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2017-03-18

柴田元幸「MONKEY vol.11 特集 ともだちがいない!」

買ったり買わなかったりする雑誌。

この号は買って大正解でした。

エミリー・ミッチェルさんという方の短編が入っていましたが、それがとても面白かった。

初めて読む作家で、他にどんな作品があるのかと早速検索してみましたが翻訳されているものはなさそうでした。

頑張って原書を読もうかと思うほど面白かったです。

それにしても、今は便利な時代になって、その辺の本屋じゃ絶対見つからなくてもamazonですぐ買えちゃうし、外国語でも昔は紙の辞書をせっせと引いていたけれど今や電子辞書でもネットでもすぐ調べられるし、世界はいつのまにか急激に近くなったもんだと不思議な気持ちです。

とはいえ、紙の辞書を手放す気にはなれません。。今どきの子どもたちはもう使わないのかな。


脱線しましたが、「私の娘と彼女の蜘蛛」についての伊藤比呂美さんへのインタビューもとても興味深く読みました。


あらすじは、父親が家を出て行き、語り手である「母親」と「娘」のリサが残される。リサは父親がいなくなったショックで精神的にも不安定精神科医にはリサには「おともだち」を与えてあげるのがい良いと勧められる。ここでいう「おともだち」は生きている人間や動物ではなく、作られた、人口動物。母親とリサは「おともだち」を買いに出かけるが、そこでリサが気に入って選んだのは蜘蛛だった。母親はその蜘蛛に強く不快感をおぼえながらもリサが選んだのだから、と理解を示そうとする。しかし蜘蛛が家の中に巣を作っていたのを発見し、やはり受け入れることができず蜘蛛とリサを引き離そうとするー


ざっくりこんな話なのですが、伊藤さんはリサが蜘蛛を選んだのは「母親殺しの第一歩」と表しているのに、私は非常に心揺さぶられたのです。

リサは無意識に母を憎んで拒否しているのかもしれない。父親がいなくなった今、リサと母親との関係性も亀裂が生じていて、でも母親は気が付かずリサを自分の手の中で守ろうとしている。。

母親の愛情が悲しいんですよね。

リサは母親ではなく蜘蛛の方に心を奪われているから。

…そして母親はリサの夢を見る。。。

ぞっとする部分もあり、愛しさこみあげる部分もありのお話です。




・・・



村上春樹2016年度のハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞して、その時のスピーチもこの雑誌に収録されています。そのスピーチ村上春樹アンデルセンの短編「影」について語ったということで、「影」もなんと収録されています。豪華な内容ですね!これは買うべき!

その「影」は後味の悪い話で、嫌な話で、でもついついひきこまれ読んでしまう。

村上春樹スピーチの中で、アンデルセンがこんなダークな話を書いていたのに驚いた、とありました。確かにアンデルセン=童話=子供向け、というイメージでした。でもよくよく考えてみると、結構悲しい話が多かったなぁと思います。

人魚姫」「マッチ売りの少女」「雪の女王」は子どもの頃絵本を繰り返し読んだのを思い出しました。多分子供向けのアニメや現代の絵本にはない、悲しさや儚さや痛みのようなものは子供ながらに心に残るものがあったのでしょう。

子どもの頃は不幸とか悪意とか喪失を知らなかった、ぼんやりとしか見えていなかったのだなと思いました。多分童話もまた読み直せば、また感じ方も変わって面白そうだなと思います。

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