錦織「完敗」には違和感

錦織がマイアミでのマスターズ1000で準優勝。これはもちろん素晴らしい結果である。
日本の記事となると簡単に「6-3、6-3で完敗」と言うが、試合内容を観ていれば錦織サイドでも好感の持てるものだったということがわかるはずだ。彼のファイナルでの振る舞いを見ていれば良いコンディションではなさそうだった。そこである程度勝敗の行方は知れていたがその中でも錦織は戦えていたし、悪いなりに現王者を苦しめてもいた。
これで大きなトーナメント(GS,M1000)での決勝は3戦3敗となってそろそろ“シルバーコレクター”と呼ばれるようになるかもしれない。奇しくも同世代のラオニッチもM1000の決勝で3戦3敗となっている。ビッグ4が分割統治していた時代が終わり今やセルビア人の1強となっている。しばらくは続くであろうその状況を崩さんとするのは錦織らの世代とその下に続く世代となる。
錦織には確実に挑戦権があり、また厳しいツアーの中で上位を維持していることからはいつか頂点に立つ資格も得ていると言えるだろう。その根拠として個人的に彼のプレーで最高のパフォーマンスを見せていたのは2014年のクレーシーズンがある。あの時のバルセロナからマドリー決勝2セット目途中までの彼のクオリティを観るにつけ、そう遠くない時期に快挙を成し遂げるだろうと思わずにはいられなかった。
今季の次の出場大会はバルセロナ。その直前のM1000であるモンテカルロには出場せず、連覇中のM500大会でのディフェンドを目指す格好となる。個人的には彼がGSを取るとしたらレッドクレーではないかと考えているのでここからの心身双方でのコンディショニングが重要だろう。健康であれば可能性は十分あると思う。期待したい。