本当にこの人は、「こんがらがっちゃってる人」が「ほどけていくさま」を描くのがうまいなあ。彼がいつも主役にすえるのは、心に傷をうけている人々、自分の欲求を小記事に表現できないでいる人たち。そういった人々の描き方の迷いのなさ、ピュアな視点は天下一品じゃないだろうか。
最初、たたみかけるように激しいセックスシーン、マスターベーションの描写が続く。そのあからさまな展開に違和感を覚える人も多いかもしれない。しかし、このシーンは人間の「孤独」を描いているのだ。「心と体」で繋がりたいな、と思ってセックスするのに、感じているのは「無為」、気持ちよくなりたいのに、あふれくる「寂寥感」。
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