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2003-08-25

「見せ消ち」と「見え消し」

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お役所では「見え消し」という単語を使う。

ところが、古文書学などでは「見せ消ち」という言い方をする*1。これは「見す」+「消つ」からなる単語であろうから、これを現代語訳したとしても「見せる」+「消す」の「見せ消し」になるはずである*2。両者の関係は、どうなっているのだろう。

岩波古語大辞典によると「見せ消ち」という単語は、すでに正徹本徒然草に見えるらしい。つまり、この単語は既に室町時代にあったということである*3。そうだとすると、やはり「見せ消ち」から「見え消し」が生じたと考えるのが自然であろう。

では、なぜ「見せ消し(ち)」ではなく「見え消し」なのか。調べてみたのだが回答の手がかりは見いだせなかった。「見せ消ち」は「見消」と書くのが伝統的であるのだが、もしかしたら、これを読み間違えた誤用*4が定着してしまったのかも知れない。もっとも、これを裏付ける史料は何ら存在しない。

明治・大正期の公文書の類を見ていると、例えば、各省提出の閣議資料に対し内閣法制局が二重線で誤記の訂正を行っている場合などがある。これを当時の法制局の官僚は「見せ消ち」と呼んだのだろうか、「見え消し」と呼んだのだろうか。

*1ワープロなどでも、取消線の類を、そう呼ぶ場合があるようである。

*2:実際、「見せ消し」という言い方も少数ながら存在する。

*3:もちろん、「見せ消しち」という行為自体は、より古くから存在する。

*4:「見せ消ち」は多くの国語辞典が載せるが、「見え消し」を載せた国語辞典を私は知らない。

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