路側帯のようなもの(資料編)

東京高等裁判所昭和53年3月8日判決

(昭和53年(う)第456号業務上過失傷害被告事件,東高刑時報29巻8号149頁,第一審・武蔵野簡易裁判所
  1. 車道外側線の外側部分を表す白線を,道路構造令2条11号の側帯を表す白線であるとした事例
  2. 車道外側線の外側部分は,道路交通法上の車道に属するとして,同部分を車両で通行することを適法であるとした事例

司法警察員作成の昭和52年8月22日付実況見分調書及び原審の検証調書によると,本件交差点の西側対向車道には,北側路端に沿って,それから約0.7メートルのところ白線が引かれていることが認められ,所論の外側線とは右白線を指すものと解される。しかし,原審証人Aの供述によると,Aは右白線の内側(中央線寄り)を進行してきた事実を認めることができ(なお,司法警察員作成の実況見分調書によれば,本件衝突地点,従って被告車両の先頭部分の位置は,路端延長線上から道路中央部分寄りに約0.95メートルのところと認められるので,右Aの証言を裏付けるものといえる。),同人において,白線の外側(路端より)を通行したことを認める証拠はないから,所論はこの点ですでに失当である。のみならず,右白線は,本件現場の状況に即して考えれば,路肩または路側帯とみるべきではなく,車両の運転者の視線を誘導し,側方余裕を確保する機能を分担する道路構造令2条11号の側帯を表わす白線であると認められ,その外側も道路交通法上の車道に属し,法令により通行規制の措置がとられていない揚所なので,かりに側帯外を通行していたとしても違法のかどはない。

大阪高等裁判所平成3年3月22日判決

(執務資料道路交通法解説〔12訂版〕157頁)
  1. 車道外側線の外側部分を表す白線を,道路構造令2条11号の側帯を表す白線であるとした事例
  2. 車道外側線の外側部分は,道路交通法上の車道に属するとして,駐車禁止指定の効力が及ぶとした事例

道路交通法第17条1項において「歩道等」とは歩道又は路側帯を指すものと定義づけられ,同法第2条1項2号及び3号の4の規定により,歩道とは歩行者の通行の用に供するため工作物により区画された道路部分,路側帯とは歩行者の通行の用に供し,又は車道の効用を保つため歩道のない道路又は歩道の設けられていない側の路端寄りに道路標示によつて区画された帯状の道路部分と明確に定義されている。本件道路には歩道が設置されているため,路端寄りに白線で設けられた帯状の部分が路側帯に該当しないことは明白であり,右白線は単に車道の一部に運転者の視線誘導及び側方余裕を保つために設けられた道路構造令第2条11号の側帯を表示しているにすぎず,白線と歩道との間も車道であつて駐車禁止指定の効力が及ぶ。

横浜地方裁判所平成8年4月22日判決

(平成6年(ワ)第3770号損害賠償請求事件,交通民集29巻2号597頁)
  1. 車道外側線の外側部分を,「外側線」と呼んでいる事例(ただし,当事者の主張部分には,車道外側線の外側部分を表す「白線」を「外側線」と呼ぶ記載がある。)
  2. 車道外側線の外側部分を,「歩行してはならない車道」であるとして,歩行者に大幅な過失相殺を認めた事例

他方,被害者であるMにも次のような過失が認められる。すなわち,前記二の1の(2),(5)で認定したように,本件事故現場付近には歩行者用に幅員1.8メートルの歩道が設けられているのに,右歩道を歩行しないで,歩行してはならない車道である外側線を酒気帯びの状態で歩行していたこと,加害車両とMの衝突地点が車道上であることからMが外側線から車道内によろけながら進入したものと推認されることから,Mにも本件事故の発生につき過失がある。その過失割合は,被告が55パーセント,Mが45パーセントとするのが相当である。( >>判決全文

阪高裁平成14年1月25日判決

(平成13年(ネ)第2847号損害賠償請求控訴事件,下級裁主要判決情報,第一審・神戸地方裁判所尼崎支部平成12年(ワ)第781号)
  • 車道外側線の外側部分を,車道ではないとして,この部分を車両で通行することが通行区分に違反するとした事例

しかし,「道路標識,区画線及び道路標示に関する命令」第5条別表第3は,車道外側線を「車道の外側の縁線を示す必要がある区間の車道の外側」と定義し,道路交通法17条1項本文は「車両は,歩道又は路側帯と車道の区別のある道路においては車道を通行しなければならない。」旨の通行区分を規定し,さらに,同法2条1項3号は,車道について「車両の通行の用に供するため縁石線若しくは柵その他これに類する工作物又は道路標示によって区画された道路の部分をいう。」旨定義している。これら法令の規定からすると,車道外側線の左側部分は,車道とはいえないことが明らかであり,したがって,車道ではない,このような部分を車両で通行することは通行区分に違反し,特別の場合を除いて許されないものと解すべきである。( >>判決全文

名古屋地裁平成15年6月3日判決

(平成14年(わ)第1882号業務上過失傷害被告事件,下級裁主要判決情報)
  • 西行き車線の幅員は4.0メートル,東行き車線は4.1メートルであり,その外側にはそれぞれ1.0メートルの路側帯があり,さらに,その両側に歩道がもうけられている。」として,車道と歩道の間の部分を「路側帯」と呼んでいる判決
判示名古屋市a区bc丁目d番地先道路(以下「本件事故現場」という。)は,東西に走る片側一車線の相互通行道路で,中央に黄色の実線が引かれ,日進市方面(東)からe交差点(西)に向かう西行き車線の幅員は4.0メートル,東行き車線は4.1メートルであり,その外側にはそれぞれ1.0メートルの路側帯があり,さらに,その両側に歩道がもうけられている。この道路は,西方のe交差点付近では北方にわん曲しているが,本件事故現場付近は直線で見通しはよい。本件当時,最高速度40キロメートル毎時,駐車禁止,追い越しのための右側部分はみ出し禁止の規制が施されていた。事故時は夜間であり,本件事故現場付近には街路灯や北側のコンビニエンスストアの照明があるが,うす暗い状態であった。また,雨が降り終わったばかりで,路面は湿潤していた。( >>判決全文

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