キネマ旬報別冊「acteur」にて―早乙女太一―

年末、ひときわ目立った表紙

「どんな振りつけでも、一度で覚えちゃうんだよ。本当に凄い子だね」  

 国立劇場には、歌舞伎俳優養成所というところがある。
 学生時代、私は一年ほどそこにモグリこんでいた。催眠術にかけられたように歌舞伎にハマってしまい、闇雲に申し込んでしまったのだ。結局、一年ほどで断念してしまったけれど。
 ただ今でも、そのときの縁で知り合った人たち何人かと仲良させてもらっている。そのうちのひとりに、何度か彼に踊りを教えたことがあるという人いた。最初のコメントは、その彼がシミジミ言っていたセリフ。続けて彼は、
大衆演劇の中でも、飛びぬけて才能あるね」
 といった。その彼の名は、早乙女太一

続きを読む