さくらむすび 紅葉

紅葉

世の中そんなに甘くない
甘いだろ、おまえの周りだけは。秋野とかありえないし

そう、紅葉ルートは文句の付けようのない順当な結末。ただし、あまりにも順当すぎて何かが気になる。どうしてここまで何もかもが正しく納まるのか。わざとらしい程にすべてに調和がある。まるで、だれかのシナリオに沿っているかのように。

劇として面白いとか、演技がどれくらい凄いかとか、そういうのには興味ないんだよ、たぶん。先輩たちに怒られちゃいそうだけど、お芝居にはね、たぶん興味ないんだ。
でも、何かしたいと思うし、この部活は大事なの。

秋野紅葉。演じるのが好き。

大人になりたかった。立派な大人に。
子供でありたかった。無邪気な子供のままで。
――いったい私に、何ができただろう。

最後の『桜結び』。そのシナリオをいじったのは、本当は誰なのか。
ここに至り、桜結びという言葉の持つ色は、あまりに不穏。
それは祝福ではなく、約束でもなく、むしろ…