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2006-11-26

 京アニだって駄作は作る

|  京アニだって駄作は作るを含むブックマーク

青ひげノートさん(リンク)記事。案の定と言うべきかゴタゴタに。
京都アニメーションは水際立って高度な技術力と優秀な脚本家、監督、プロデューサーを持った貴重な制作元だと認識し、高く評価するけれど。

技術力の高さは確かに素晴らしい。けれどそれだけを見せびらかして散らかすだけでは、映像作品としてはどうあれ、物語を持つアニメとしては評価に値しないのでは*1


オフィシャルファンブック 涼宮ハルヒの公式

僕は同じく京アニ制作のアニメ『涼宮ハルヒ』を、脚本構成も含めた高度な制作技術の間のバランスの面から高く評価しますし、だからこそ同12話(ライブアライブ)をその「技術力の高さ」から手放しで褒め讃える向きには反対です*2


フルメタル・パニック! The Second Raid Act3,Scene12+13 (通常版) [DVD]

京アニだって駄作は作ります。現時点ではまだ彼らの携わった作品は決して多いわけではなく、そのため彼らの成功と栄光のみが語られる傾向にありますが、実際『フルメタルパニックTSR』などひどい物でした(過去記事参照-リンク*3 *4

絶賛される『AIR』だって、けっして手放しで褒められたものではありません。


AIR 6 初回限定版 [DVD]

そもそも原作がストーリーとして成り立っているかどうか極めて怪しい代物(過去記事参照-リンク)でしたから、それをあそこまできちんとアニメにしたのは紛れもなく京アニの見事な手腕。

ただしそれでも、あのアニメ『AIR』の衝撃は、僕の中でその第一回の映像、構成の恐るべき美麗さから徐々に右下がりの曲線を描いていったのも確かです。

はっきり言いましょう。一般になされているアニメ『AIR』への評価は、熱烈原作ファンか技術力至上主義者か海外の純朴なotakuたち以外にとっては、それほど当てになりません。単純にストーリーとして見れば、あれはつまらないし、すごくくさい*5

結局のところ、京アニだって駄作は作る。そしていくら京アニの脚本構成力がすごくとも、原作の時点で破綻したストーリーはどうしようもないし、いくら美術系技術力がすごくても、それで脚本レベルでの失敗を埋め合わすことはできません。


Kanon prelude [DVD]

アニメ『KANON』はまだ途上です。これからどう展開していくか分かりません。けれど2クールを費やす以上、それは京アニの渾身の一作であり、今後の展開に十分期待は持てるはず*6

ただし、京アニも駄作を作る。この事実はしっかり踏まえておかないと、せっかく回復の芽の覗きつつある日本アニメ界に、また一つ(青ひげノートさんの皮肉るところの)”大手”が誕生することの後押しをしてしまうことに他ならないでしょう。

*1:その一方で、彼らが原作を愛し、それに忠実であろうとするほどに、彼らは原作の軛に繋がれてしまう傾向も持つように思えます。作品に”論点”を与え続ける彼らの高いプロ意識と教養に基づいたバランス感覚は、通常ここに他社作品よりも十分に適切な折り合いを見出しますが…。

*2:「クラスメイトはポテトじゃない(life can be fun. People are not potatos. )ってことをハルヒが初めて理解した重要な瞬間なんだ」という意味で高い評価を与える意見には反対しません。ただし少々唐突(あるいはキャラクター成長テーマの重複)であり、可能であればむしろセカンドシーズンのクライマックスに持ち越すべきだったのではないかと感じはしますが。(参照:http://www.designchronicle.com/memento/archives/suzumiya_haruhi_no_yuuutsu_ep14.html#commentsのMellowMG氏発言「The reverse character development is jarring」。彼本人はどうやら時系列を勘違いしているにしても)。

*3:色々とひどい点はあるのですが、何が一番ひどいって双子の美人姉妹です。海燕チャットでは【美人姉妹:視聴者を嫌な気分にするために登場する】と定義されたくらいに。彼らの(最高傑作の一つでもある)出世作が、同作のコメディ版『フルメタルパニック?ふもっふ』であるというのは実に皮肉です。

*4:『TSR』関連コメント: http://d.hatena.ne.jp/hajic/20060609#c1164818819

*5:ああ、お間違えなく、僕は『AIR』大好きです。原作の持っていたあの理不尽に濃密な雰囲気は、歴史的と言って良いでしょう。彼らは音と文字と画像の限られた組み合わせだけで読者に忘れられない夏を刻んだ。まさに『KANON』が「統合されていく奇跡」を、パラレルに分断されていたノベルゲーム世界に持ち込んだ点で真に歴史的であるのと同じ様に。ただし、だからと言って『AIR』が面白かったなどとは言えません。

*6:それでも現時点まで、原作に特に思い入れも、技術力に対する情熱も持たない視聴者にとって、それが扁平な印象を与えているという可能性は否定できません。もちろん、その退屈なまでの序盤の扁平さこそが中盤以降の波乱の間にギャップを産み、またその一見何もない扁平さの裏側に隠されている事実の存在は、それを知った以後に視聴者に突きつけられる「扁平の仮面」の残酷さを、一層際立たせる仕掛けであることは理解できます。明らかに、現時点で京アニKANONに評価を下すことは好ましくない。

genesisgenesis 2006/11/26 22:12 Kanon: コメントを眺めていると,terasuy さんが提示した「24分単位で山場があるべきではないか」という価値観の適否について話が出てこないのが面白いですね。ハリウッド的な作劇法(100分の中で見せ場が3回くらいある)や週刊少年漫画の売り方(次週への引きを用意しておく)が,テレビアニメに対しても当然のように組み込まれているんだろうかと思った次第。▼『Kanon 2006』の場合,製作に当たっての自由度が高い OAV (全624分)として作られていて,それが衛星放送のコンテンツとして細切れに提供されている――というふうに捉えれば,ちょっと違った見方ができるんじゃないだろうか。▼それより,背景の暗号化がキツすぎて困ってます。

hajichajic 2006/11/26 22:33 なんと『細切れOVA』そんなことを言われてしまうとますますテレビ放映をキャッチアップできなくなってしまうではないですか。★こういう言い方はすべきではないかも知れませんがくだんの記事を見ていると往年の某信者が京アニ信者に乗り換えたようにも見えます。★背景の暗号化ってテッサとか宗介とかが歩いてたりするんですか。

genesisgenesis 2006/11/26 23:12 う〜ん,私は OAV を観て育った世代なので,マイナスのイメージで言ってるわけではないですよ。『KEY THE METAL IDOL』には第14話「システム」というトンデモナイ作品(95分という長編)があるのですが,これなどはテレビアニメの枠組みでは登場しなかったと思う。

genesisgenesis 2006/11/26 23:16 背景の暗号化: 今日,舞台探訪に出かけてきたんですけれどね。「こんなの(自力で)見つけられるわけないだろう! 探し回る方の身になれ!!」と,何度も叫んできました。

hajichajic 2006/11/26 23:22 僕もOVAにネガティブな認識を持っているわけではないのですが、ビデオ屋さんでまとめて借りるイメージが強いので「じゃあ完結するまで待とう」みたいな気分になってしまう、という程度の意味でした。★そう言えば『KEY』も途中で見るのを投げた記憶があります。思ったより長かったですね。結局あれはどんなお話だったんでしょう。★舞台探訪ご苦労様です。北海道いくらを食べに行きたいなあ。

genesisgenesis 2006/11/27 00:34 言ってもいい? 史上稀に見る救いの無さです(特に,さくらちゃんシナリオ) http://www.asahi-net.or.jp/~RG8S-SZK/hobby/KEY/KEY.htm

hajichajic 2006/11/27 00:54 あー。あー。さくらって名前が付くと萌えキャラか鬱キャラかのどちらかになりますね。じつに示唆的です。

kaienkaien 2006/11/28 01:00 「フルメタTSR」なんかよりも「MUNTO」のほうが……いや、なんでもない。

hajichajic 2006/11/28 01:50 青ひげさんのところで「京アニは職人集団」ってコメントを見ました。とても適切な表現だと思います。モノづくりという言葉がよく似合う人たちです。★脚本面から見ると、どうも彼らは論点の整理と物語構造の洗練を得意とするようですから、原作が端的でシステマチックであればあるほどアウトプットの質が上がるような。★でも自前で何か作り出せって言われたら困るんですね。実に日本的な職人さん達です。がんばれ京都アニメーション。

gccbbsgccbbs 2006/11/30 19:16 TSRについては、うろおぼえですが、例の双子が裸で抱き合ってるあたりで切った覚えがあります。まあ意味もなく性別が変わってる時点で不愉快でしたが。この選択は正解だったでしょうか。
ところで京アニがもし将来CLANNADをアニメ化することになったらどうなると思います?俺はあまりポジティブな期待はできないですけど。

hajichajic 2006/11/30 23:44 正解かどうかはわかりかねますが、最後まで見ても満足ができる出来であったかどうかと訊かれたら、僕個人の意見では否と答えます。

CLANNADの件、京アニにはああいう理不尽な(あるいは筋の通らない)お話の再構築は向いていないような気がします。そして彼らがそれを得意になるときがあれば、その時京アニという組織は他のありふれたいい加減な仕事をする制作元と同様の組織になっているのではないかとも。
もちろん、京アニが原作ファンの反発をおしてでもストーリーを改変すれば話は別でしょうが…