輸入かんきつ類のこと

 もう20年前になるだろうか、輸入レモン・オレンジのポスト・ハーベストが問題になったのは。訳せば、農薬の収穫後散布のこと。

 今でもスーパーに陳列されているレモンやライムには「OPP・TBZ・イマザリルを使用」の文字が、ほんの極小だが記載されているはずだ。

 TBZは催奇形性、OPPも発がん性、イマザリルはそのどちらの危険性も含んだ劇物だ。しかし充分な煮沸(ゆでこぼしの場合)イマザリルは9割以上の除去が認められたり、充分な洗浄で人体に問題のない量になることも(皮部分を口にしない場合)、またひとつデータとして確立はされている。

 けれど。
 この問題って、そういう「危険値」の話じゃないと思っているんですね。そういうことが行われていること、横行していること、そして危険性があるかもしれないと承知の上で消費選択すること、そんなことが大事だと思うわけです。
 20年前はヒステリックに社会も騒いでいたけれど、今ではそんな問題があったことすら知らない人が多いと思う。

 最近、僕の周囲でも子供を持つ同級生が増えてきた。大人にはよくても、子供には一切のそういう毒物を含ませたくないと考える人は多いんじゃないかと思う。実際、子供や幼児だと危険値だって変わってくる。

 幼い子供を持つお父さんお母さんに、まず知ってほしいと思う。その上で選択するのは自由だ。あとで「ひょっとしてあれが原因だったの?」なんて後悔、悲しすぎると思う。
(蛇足だが、そういうテーマを、深く考えさせてくれる映画がある。『未来の食卓』というフランスのドキュメント。面白いですよ。こちらを参照→『未来の食卓

 例え社会が「問題なし」というコンセンサスでも、こういう状況があるということ、そして興味があったら調べてみて、納得して子供に与える、万一をも考えて覚悟して与える、というスタンスが、「健康」じゃないかなあ、と思うのだ。レモンもライムも氷山の一角にすぎないのだから。

 オーガニックを深める方向は一部進んでいるのに、こっちの方向がおざなりに思えてならない。