄の底に見つけた時のちょっとした驚
きが、描かれています。助詞を減らして、すっきりと、「秋扇鞄の底に侍りをり」

【感想】
評点が前回とまったく同じ順序でした。なかなか5句、揃わないんですよね。来
月は新年の俳句を2句添削してほしいので、今月は必ず提出したいのですが。

第一句、予想通り中七を指摘されました。着目するのは車夫か人力車か乗客か。
やはり人力車の動きかな。車輪や握り棒の動きを詠めばよかったかな。
第二句、無理やり<型その1>に嵌めた感がありました。型その4風にして、季
語を置き換えても良かったようです。
第三句、ひとかけ残した理由は、未到着の仲間と仲秋を祝おうということでした。
だからって「居待月」もないのですが。秋気、夜長あたりでも。
第四句、NHK100分de名著「般若心経」を読んで、なるほどすっきりした、と
いう気分でしたが、無理がありました。「少しく」の後は、動詞を省略して失敗。
第五句、歳時記を眺めていて「秋扇」を発見。けっこう鞄の中で邪魔になってい
たのを思いだしました。事実と感情がリンクしているとAをいただけるようです。

2013-09-14

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第02回目

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第02回目
(提出日:平成25年08月24日)

 俳句教室(小川教室)では、毎回5句投句して、添削していただきます。
 ご指導は中嶋夕貴(なかしまゆき)さん。「鷹」同人

【第1句】夏休み池の主らの替はりけり

<評価:B>
久しぶりに近くの家に行ってみると、魚が濃いからバスなどに代わっていた景。
子どもの頃の夏休みを思い出されたのでは。郷愁はありますが、具体的なものを
出して、読者に見えるようにしたいです。「けり」は、句の内容には強すぎます
ので、「夏休み池の主らの替はりをり」

【第2句】百日紅無為の休みを過ごしけり

<評価:B>
せっかくの休みを無為に過ごしてしまった焦りが、感じられました。季語が、そ
のむなしさを増幅しています。

【第3句】空蝉や度胸の続く帰り路

<評価:B>
争議か法事を済ませての帰り道、様々な想いが過(よぎ)って、哀しみにとらわ
れ、読経が耳奥に鳴り響いていたのでしょう。鳴り続ける感じを出して、例えば、
「空蝉や読経の中を帰りたる」または、「空蝉や耳底につのる般若経

【第4句】土用凪メール打つ手のとまりけり

<評価:C>
何か気になって、手が止まったものと思われますが、急に言われても読み手は戸
惑います。「凪」と「止まり」とのニュアンスが近いのも気になりました。

【第5句】秋近しひと駅前で降りにけり

<評価:A>
こう言うことありますね。暑い盛りが過ぎ、風が爽やかに感じられ、少し歩きた
い気分になった作者のお気持が伝わって来ます。

【感想】
第一句、いつもの主が子どもで、夏休みはアメンボが我が物顔で泳いでいる景を
詠いました。確かに、池の主というと老鯉ですね。
第二句、今年の百日紅は花のつきが悪く、思い入れもなかったのでさらっと読み
ました。コメントがいいわりに、B評価。よくあるパターンなのかな。
第三句、先生の改句、・・・の中を帰りたる、なるほどと思いました。臨場感が
ありますね。
第四句、ふとキーボードを打つ手がとまったとき、蝉が鳴いていたのですが。ちょ
うど土用の丑の日だったので、蝉より土用凪にいってしまいました。
第五句、よくあるパターンなので面白くないと言われそうで心配だったのですが、
読み手の共感を得られたみたいでした。

2013-07-16

雲の峰長き役目を終へにけり

朝日カルチャーセンター・通信講座「俳句教室・小川教室」第01回目
(提出日:平成25年06月24日)

 俳句教室(小川教室)では、毎回5句投句して、添削していただきます。
 ご指導は中嶋夕貴(なかしまゆき)さん。「鷹」同人

【第1句】雲の峰長き役目を終へにけり

<評価:A>
長年の重責を無事果たした満足感と清々しさが、季語の「雲の峰」と取り合わせ
て、よく表現されています。どのような「役目」だったのかヒントが欲しいよう
に思いました。

【第2句】声だけの人に会ひ往くラムネかな

<評価:B>
このままですと「人と行き会ふ」と。声には馴染んでいますが、初めて会うので、
期待と不安が入り混じるのでしょう。「ラムネ」で、懐かしさが出ています。上
の「声だけの人」とは、電話のやり取りだけの取引先の方とかでしょうか。分か
りにくかったです。意外性のある人にすると下のフレーズが、生きてくるでしょ
う。
   矢田・注)行き会ふ=偶然会う

【第3句】ついでにと寄り道増やす薄暑かな

<評価:C>
お気持ちは分かりますが、「寄り道」とはそう言うものですから、「ついでにと」
は省いても良いでしょう。例えば、やり場のない悲しみを紛らすために増やして、
「喪帰りに寄り道増やす薄暑かな」
ご自身のシチュエーションで詠んでみましょう。

【第4句】父の日や若き写真のパスポート

<評価:B>
すでに亡くなられていて、遺品を整理していた時のことかもしれません。出て来
パスポートを見て、近頃、益々面差しが父に似てきたと思ふ作者。パスポート
の主をはっきり言って、
「抽斗(ひきだし)に父の旅券や蝉しぐれ」(父の日の父の・・・とたたみ掛け
ても良いでしょう)

【第5句】赤茄子やてを振り返す参観日

<評価:B>
教室に入るとお子さんが嬉しくて手を振り、それに小さく応えたのでしょう。
「誰に」が省略されていて、読み手にさっと分からないもどかしさを感じました。
辺りにまだ畑が残っているか、又は、子供達が栽培しているトマトが窓から見え
ます。
トマト熟れ子に手を振りし参観日」

【感想】
第一句、いきなりのA評価でびっくりしました。シンプルに表現したら、伝わり
やすかったようです。
第二句、表現が難しかったです。事実としては、ずっと電話だけで打合せしてい
た人と、ようやく会って話ができる、いろいろ解決できそう、というものでした。
第三句、季語を先に選んでしまいました。一日の出来事から、ちょっとでも明確
な感情が湧いてくると、季語以外の部分を作りやすいのですが。
第四句、シチュエーションは伝わったようですが、父の若き頃の写真と言わなく
てもイメージしてもらえたかもしれません。
第五句、「誰に」を省略すると状況が不明瞭になりやすいのですね。詠み手が主
語の場合は、省略しても問題ない。この点はスキル的に学びになりました。