『こわれゆく世界の中で』
私は、「この人、誰かに似ている!」とひとたび思うと、どーしても突き止めたくなってしまう。
そんな欲求が生まれつきあるのだ。堅持しているといっても過言ではない。
これが「あ、ハナ肇に似てる!」「マギー・ミネンコにそっくり」などと瞬間分かってくれれば、心スッキリ快眠快便の至りなのだけれど、どーにも誰に似てるか判然としないときの苦しみたるや、筆舌に尽くしがたいものがある。そう……長年私を苦しめてきた「誰に似ているのかわからない女」、それが誰あろう「ジュリエット・ビノシュ」その人である。