白澤社ブログ

人文社会系の書籍を刊行する小さな出版社です。

乾達『統合失調症は回復します』刊行

このたび白澤社では、乾 達著『統合失調症は回復します』を刊行いたしました。
今週末頃には全国の主要書店で発売される予定です。

新刊『統合失調症は回復します』概要

[書 名]統合失調症は回復します
[著 者]乾 達
[体 裁]四六判並製、208頁
[定 価]1800+税
ISBN978-4-7684-7971-1

内容

こころの病いはこころで癒す。
薬は治療の主役になれません。
著者は町医者としての診療のかたわら、30年余りの年月を精神障害の患者さんやその家族と、診察室ではなく生活の場で共に語り合い、学び合ってきた。その経験から、症状が出たとき、薬について、家族の対応やリハビリについてなど、回復のためのアドバイスをまとめた。
さらに、回復するために精神科医療はどうあるべきか、提言する。
抗精神病薬がなかった時代に、回復して社会に復帰できた患者が大勢いたのに、現代では回復できない人が多いのは、薬が問題なのではないかと著者は言う。むやみに薬が多剤処方され、それによる副作用や依存症が起こり、人間の自然治癒力を損なっているのではないかと。
薬物療法だけではないはずの精神科医療の今日のありかたを問う苦言・提言は、病に苦しむ患者さんや家族にとって大いに共感するにちがいない。

目次

序 章──統合失調症からの回復のヒント
第1章 統合失調症の歴史──暗黒の時代から回復可能な病へ
1 病者は暗黒の歴史の中に晒されてきた
2 人間以下の扱いからの解放
3 統合失調症の命名者オイゲン・ブロイラー
第2章 統合失調症の症状が出たら
1 不安が幻聴や妄想の症状を強くしている
2 不安を受け入れ自分らしく生きよう
3 医者にかかるときの患者の権利を知っておこう
第3章 統合失調症の薬のはなし
1 薬は治療の主役になれません
2 うつ病患者の増加と抗うつ剤
3 薬物療法を見直す
4 医師と協力して適切な薬と量を決めよう
第4章 統合失調症からの回復のために
1 回復のためにできること
2 回復のためのポイント
第5章 回復のための医療へ
1 精神科医療の問題と課題
2 患者が出会いたいドクターとは
3 よい精神科の医療とは

著者

乾 達(いぬい すすむ)
 1935年、静岡県生まれ。1962年、日本医科大学卒業。東京医科歯科大学病理学教室、長野県佐久総合病院内科、青梅市立病院内科勤務を経て、1970年、父・蕃から乾医院(静岡市)を引き継ぐ。1979年、清水地域医療研究会が発足。1987年、精神障害者の生活支援活動を始め、1997年、精神障害者の憩いの場「ワークステーション・どんぐり」を開設。2000年、NPO法人精神障害者生活支援よもぎ会」設立。2012年3月、診療から引退。その後も、「よもぎ会」の活動を継続している。
 編著書に、『いのち── 一開業医の健康新聞』???巻(最終巻の?巻以外は縮刷版、白澤社他)、『統合失調症からの回復のヒント──地域精神障害者生活支援の経験から』『元町医者の人生哲学──老いと病と世の中のこと』(白澤社)。